売却の「事情」別に知っておくポイントはある?

不動産を売却するということは、売却という結論に至ったそれなりの「事情」があるはずです。その事情によって、不動産を売却する際に注意すべき点が違ってきます。売却の事情別にそのポイントを見てみましょう。

「離婚」で不動産を売却する際のポイント

離婚をする際には、婚姻期間中に築きあげてきた財産を夫婦で平等に分ける必要があります。これを「財産分与」と言います。この際、マイホームを所有している場合も財産分与の対象となります。
マイホームを財産分与する選択肢としては、売却するか、しないかの二択になります。

売却する場合は、売却して得た売買代金を分与します。ただし、多くの場合、住宅ローンが残っているケースでの売却となるでしょう。もしも住宅ローン残高よりも売却相場が低い場合は注意が必要です。不動産を売却する際には、住宅ローンを一括返済しなければならないため、売買代金で足りない分は、自分たちで現金で支払わなければなりません。つまり、マイナスになるのです。よって、離婚の財産分与によって不動産を売却する場合は、本当に今売却することが得策なのかをよく検討するようにしましょう。

場合によっては、売却をせずに、どちらかの単独所有とする方が良いでしょう。なお、この際、どちらが家に住み続けるかで、対処法が変わってきます。

【夫の名義で住宅ローンを組んでいる場合】

夫が住み続ける場合 妻が住み続ける場合
この場合は、夫が自力で住宅ローンを返済するだけなので、特に問題にはなりません。 夫名義の家に妻が住み続ける場合は、住宅ローンの返済義務が夫にあるため、夫と妻との間で賃貸借契約を結んで妻に家賃を負担してもらうという場合もあります。

いずれにしても、夫婦ともに納得のいく形で財産分与をすることが重要です。

ローンが残っている場合の買い替えのポイント

35年ローンを組んで購入したマイホームを、転勤などの理由で返済途中に売却せざるを得ない場合は、どのような手続きをとれば良いのでしょうか。
この場合のポイントは、以下の2点です。

1:抵当権の抹消と買い替えローン

住宅ローンの返済途中に売却する場合は、ローンを一括返済して抵当権を抹消しなければなりません。仮に、ローン残高が3,000万円あるのに、売却相場が2,500万円の場合は、別途500万円を自分で準備しなければなりません。

もしもこの500万円を準備できなければ、「買い替えローン」を検討する必要があります。買い替えローンとは、マイホームを売却して新たなマイホームを購入する際に利用するローンのことで、先ほどのように売買代金によって旧住宅ローンを完済できない場合に、その不足分もまとめて融資をしてくれるというものです。 買い替えローンを利用すれば、旧ローンを一括返済する現金がなくても、マイホームを売却して住み替えることが可能です。

2:「売り」と「買い」のタイミング

買い替える際には、売りのタイミングと買いのタイミングを極力合わせることが重要です。といっても全く同時にはできないため、まず先に売却することを先行して進める「売り先行型」と、購入物件を先に決めて契約をする「買い先行型」の2種類のやり方があります。

じっくり時間をかけて高値で売りたい場合は売り先行型、新居をじっくり選びたい場合は買い先行型となるでしょう。なお、売りと買いのタイミングを合わせることは非常に難しいため、できる限り売りも買いも同じ不動産会社で手続きをすることをお勧めします。

ローンの返済が苦しくなった場合の売却のポイント

勤務先の倒産などで住宅ローンの返済が苦しくなった場合はどうすれば良いのでしょうか。

住宅ローンを滞納するとどうなってしまうのか

住宅ローンを長期間滞納してしまうと、銀行が抵当権を実行し、競売手続きが開始されます。競売とは、裁判所を通して強制的に売られることで、「事故物件」として扱われるため、市場相場よりも数割程度安い価格で売却されてしまいます。

仮に、ローン残高が3,000万円の状態で競売にかけられ2,000万円で落札されれば、1,000万円の借金が残った挙げ句に、家を追い出されることになってしまいます。

このような最悪の結末を回避するためには、大きく分けると2つの選択肢があります。

1:任意売却

競売での売却は、売却価格が低くなってしまい、多額の借金だけが残ってしまいます。そこで、そうなる前に銀行側と相談して、一般市場においてできる限り高い金額で不動産を売却する方法が「任意売却」です。
任意売却で売却できれば、競売よりも高値で売れるため、ローンをより多く返済することができます。

通常の売却との違いは、売却するために銀行側の承諾が必要であるという点です。売却してローンが完済できれば問題ありませんが、完済ができない場合は、残ったローンをどうするのかも含め、銀行側と話し合いをする必要があります。
なお、不動産売買を取り扱っている不動産会社の中には、弁護士や司法書士と連携して任意売却を扱っているケースもあります。査定を依頼する際に、任意売却を検討している旨を伝えて相談してみると良いでしょう。

2:個人再生

弁護士に相談して行う、債務整理方法の一つです。自己破産をすると、マイホームを失った上で借金が清算されますが、個人再生の場合は、住宅ローン以外の債務について大幅な免除を受けて、生活を再建するため、マイホームについては引き続き住み続けることができます。
住宅ローン以外の借金が原因で、ローンの返済が苦しくなっている場合は、個人再生を利用することで、マイホームを失わずに借金問題を解決することができます。

ポイントは住宅ローンの有無とその残高

事情別に不動産売却のポイントを解説してきましたが、いずれの場合も共通するポイントは「住宅ローン」です。住宅ローンが完済している不動産の場合は、いつ・いくらで売っても自分が納得しているのであれば問題ありません。けれども、住宅ローンが残っている場合は、売却するにあたり様々な制限がつきまとうため、事情に応じてよく注意して売却することが大切です。