空き家バンクで始める島暮らし。人とのつながりを感じられる離島での日常

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島国日本には、6,852の島があり、そのうちの421の島に人が住んでいます。

その数のわりには、離島ってどこか別世界のような感じがして、島暮らしと聞いてもピンと来ない人が多いのではないでしょうか。

海辺の暮らしに憧れて、三重の離島・答志島(とうじじま)に移住して2年、島民としての生活が板についてきた移住者である筆者が、楽しかったり厳しかったり嬉しかったりする答志島での面白ライフを紹介します!

埼玉から三重の離島・答志島(とうしじま)に移住しました!

答志島(とうしじま)の海
答志島(とうしじま)の海

初めまして。

五十嵐ちひろと申します。生まれも育ちも埼玉県、生粋の海なし県民だったのですが、2017年に離島に移住し、島民となって2年が経ちました。わたしが移住したのは、三重県鳥羽市の答志島(とうしじま)という島です。

離島と聞くと、船に揺られて何時間もかかる場所を想像されるかも知れませんが、わたしが住む答志島は本土から市営定期船を利用してたったの20分ほどで着いてしまうとってもライトな離島です。

面積は6.98km2と決して大きくはありません。答志(とうし)、和具(わぐ)、桃取(ももとり)の3つの集落があり、それぞれが別々のコミュニティで独自の文化を築いています。

木曽三川のミネラル豊富な水が流れ込む伊勢湾と、黒潮のプランクトンが豊富な海水が流れる太平洋との境目に位置する答志島は、漁場に恵まれ、古くから漁業で栄えてきました。

そのため、約2,000人いる島民のうち、半数以上が漁業従事者であるといわれています。

漁港の様子
漁港の様子

答志島を移住先として選んだ理由

わたしが答志島になぜ移住したかというと、子どもの頃からずっと海に憧れていたからです。

いつか海辺の町に住んでみたいと、10代の頃から考えていました。

実際に移住する1年くらい前から移住先を探し始め、その過程で「地域おこし協力隊」(総務省の移住政策の1つ。

都市部の人が地方へ移住し、自治体と契約を結び、その地域の課題解決のために働くという制度)を知り、この制度を利用することが自分に合っていると感じたので、地域おこし協力隊を募集している地域を探すことにしました。

東京都内で行われた移住関連のイベントにいくつか参加する中で、鳥羽市の方から、「地域おこし協力隊をするなら」と答志島を勧められ、数ヶ月後には現地へ下見に行くことになりました。

実際に訪れてみたときに印象に残ったのは、美しい海とおいしい海の幸、そしてきつい方言でワイワイとにぎやかに話す面白い島民たちの姿です。「この島に住んだらきっと楽しい島暮らしができるはず!」と、移住を決心しました。

島での住居探しは空き家バンクを活用

現在住んでいる家は、市役所の空き家バンクに登録されていた1軒家の賃貸物件です。

空き家バンクは全国の地方自治体が管理する空き家・空き地の情報を集めたサイトになっていて、様々な地域から賃貸物件、売買物件を検索することができます。

私は2軒の候補の中から選びました。

条件としては2階建てでトイレが2つ、部屋が6つもあるので1人ぐらしでは持て余しますが、島には1人ぐらし用のアパートなど存在しないので仕方ありません。元々誰かが住むあてのある家ではないので、家賃は非常に安く設定されており、月3万円です。

ご近所関係は? ライフラインは? 実際に住んだら見えてくるメリット・デメリット

島民はみんな家族みたいなもの

わたしが島に移住するにあたり生活の中に求めていたのは、人と人との繋がりです。

例えば道で会ったら挨拶するとか、買い物先で世間話するとか、近所の人たちとそういう付き合いができる生活に憧れていたのですが、答志島に来たら、すぐにそれが当たり前になりました。

それどころか、ゴミ出しの途中で車やバイクに乗っている人たちに会うと代わりに持って行ってくれるし、お風呂が壊れたといえば自宅のお風呂を使わせてくれる人がたくさんいるし、想像していた以上の助け合いや支え合いが島にはありました。

また、子どものいる人たちの話を聞くと、みんな異口同音に島は子育てするには最高の場所だといいます。どこで子どもたちが遊んでいても、必ず島の人たちの目があって、みんながどの子がどこの家の子か知っています。

悪いことをしていれば周りの大人が叱ってくれるし、いいことをすれば後で誰かがそれを伝えてくれる。答志島はそんな場所です。

健康的な島時間

島での濃厚な人づきあいにはすぐに慣れて満足した一方で、都市部での生活とのギャップを感じたことは時間の流れです。

答志島は漁業従事者が多いためか、朝も夜も早いです。

朝の6時にサイレンが鳴りますが、多くの人は既に起きてなんらかの仕事をしています。

午後3時頃には晩のおかずのいい匂いがどこからかただよってきますし、早いと午後5時には夕食を済ませている家もあります。午後8時には道を歩く人はほとんどいません。

島民みんなで創り上げる祭りの活気

また、島に来て驚かされたのは、お祭りのときの活気です。

答志島最大のお祭りは、毎年2月に答志地区で執り行われる八幡神社のご例祭、通称「神祭(じんさい)」です。

八幡神社のご例祭、神祭(じんさい)の様子 
八幡神社のご例祭、神祭(じんさい)の様子 

このお祭りは大漁や家内安全を祈願する祭りで、3日間に渡って執り行われます。
その間、特設の舞台でカラオケや日本舞踊、田舎歌舞伎などの演芸が島民たちによって演じられます。

2日目の神事では、男性たちによって「お的(まと)」と呼ばれる墨の奪い合いが行われ、神事に参加する人もそれを見る他の島民たちもとても盛り上がります。

舞台に上がる人たちの衣装とメイクはプロに外注しますが、それ以外の舞台の設営、音響、演芸、神事にかかる準備などは全て島民たちの手で行われます。この他にもさまざまな伝統的な行事があり、島民が協力し合って続けています。このような祭りが今でも開催できるのは、普段からお互いに支え合う生活をしているからではないでしょうか。

島のイベントは、伝統行事だけではありません。毎年夏に「Wideloop in 答志島」という音楽イベントが開催されます。

午後から夕方には歌やダンスのステージがあり、夜から明くる朝まではDJが代わるがわるオールナイトでダンスミュージックを流します。また、オシャレなバーやグッズのお店が開かれるので、普段の島とはまったく違った雰囲気が楽しめます。

交通の便や医療機関の少なさには、不便を感じることも

このように魅力的な島の暮らしにも不便なことはあります。

最大のデメリットは、医療機関が少ないことです。

島の中には市営の診療所が1つと、内科の医院が1つ、歯医者が1つあるだけで、夜間には無医村になってしまいます。

健康に不安のあるお年寄りや、子どもを持つ親にとっては不安も大きいでしょう。

また、定期船の時刻表にしばられた生活も大きなデメリットのひとつです。

島の中には小さな商店や定食屋などはありますが、大きなスーパーやコンビニ、オシャレなカフェなどはありません。そのため、買い出しや遊びに行くときは必ず定期船に乗って出かけます。

大体1時間に1本の定期船の時間に合わせて出かけたり帰って来たりしなければならないし、定期船は朝早くても6時台から夜は20時過ぎまでしか出ていないので、時間の制約が常につきまといます。

ただこれらのデメリットは島特有のことともいいきれません。例えば、医療機関が少ない地区は同じ鳥羽市内の本土部でもたくさんあり、同じ問題を抱えている人は少なくありません。また、答志島の場合は商店があり、朝6時頃から夜は8時過ぎまで開いていますが、買い物できる場所が一切ない地区も存在するのです。

更に市街地へのアクセスを考えても、中心地から離れると車で1時間近くかかる地区もある一方で、船に乗って20分で市の中心街に行ける離島はいい方かもしれません。

島暮らしならではの家の特徴、あるといい住まいの条件は? 

家同士が近いなら、すりガラスがベター

答志島の特徴は、道がとても狭いことです。

迷路のように入り組んでおり、家々が軒を重ねるようにして建てられています。わたしの住んでいる家も、隣の家との距離は狭い所で50cm程度。垣根や塀はありません。

夏には台風が来て、冬になると強い海風が吹きつける島の中では、家をぎゅうぎゅう詰めに建てることで風雨から守っているんです。

他の家から離れた所に建つ家は台風が来る前には雨戸を閉めたり、戸に板を打ち付けたりと対策が必要になります。

一方で、隣の家が手の届く距離にあるので、窓を開けておいたら家の中の会話や見ているテレビの音まで丸聞こえ、ということもよくあります。

あまりに隣家が近いため、わたしの住む家ではすべての窓がすりガラスになっています。多分答志島の多くの家は同じような作りになっていますが、もし普通の窓があっても結局はカーテンや窓に貼るシールなど何かしらの目隠しが必要になるでしょうから、最初からすりガラスの窓であることがベターです。

エアコンは必須アイテム

また海に囲まれていることから島はとっても湿度が高いです。

道が狭く家が詰まって建っていることから風通しも悪く、家の中はジメジメしがちです。移住して最初の梅雨時期に、色んな所にあっという間にカビが生えてしまったのでショックを受けました。

その為、家を探す際にはしっかりと風を通して換気のできる家かどうかの確認が必要です。どうしても風通しが悪そうな場合には、除湿ができるようにできるだけ多くの部屋にエアコンを設置することをオススメします。

屋外に水道があると便利

海に囲まれているので、島暮らしをして釣りを趣味にする人もいるでしょう。

わたしもときどき釣りに行きますが、魚は自分で釣るだけでなく、人に貰うこともあります。切り身になっていればいいのですが、丸ごと貰うとキッチンでさばくのは大仕事ですし、後の処理が大変です。

島の人たちは普段から家の外の水道で魚をさばきます。

そうすればキッチンが汚れたり匂いがついたりしないからです。魚を食べるのが好きだったら、屋外に水道があることは必須です。

それ以外に家選びの際に絶対にチェックして欲しいポイントがトイレです。

わたしが住む家を選ぶときに、もう1軒候補がありました。この家は今住んでいる家よりも手ごろな大きさで、日当たりも良かったのですが、トイレが汲み取り式だったのがネックになりました。

トイレの汲み取りにかかる費用が地味に家計にひびいてきそうだと思って避け、現在の家を選んだわけです。離島だとこのように下水の処理設備が整っていない場所もあるので、都市部では考えられない出費があります。家を選ぶ際は、トイレの確認をしましょう!

今、島暮らしするならココ! オススメの島3選

答志島(三重県)

わたしが住んでいる答志島は、もちろん移住にオススメです。

なんといっても島の人たちが移住者に対してとっても親切です。不思議なほど、拒絶されないんですよ。

移住前は「移住者なんかいらない、帰れ!」という人が何人かいるだろうな、と覚悟していたので拍子抜けなくらいです。島の人にいわせると「島の人間は、身内に厳しいけど他所の人には優しい」のだそうです。

そんな優しい島の人と触れ合えるのが、ロンク食堂という食堂です。

ロンク食堂のごはん
ロンク食堂のごはん

島生まれ島育ちの姉妹が営んでいて、島でとれた海の幸を使った郷土料理が楽しめます。

わたしは家族や友人など、初めて島を訪れる人を必ずここへ連れてきます。料理はおいしいし、島のことを何でも教えてくれるおばさんたちとの会話はとっても楽しいです。

福江島(長崎県)

長崎県の五島列島の福江島も移住にオススメです。

面積は326.43km2、人口は30,000人以上と、五島列島では1番大きな島です。船だけでなく飛行機でもアクセスできますし、スーパーやコンビニもあります。

その一方で、自然は豊かです。特にコバルトブルーの海は、日本国内にいることを忘れてしまうような美しさです。

五島レジャー 
五島レジャー 

アウトドア派の方は移住後にマリンスポーツを趣味にする、なんていう手もありますよ。

移住者さんが営む五島レジャー(長崎県五島市浜町100)ではSUP(スタンドアップパドル)やシュノーケリング、SUPヨガなどが体験できます。

また、五島列島では椿油の生産がさかんです。椿油といえば、古くから髪の毛のケアに使われてきた素材ですね。

そんな椿油を贅沢に使ってリラックスできるのが、モンテカンゲ(長崎県五島市栄町1-43しらゆり美容院内)のヘッドスパです。

イメージ画像
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生まれも育ちも福江島のセラピストさんが、島への愛も語ってくれるはず。

徳之島(鹿児島県)

徳之島は鹿児島県にある奄美諸島の島のひとつで、面積は247.8km2、人口は23,000人ほどです。

友人が夫と3人の子どもと共にこの徳之島に移住しているのですが、移住ライフをとっても楽しんでいます。

毎日SNSで発信される動画や写真では、子どもたちがのびのびと生活している様子がわかり、特に島の伝統文化である闘牛に熱中しているみたいです。

闘牛の様子
闘牛の様子

島には実際にどんな物件があるの?

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さいごに

あたたかい土地特有の島民ののんびりとした気質も、移住者にとっては魅力的です。

都会に住んでいるとちょっと憧れる田舎ぐらしや島暮らし。実際に始めてみると、思っていたよりは便利だったり、都会とは違った楽しみがあったりします。

わたしは何よりも、答志島の人たちの人柄や関係性がとっても居心地がいいと感じます。島に移住するなら、ぜひ自分にピッタリな島で、あなたの面白ライフを見つけてくださいね。

五十嵐ちひろ

五十嵐ちひろ

三重県の離島、答志島(とうしじま)の移住者。ブログ「SU ISOLA(ス・イーゾラ)」に島の暮らしや文化、行事について移住者目線でつづっている。あるときは島の案内人、あるときはアーティスト、あるときは英語の先生。

※このページの内容は、2019年9月5日時点での情報です。掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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