日本には四季があります。私が保育士として働いていた頃、一番好きだった仕事は“季節に関する行事の飾りつけ”でした。たくさんの仕事がある中で、子どもたちに四季を感じてもらうための大切な仕事です。
現在私は子育て中ですが、今も変わらず四季を感じられる年中行事を大切にしています。春には一年の中で私が最も好きな行事でもある“ひな祭り”がやってきます。
しかし子育てしながら過ごす毎日は大忙しです。バタバタしていると「気がついたらひな祭り当日だった」ということもありますよね。そこで今回は、保育士歴10年、2児の母である私が、子育てで忙しい家族にぴったりのひな祭りの飾りつけをご紹介します。
ひな祭りは飾りつけで楽しもう!

皆さんは、「うれしいひな祭り」という童謡をご存じですか?
私は、ひな祭りの時季になるとつい「あかりをつけましょ、ぼんぼりに~」と口ずさんでしまいます。その短調な曲調には日本の情緒を感じます。古風な顔立ちのひな人形を飾ることでさらに雰囲気が出ますよね。
クリスマスにはツリーを飾り「ジングルベル」を、子どもの日にはこいのぼりや兜を飾り「こいのぼり」を歌います。こうやって子どもたちは飾りつけや歌を通して四季を感じていると思います。
ひな祭りとは?
ひな祭りとは、3月3日の桃の節句を指します。上巳の節句と呼ばれる五節句の一つであり、この日は”邪気に見舞われやすい日”とされていました。平安時代の人々はこの時期に、自分にふりかかる災いを紙人形へ託して川に流す、”流しびな”を行っていました。
その後、時代とともに紙の人形ではなく”豪華なひな人形”を飾ってお祝いする行事へと発展していきます。この変化は、貴族の女の子たちがしていた人形遊びに結びついたと考えられています。江戸時代ごろには、人形は女性のものであり「ひな祭りは女の子の健やかな成長を願うもの」として定着していきました。
コンパクトなひな人形を華やかに
ひな祭りには、ひな人形を飾る習わしがあります。伝統的な“七段飾り”のひな人形を準備するご家庭もあれば、“三段飾り”や内裏びなだけの“親王飾り”を選ぶご家庭もあります。
また、最近では物を持たない暮らしを好む方も増えているため、コンパクトに飾れるものを選んで購入する家庭も多いです。わが家も、収納スペースの関係からガラスケースに入った小さなひな人形を購入しました。購入時は少し物足りないと思っていましたが、今では収納スペースの少ないわが家の暮らしに合っていると満足しています。
私は大きなひな人形の代わりに、桃の花を飾ったり着物や袴を身に着けたりするなど、華やかになるように毎年試行錯誤しています。
手作りの飾りつけがもたらすもの
皆さんは、お子さんの写真を頻繁に撮影されていますか?
私の子ども時代は両親が忙しく、3歳以降の写真がとても少なかったので、アルバムを見返すたびに寂しさを感じています。初節句のときは、お祝いの席を設けて盛大に撮影会が開かれました。けれど毎年ひな人形は飾るものの、写真撮影はされなかったのです。
わが子の大切な成長過程を残すために、毎年ひな人形の前で写真撮影をすることが私のひそかな願いです。思わず写真に残したくなるような、子どもと作り上げる飾りつけができたらと思っています。

子どもはとにかくお手伝いが大好きです。自我が芽生えなんでも「自分でしたい」という時期は、どのご家庭でも頭を悩ませているでしょう。このような時期は、ボタンを押すだけ、カゴに入れるだけでも自分でできることに喜びを感じます。
保育園や幼稚園に通う子も、お手伝いや製作のお願いには大喜びで駆けつけてくることが多いです。私の娘も、行事の製作をすることを伝えると、目をキラキラ輝かせて一目散に着席します。
一緒に作り上げることによって、年々手先が器用になっていく子どもたちの成長も感じられるでしょう。何より忙しい毎日の中で子どもとの時間を確保できない私自身が、一緒に製作する時間を楽しんでいます。
子どもと一緒に作るフォトコーナー

ここからは、子どもたちと作るひな祭りの飾りつけをご紹介していきます。
わが家では手作りした飾りつけを、ひな祭り当日に子どものフォトコーナーとして使用しています。撮影した写真は祖父母にも送っていますが、ひな祭りらしい華やかさにいつも大喜びしてくれています。
丸い壁飾りの作り方

【準備するもの】
折り紙(色画用紙)
セロハンテープ
【製作手順】
1. 折り紙または色画用紙をジャバラ状に折ります。
2. ジャバラに折った画用紙を半分に折り、丸く円になるように広げ、端をセロハンテープでつなげれば完成です。
【注意点】
ジャバラ折りは、ゆっくり行えば3歳の子どもでも作れますが、難しい場合は親御さんが一緒に手で押さえながらやってみてくださいね。
梅の木の作り方

【準備するもの】
色画用紙(枝部分)
フェルト(花の部分)
ハサミ
セロハンテープ
【製作手順】
1. 茶色の画用紙を細く丸め、筒状の棒を作ります。
(これが枝の部分になります)
2. フェルトを梅の花の形に切り抜きます

3. 1 で作った枝に、2 で作った梅の花を貼り付けたら完成です。
お花の数を増やしたり、切り抜いたお花をそのまま壁に散らしたりするとさらに可愛く仕上がりますよ。
【注意点】
壁に直接テープを貼ると、壁紙が傷ついてしまう可能性があるので、私はマスキングテープを使用しました。子どもたちと作っていると、次々アイデアが飛び出してきます。花の形以外にも、それぞれがお気に入りの切り抜きを壁に貼ることもあり、子どもが楽しんでくれている姿を見るとうれしくなります。
ミニひな人形の作り方

こちらのミニひな人形は、袋に詰めるだけなので、小さなお子さんでも簡単に作ることができます。子どもと一緒に作ることで、準備の時間を楽しむだけではなく、市販のものでは味わうことのできない温かさを味わえます。また、このミニひな人形は玄関などのちょっとしたスペースに飾るのにちょうどいいです。
【準備するもの】
色画用紙(折り紙)
カラーペン
透明のビニール袋
【製作手順】
1. 透明の袋にお雛さまの服に見立てた赤色系の折り紙を、お内裏さまは青色系の折り紙を、丸めて詰めていきます。

2.ひな人形の顔のパーツを色画用紙で作成します。
お雛さまやお内裏さまの顔は事前にベースの形を用意しておいて、子どもに顔を描いてもらうと、より楽しめるでしょう。小学生にもなれば、すべて自分で切り貼りする作業を楽しめるので、事前に見本を作っておくのがおすすめです。
3.2で作ったパーツにひな人形の顔を描きます。
4.1で作った胴体に、3の顔をつけたら完成です。
【注意点】
子どもたちは、紙をクシャクシャに丸める作業が大好きです。小さなお子さんがいる家庭では、丸めた紙を口に入れないように注意しましょう。
年中行事を楽しむ住まい

子どもたちに四季を感じてもらおうと思うと、準備するものが増えていきます。年中行事は、お正月から始まりクリスマスに至るまで、思いのほか数が多いです。
住環境によっては、すべてのイベントのグッズをそろえることが難しいかもしれません。そのようなときには、子どもたちの手を借りて”手作り”することで、楽しみながら解決できますよ。
準備や片付けが負担になってしまっては、行事が近づくことを億劫に感じてしまうことになりかねません。簡単に準備ができて素早く片付けられるよう、ハードルを下げることも大切です。
毎年作り直せるので収納は不要
雑貨屋さんなどのお店で購入した飾り付けは、もったいなくて簡単に処分することが難しいものです。また毎年行事グッズを購入していくと、収納スペースが埋まってしまうこともあるでしょう。
手作りの飾り付けであれば、子どもたちが一生懸命作った飾りと思い出は写真に残し、行事の後は処分することもできます。毎年成長していく子どもたちが、来年はさらに凝った飾りつけを作れるようになっているかもしないと考えるだけで楽しみです。
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子どもと一緒に四季を楽しむ暮らし
わが家では毎日忙しくバタバタと仕事や家事、育児をこなしています。四季を感じるためには、一度立ち止まってあたりを見渡す余裕を持つことが大切です。その季節の匂いや色、空気を感じる幸せを子どもたちにも伝えたいのであれば、子どもと向き合う時間をとってみましょう。
想像するだけで少し寂しくなってしまいますが、子どもと行事を楽しむ時間は限られています。思春期になれば一緒にお祝いできることも少なくなるでしょう。年に一度の行事を一緒にお祝いする回数は数えるほどしかありません。
ちょっぴりゆがんだ飾り付けも、うまく読めないひらがなも今だけのもの。今一緒にいられる時間を大切に、一緒に作り上げる行事はきっとかけがえのない思い出になりますよ。