IT重説を知っていますか? テレビ電話を活用して住み替えを便利に

住まいの購入や賃貸の手続きって、なにかと面倒……そんなふうに感じている方におすすめなのが「IT重説」です。これまで物件に関する重要事項の説明は、不動産会社の担当者が対面で行うよう定められていましたが、2017年からはテレビ電話などで説明を受けるだけでもOKというふうになりました。仕事や子育てで忙しく不動産会社に行く時間がない方にとって、利用する価値はあるでしょう。

引っ越さなきゃだけど、契約手続きができない 重要事項説明ってなに? そんなの受けてる時間ない!

34歳のAさんは、夫・娘と首都圏にある賃貸マンションで3人暮らし。マイホームの購入資金や娘の教育費をためるため、派遣社員として事務仕事をしています。家事と育児にも追われ、大忙しの毎日です。

ある日、そんなAさんの夫に関西支社への転勤辞令が! 営業の実績が認められて栄転できたのです。しかし困ったのは新居の手配。Aさん夫婦は関西にはまったく土地勘がありません。友人や知人の話を聞いて歩き、よさそうな地域を選んでインターネットで物件を探すだけでも大変です。

なんとか希望に合う候補を3軒ほど見繕ったところで、休日を利用して夫婦で関西を訪れ、慌ただしく内見。気に入った物件があったので、手付金を渡して入居審査を待つところまでこぎ着けました。

あとは審査に通ったら契約するだけ……とほっと一息ついたとき、Aさんに仲介会社から電話が。入居審査には通ったものの、契約を結ぶためには「重要事項説明」を受ける必要があるというのです。それを聞いたAさんは途方に暮れてしまいました。

「そういえば、物件や契約についての大切な事柄を説明してもらってからでないと、契約はできないんだよな」
夫もそのことを忘れていたようです。
「えーっ、わざわざそのためにまた新幹線に乗らなきゃいけないの?」
関西に行くとなると、また仕事を休まなければなりませんし、交通費もかかります。

ついこの前、休みを取ったばかりで、また休むのは気が引けるなあ……。そう嘆くAさんに、夫は「法律で決まっているんだから仕方がないだろう」と言うばかり。とはいえ契約ができないと困ってしまうので、ここはなんとかしなきゃ。でも、関西まで行く時間と費用をどうやって捻出すればいいんだろう……?

スマホのテレビ電話で重要事項説明を聞ける?

そんなAさんの救世主となったのは、学生時代の友人で不動産会社に勤めるBさんでした。
「IT重説を利用できないか、確認してみたらどうかしら?」
初めて耳にした言葉に、Aさんは首をかしげました。
「IT重説?」
「スマホやパソコンのテレビ電話機能を利用して、重要事項説明を受ける方法のことよ」
「そんなことができるの?」
「2017年の10月から賃貸住宅の契約に対して、本格運用が始まったの。Aちゃんの案件を扱っている会社は大手だから、利用できるんじゃないかな」

さっそく仲介会社に問い合わせてみると、できると言います。事前の書類確認を済ませ、Aさんは家に帰ってスマホで重要事項説明を受け、無事に契約を済ませることができました。

「IT重説」によって、従来よりも手軽に物件を契約できるようになったと言えるでしょう。そんなIT重説を利用して、こんなすてきな物件を探してみてはいかがでしょうか?

そもそもIT重説ってなに? 不動産の契約には重要事項説明が必須!

不動産の取引は金額が大きいので、ひとつでも問題を見逃すと大きな損失が発生する可能性があります。

そのため「宅地建物取引業法」という法律では、不動産を売買したり賃貸借契約を結んだりするときには、重要な事項を丁寧に説明するよう定められているのです。具体的には、「専門家である宅地建物取引士が対面で説明しないとダメ」というのが、不動産の取引をするうえでのルールでした。

普及が進むITで重要事項説明の面倒を軽減

以上が、重要事項説明と呼ばれる制度です。ただし、Aさんのケースのように、遠方に住む人がわざわざ説明を聞くためだけに行き来するのは面倒だし、ちょっとやり過ぎかも……という気もしますよね。

そこで新たに設けられたのが、普及が進むITを活用して重要事項説明を行う方法――「IT重説」です。2017年10月から本格運用が始まったばかりですが、今後は急ピッチで普及するだろうと考えられています。

遠方への引越しが決まったという方も、IT重説を活用すれば、わざわざ説明だけを受けに足を引越し先に運ぶ必要はありません。
IT重説を利用して、こんな物件を探してみてくださいね。

IT重説に適している物件とは? 適しているのはわかりやすい物件

スマホやパソコンは便利ですが、万能ではありません。たとえば失恋した友達を慰めるときには、やっぱり顔を合わせて話をした方が元気になってほしい気持ちが伝わりますよね。

重要事項説明も同じです。対面で話を聞くのとスマホ越しでの説明を比べると、やはり対面での説明の方がわかりやすいと言えるでしょう。小さな画面だと相手の表情がいまいち見えにくいですし、資料のどの部分を指さしているのかわからない……なんてこともあります。

IT重説に向いているのは、品質や機能、契約条件が比較的わかりやすい物件です。たとえば、新築や築年数がそんなに経っていない物件なら、耐震性能などの性能が保証されていると言えるでしょう。また、契約件数が多い大手の管理会社なら、比較的サポート体制もしっかりしており、借りる側もあれこれ質問せずに済むことが多いです。

人生の節目や仕事の都合などで、遠方に住むことが決まった方もいることでしょう。そんな時はぜひ「IT重説」を活用して、スムーズに契約を進めましょう。自分に合う物件を見つけて、気持ちよく新生活をスタートさせてくださいね。

谷垣吉彦

谷垣吉彦ビジネスライター

ビジネスライターとして、不動産を始め、医療や集客など多様なジャンルの書籍制作に関
わる。「暮らしもビジネスも拠点選びがもっとも大切」を信条とし、わかりやすく正確な
情報提供を仕事のテーマとする。

※このページの内容は、2019年2月15日時点での情報です。掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください