「財産評価基本通達」を丸呑みしてはダメ!

時価を算定するのはかなり難しい…(イメージ画像)
時価を算定するのはかなり難しい…(イメージ画像)

実は総資産総計は、計算する会計士や税理士によって異なるんです。
これまでに書いてきた通り、僕が相続した「総資産15億円」という総計は時価です。

相続税法では「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価格は、その財産の取得の時の時価により、その財産の価格から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」とされています。
しかし実際は、時価を算定することは困難な問題が生じます。そのため一般的には、国税庁が公表している「財産評価基本通達」により評価した価格を使います。

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控除対象に漏れがないか、きちんと自分で確認を

通常は、相続税評価額の方が時価より低くなっています。
ほとんどの人は相続税評価額で計算することに疑問も持たず行っていて、基本的には、そのほうが支払う相続税は安くなります。僕の場合は、いろんな減額・控除をして相続税評価額を出してもらいましたが…。
さすがにこんな多額な資産の場合は、税務署から資産を総計されるらしいのですが、それでも細かい減額・控除の対象になるものは提示されないと聞きました。自分で疑問を持って、他に控除対象が無いかどうか確認をしないと、相続税評価額が上がってしまうんです。「えっ!」って話ですが、国・県・市は、全然優しくないのですね。

「知らない」って怖いです
「知らない」って怖いです

だって、テレビで見たんですが、神奈川県のある地域の地下に戦争の時に、旧日本軍がつくった穴(防空壕・地下工場)の跡なんかは、その地上に引越してきた住人にわざわざ教えてくれないそうです。そこの住人は、下に穴があいているとは知らずに暮らしているんですよ! 国としては、自分で調べろって感じみたいです。本当に「知らないこと」って怖いです。

少しでも相続税を安くするためにできること

当然ですが、相続する金額が安いほど相続税も安くなります。なので、ここからは相続財産で減額・控除された部分紹介します。みなさんの相続時に役立ててください。

地下鉄が通っていると評価額が減額される
地下鉄が通っていると評価額が減額される

その①
僕が相続した土地には地下鉄が通っていて、【区分地上権】という土地の地下または地上について上下の範囲を定めて、地下鉄道や送電線などの工作物を所有するために設定される地上権があり、土地の評価が自用地価額よりかなり減額されました。

前田けゑさんの場合は1,000万円の減額に
前田けゑさんの場合は1,000万円の減額に

その②
小規模宅地等減額という方法もあります。これは、相続により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等から、一定の選択をしたもので、限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額されます。僕の場合は、1,000万円以上の減額になりました。

相続した土地の用途は? (イメージ写真)
相続した土地の用途は? (イメージ写真)

その③
土地の不動産登記法では、地目について次のように規定されています。
「地目は、土地の主たる用途により、田・畑・宅地・塩田・鉱泉地・池沼・山林・牧場・原野・墓地・境内地・運河用地・ため池・堤・井溝・保安林・公衆用道路・公園・雑種地に区分して定める」。
相続した土地のある場所はかなり古くから持っていた土地で、僕が養子入りした頃は、まさかの墓地がありました。この墓地は、ご先祖の供養塔や亡くなったおじいさんのお墓でした。おばあちゃんは生前に、墓を寺に移して欲しいと言っていたので、お墓を移動した後は司法書士さんに依頼して墓地から雑種地に登記をし直してもらいました。

本当に稀だとは思うんですが、今回の墓地のように誰の土地か登記されていない土地の場合、先祖までさかのぼって誰の名義かを確定するには、大変な手続きが必要ですし、もちろん費用もかかります。登記簿を見ないと自分の土地がどこからどこまでなのか? 地目は何なのか? など分からないこともあるので、相続に備えて、一度専門家と自分(家族)の資産を確認したほうがいいと思います。
相続だけでなく登記している地目によって税金も違いますので、節税になるかもしれません。

お城…? (イメージ写真)
お城…? (イメージ写真)

その④
僕が相続した土地には山があり、山林として登記している場所と、宅地・雑種地がありました。実家も山の上にそびえ立つというか、石垣の上の城みたいな作りなんです(笑)。
自宅横傾斜地として、がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地の価額は、その宅地のうちに存するがけ地等の部分ががけ地等でないとした場合の価額に、がけ地補正率を乗じて計算した価額によって評価します。なので、がけ地評価やその他にも傾斜地が適応されて財産価値の減額で税金が控除されました。

貸付金は簡単に放棄できない…
貸付金は簡単に放棄できない…

その⑤
貸付金も資産に入ります。おばあちゃんが生前に貸していたお金(返済もなくあげたようなお金)が約6000万円ありました。このまま相続してしまうと相続税に加算されてしまうので、司法書士さんに返済を放棄する手続きを取ってもらいました。
結構な金額だったんですが、もともと自分のお金ではないし、お金を貸している方と話して返済する気もないみたいだし、これからお付き合いもしたくないと思ったので、お金の貸し借りをキッパリ断ち切りました。
他にも約3000万円の貸付金がありました。こちらは、お金を貸している方と話して返済の意思があったので、毎月一番安い金額の設定にして、僕の孫の代までかかる可能性がありますが、返済してもらうことにしました。

何故返済を放棄してあげないのか? って理由ですが、放棄するのは簡単なのですが、貸している相手の収入として申告したら所得税を支払わないといけなくなるのです。課税される所得税金額は、2015年以降だと3000万円×0.40(40%)-2,796,000円(控除額)=9,204,000円という金額がどーんと請求されてしまうので、安易に放棄もできないんです。

こうして様々な財産に対して減額・控除して相続税評価額を出してもらい、相続税を445,988,500円の支払いにしてもらいました。
相続税を支払わなければいけない期限は、相続時から10ヶ月で現金支払い。
この月日の間に、減額・控除作業と並行して相続税を作る作戦・実行を行いました。

★チェックポイント -相続対策は、10年かけて行うもの-

今回のチェックポイント★
今回のチェックポイント★

今回書いたコラムの内容は相続に関して全くの無知だった僕が、実際に30歳で相続を経験して、10ヶ月の支払い期限中「あいち事務所(総合事務所)」に頼るしかなかったときのことです。何の書類に署名したのか、何枚ハンコを押したのか、時系列もチンプンカンプンになって苛立ってしまっていたので、改めて自分の出来事の答え合わせをしたくて、相続について勉強して、相続診断士の資格も取得して書かせていただいています。

万全にとまではいかないでしょうが、今からでも昔に戻れたら、前よりは相続の対策はできたと思います。
万全な相続対策には、時間がかかるんです。おそらく10年はかかると思います。相続は誰でも起こりうることなので、ゆっくりと家族で「続活」をはじめていってください。

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