人生ではじめての喪主をする

イメージ写真
イメージ写真

おばあちゃんが病院で亡くなってすぐに、葬儀屋さんの手配はどこにするのか選ばなくてはなりませんでした。葬儀について知識がなかったことと、急におばあちゃんが亡くなってしまって、頭が真っ白になっていたので、どうやって葬儀屋を選んだのか覚えていません。ただ、おばあちゃんは入院中も「早く自宅に帰りたい」と言っていたから、自宅に連れて帰り「ただいま。おかえり」と、家に一泊させてあげました。

身近な人たちに連絡をして、葬儀は浄土真宗高田派の地元の住職さんにお願いしました。おばあちゃんはお茶や生け花の先生で、花が好きだったので、葬儀は会場を花でいっぱいにして行ないました。葬儀費用は約340万円、香典は一切受け取りませんでした。
はじめて喪主として、参列に訪れた遠縁の方やおばあちゃんの知り合いにお辞儀をし続け、お通夜と告別式をやりきりました。

お葬式でひとつ失敗がありました。葬儀には銀行の支店長さんたちにも声をかけたのですが、銀行は本人が亡くなったことを知ったら、口座を凍結するルールがあるのを後から知ったのです。
手持ちのお金がまったく無いのに、おばあちゃんの口座から引き出すことができなくなり、葬儀代の支払いができずに焦る焦る。他の銀行にも口座があったので、ATMでコソコソと引き出しに行きました(笑)。(皆さん覚えておいてください。貯金は、複数の銀行に預けて、口座を分けることが大事ですよ!)

相続税が払えない! 1億円単位の取り引きがはじまる

イメージ写真
イメージ写真

火葬場から戻ってセレモニーが全て終わりました。広い自宅に一人ぼっちで取り残された僕に、近くの銀行から声がかかりました。地元の不動産屋の社長が会いたいと言っているので、紹介すると言うのです。

これまでにも、賃貸マンションの入退去で不動産屋さんと会う機会は何度もあったのですが、今度はちょっと違う雰囲気です。
名古屋市にエレベーター用地として大きな駐車場の一部を売ったことは前にも書きましたが、その駐車場そのものを売って欲しいという申し込みでした。買付証明書には、金1億円とあり、これまでの人生では見たことのない金額の取り引きが始まりました。

相続税は基本的に一括払いしなくてはいけない

相続税は一括納付が原則…
相続税は一括納付が原則…

そもそも、相続税は現金一括払いなんです。当時おばあちゃんの通帳にあった貯金額では到底足りず、土地売買をして相続税対策をしていくことになるのです。
でも、相続税対策のためにどんな手続きをしたらいいのか? その方法について、銀行の支店長から聞く話と紹介をうけた不動産屋の社長さんの話が少しずつ違っている気がしました。

おばあちゃんがお世話になっていた会計士さんからは、売却代金1億円と銀行の預金・外貨を相続税にあてて、不足分は延べ払いをしましょう、というアドバイスをもらいました。

しかし後で聞いたら、延納にした場合、20年間に元金を割り振って、これに利息もつけて、税務署に分割払いしていかなくてはいけないのです。この元金払いと利息払いは、毎年の不動産賃貸の所得に対する所得税を支払った手残りから2000万円ほどを支払うわけで、所得税の必要経費には計上できません。途中で行き詰まると、それこそ破産してしまうようなやり方でした。

誰の金額を信じればいいのか、わからない!

誰が言う金額を信じればいいのか…
誰が言う金額を信じればいいのか…

いつも高級車に乗ってくる不動産屋の社長さんの話もどうも信じられず、本当に、全て相続放棄して名古屋から逃げだしてしまおうかと思ったこともありました。

でも、おばあちゃんの「土地とお墓を守って…」という言葉を思い出して、なんとかしなければと、会計士さんに不動産屋が言う他にやり方はないのかを聞きました。
本当は一体いくら支払う必要があるのか、どの土地をどのくらいの価格で売ることになるのか? でも、はっきりとした答えは返してもらえませんでした。

独学で勉強するにしても、本屋には相続の書籍がたくさんあって、どれから読んだら良いのか、やるべき事がわからないまま、49日の法事を迎えました。

そんなある日のこと、飛び込みできた賃貸アパートの営業マン(大東建託さん)が、意外に相続のことについて知識があり、親身になって相談に乗ってくれました。
僕のその時の状態は、営業マンにとってアパートを建てるようなお客になるわけではなかったのに、一生懸命聞いてくれました。そして、最後にその会社が顧問として付きあっている司法書士兼税理士事務所を紹介してくれたのです。

前田けゑ、相続のパートナーが見つかる

イメージ写真
イメージ写真

紹介してくれた事務所に早速連絡して、まず司法書士さんに来てもらいました。この司法書士さんが、「あいち事務所」社長の伊藤直樹先生で、今後、僕の相続人生でバックアップしてくれる事になるんです。

この時はまだ正式に依頼するかどうか決めかねていましたが、費用は後まわしにして、すぐにおばあちゃんの土地・建物の一覧に評価額を記載して作成してくれました。登記だけでなく、税務について、特に相続を専門に取り扱っている事務所らしく、これならば信頼できるかもと思いました。

何より響いたのは、僕の人生は名古屋の家を継ぐだけじゃなく、メインはテレビの仕事をすることが絶対で、今後は芸能活動・不動産・飲食経営すべての仕事をやっていける方法を真摯に話し合っていただけた事でした。

伊藤先生に、これまで依頼をしてきた会計士さん・その事務所の司法書士さん・税理士さんに直接会ってもらいました。皆さんが相続税を払うためにどんな対応をしてくれるのか、両者から説明してくださいと持ちかけたところ、今まで依頼をしていた高齢の公認会計士さんは機嫌を悪くして、十分な話をしないまま席を立って帰ってしまいました。

イメージ写真
イメージ写真

伊藤先生は、「築年数の経過している賃貸マンションを更地にして、地下鉄が走っている部分とあわせて、分譲マンション事業用地として売却しましょう。おそらく、立退きの話し合いで半年以上かかります。お母様が亡くなられて10ヶ月目には、一度、相続税を納付しなければなりません。相続税を納めるために思い切った策をとらないと、自宅を売る羽目になります。一番良いと思われる案を、今日は聞いてください」と提案をしてきました。

昔からの会計士さんが提案した、すべての駐車場を売って残りは延納する方法、高級車に乗って現れる不動産会社社長さん提案の名古屋の資産を全部売って東京で暮らす方法、伊藤先生の分譲マンション事業用地として売却する方法、この三択から僕は、伊藤先生のあいち事務所を選びました。


次ページ:土地の評価からやり直し。前田けゑは相続税支払いリミットに間に合ったのか?