【総資産15億円を相続した芸人1】前田けゑ新連載スタート!

前田けゑ(まえだ けえ)/1982年大阪府岸和田市生まれ。17歳の頃から芸能活動をスタートし、司会者・タレント・カスタネットパフォーマーとして活躍。30歳のとき祖母の友人である身寄りのないおばあさんから15億円の資産を相続し、その経験をきっかけに相続診断士の資格を取得。現在は不動産や飲食店経営を行う実業家として、また、相続対策コメンテーターとして活動の幅を広げている。TOKYO MX・千葉テレビ『真夜中のおバカ騒ぎ!』レギュラー出演中。

そもそも、資産家のおばあちゃんとの出会いのきっかけは?

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僕は大阪生まれ・大阪育ち。母に女手ひとつで育ててもらってきたのですが、その母方の祖母のお友達が、名古屋で暮らす84歳の資産家のおばあちゃんだったんです。おばあちゃんにはお子さんがおらず、ご主人を亡くして身寄りがない状態で…おばあちゃんが大阪へ遊びに来たときに、僕の祖母から「一緒にご飯食べないか?」と誘われたことが出会いのきっかけでした。

実は、最初のうちは“おばあちゃんは資産家だ”とは祖母から聞かされていなかったんです。きっと、僕の祖母もおばあちゃんも、僕が資産を相続するのに相応しい人間かどうか探っていたんでしょうね。「寂しいから、たまに会ってご飯を食べよう!」とおばあちゃんに誘われるようになったのが25歳の頃。それから何度か食事をするうちに、家族のことや財産のことを話してくれるようになって、そこではじめて“おばあちゃんは名古屋の資産家なんだ”と気付きました。でも、僕自身はそこにはあまり関心がなくて、おばあちゃんの話し相手になれたら良いかなという程度の感覚で会っていました。

その頃、前田さんはどんな生活をしていたのですか?

【総資産15億円を相続した芸人1】前田けゑ新連載スタート!

17歳の頃からテレビに出るのが夢で、もともとミュージシャンを目指してバンド活動を行っていたんですが、やっとメジャーデビューできると思ったら僕一人だけバンドをクビになったり、芸能事務所を転々としたりして、本当にツイてない人生を送っていましたね(笑)。

おばあちゃんとご飯を食べるようになったのは、上京して売れないミュージシャンをしながら4年が経った頃。その時はいろんなバイトをかけもちしていたので50ヶ所ぐらいバイト経験をしました。得意のカスタネットパフォーマンスは、バイト先で身につけた技なんです。

おばあちゃんに会うたびに、「ミュージシャンなんていう安定しない仕事はやめなさい!」と心配されていたのですが、僕が26歳になったとき、「わたしの養子になってくれない?」とおばあちゃんから正式に養子縁組の相談を受けたことで、僕の人生がガラリと変わりました。

養子縁組のお話を受けたときはどう思われましたか?

最初は「ちょっと待って、考えさせて!」って思いました(笑)。でも、おばあちゃんからは“何もしなくていいから、墓だけ守ってほしい”と頼まれて、僕の祖母からも「いいお話だと思うよ」と勧められたことで養子縁組を決断しました。おばあちゃんが85歳、僕が26歳のときでした。母親には事後報告だったので「あんた、苗字変わってんで?!」と驚かれました(笑)。

おばあちゃんは、以前脳梗塞で倒れてから半身が不自由な状態だったんですが、もともとお嬢様育ちなのでとにかく気の強い人で(笑)、よくケンカもしましたね。おばあちゃんにとっては僕のそういう態度も心地良かったんだと思います。実は、僕はもともと“おばあちゃん子”で、いつか祖母の介護が必要になるかもしれないと思ってヘルパーの資格を取っていましたから、おばあちゃんに会ってお世話をするときは、そのヘルパーの知識も役立ちました。

養子になってからは、「月に1回ぐらい顔を見せに来てほしい」と言われていました。でもやっぱり寂しかったんでしょうね。そのうち「1回じゃ足りないから、もっとたくさん会いに来てほしい。名古屋に住んでほしい」と言われて、平日は名古屋・週末は東京という生活になり、養子になって2年目からは資産管理も任されるようになりました。ちなみに僕、最初のうちはお小遣いも何も一切もらったことはなかったんですよ(笑)。ずっと自分のバイト代で生活しながら、名古屋と東京を行き来していました。

総資産15億円の相続を受けたのはいくつのとき?

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僕が30歳のときでした。元気だったおばあちゃんが、熱を出したのをきっかけにして寝たきりになってしまったんです。入院をして3ヶ月が経ったある日、いつものように「じゃぁ東京行ってくるね!」と言って新幹線に乗ったところで容態が急変したと連絡があり、慌てて病院に戻ったのですが、おばあちゃんは90歳で帰らぬ人となりました。

華やかなことが大好きな人だったので盛大に見送ってあげたいと思い、生前親しかったお友達にも声をかけて葬儀を行いました。まさか自分が30歳で喪主を経験するとは想像もしていませんでしたが…。しかし、葬儀の後には相続に関する膨大な課題が待っていたんです。

相続を受けて、一番大変だったことは?

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いろいろ大変でしたが、まずは『総資産を把握する』ということが一番大変な作業でした。僕も資産管理を任されていたとはいえ、数字に関しては素人ですから、そのほとんどはおばあちゃんが昔からお世話になっていた会計士さんにお任せ状態だったんです。

その会計士さんは“この土地と建物を売却したら〇〇億円になります、相続税は延納しましょう”と一方的なアドバイスしかしてくれませんでした。いろいろ考えるのが面倒くさくなったので相続を放棄しようかとも思ったんですが、おばあちゃんから「土地と墓を守ってほしい」と頼まれていたのに、放棄したらおばあちゃんとの約束が果たせなくなる…だから、自分でも相続のことを勉強してみようと思ったんです。

最初は独学でしたが、たまたまアパート経営の飛び込み営業に来た建設会社の方が親身に相談にのってくれて、司法書士事務所を紹介してくれました。そこの担当者の方がとても信頼できる良い方で、僕が把握できていなかったおばあちゃんの資産をすべて確認して資産表をリストアップし、「相続税対策にはいろいろな方法があります。一番良い方法を考えましょう」と言ってくださいました。

約15億円の資産を相続した場合、何も対策をとらなければ相続税は約7億円になります。でも、銀行には2億円の預貯金しかなかったので、相続税を支払うためにはあと5億円を工面しなくてはならなかったのです。

様々な控除を受けることで相続税を何とか4億5000万円まで減らし、所有していた駅前の土地を売却するためにそこに建っていたビルを取り壊し、そのビルに入っていたテナントや入居者の方に立ち退き料を払って、また新たに別の場所にテナントビルを建てて…と、いろいろな対策を講じてやっと相続税を支払うことができましたが、“相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内”という申告期限には間に合わず、延滞税を追加して支払うことになりました。

莫大な資産を相続したことで、周囲の反応が変わったり いやがらせを受けたことはありましたか?

僕の家族や友人は何も変わっていません。たまに「ライブのチケットを大量に買ってくれ」なんて頼まれることはありますけど(笑)。あとは変な営業の電話やメールが頻繁に届くぐらいでしょうか。

いやがらせというワケではないんですが、おばあちゃんが僕と養子縁組をする前に、実はもうひとり養子候補になっていた人がいて…その人から「自分にも相続する権利があるはず」といった主張を何度か受けました。他にも、お葬式の場で親戚を名乗る人からいきなり「自分も5000万円ぐらいもらえるんじゃないか?」と言われましたが、法的には相続権がない人だったので即却下しました(笑)。振り返ってみると、僕もそうでしたが“多くの人は相続のことについて何も知識を持っていなんだな”と実感しますね。

“スムーズな相続”のために欠かせないことはなんだと思いますか?

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何といっても『時間』ですね。『10年間かけてゆっくりと相続する』のがオススメだと思います。僕の場合は、奇跡的に僕以外の相続人がいなかったのでわりとスムーズに対策を練ることができましたが、相続人の数が多ければ多いほど揉め事が増えるので、その分時間がかかります。

まずは相続についての基礎知識を学び、自分の資産の相続人が何人いるかを把握し、土地・建物・預貯金などの総資産を把握して、毎年少しずつでも生前贈与をおこなっておくなど、早めの相続対策を心がけると、お子さんやお孫さんたちの相続時の負担を減らせると思います。ちなみに、僕自身は相続を経験してからもっと専門的な知識を身につけたいと思って33歳のときに『相続診断士』の資格を取りました。

そしてもうひとつ、税理士さん・司法書士さん・弁護士さん・不動産屋さんなど“その道のプロ”からの助言は欠かせませんから、信頼できるプロを見つけてしっかりとした関係を築いておくことも大切な準備だと思います。

最後に、これからの新連載に向けて読者の皆さんへメッセージを!

相続というのはお金持ちかそうでないかは関係なく、皆さん一人ひとりにとってとても身近な問題です。僕自身の体験と相続診断士としての知識を生かしながら、一人でも多くの皆さんに『相続の仕組み』について知っていただきたいと思っています。これからの連載をどうぞお楽しみに!

カスタネットパフォーマーとして活躍する前田けゑさん
カスタネットパフォーマーとして活躍する前田けゑさん

32歳の時に自ら会社を設立し、名古屋の土地・建物の不動産管理を行いながら東京で飲食店を経営。実業家としても手腕を発揮している前田さん。「普段の食事はコンビニ弁当を食べたりしているので、相続後に生活が大きく変わったことはありません。でも、相続芸人として知られるようになってから“お洋服はブランド物ですか?”と聞かれる機会が増えたので、カスタネット芸のときの衣装だけは皆様のご期待にお応えして“全身100万円のイタリアブランド”でキメています(笑)」

「おばあちゃんと養子縁組をしてから、名古屋と東京を行き来するようになりバンド活動ができなくなったので、“ピン(一人)でもできることってないかな?”と考えたときに思いついたのがカスタネット芸でした。ある番組でテリー伊藤さんから“君はカスタネット芸人だ!”と言われて以来、カスタネット芸人を名乗っています」。“カスタネット芸”の第一人者でもある前田さんのダイナミックなカスタネットパフォーマンスは、海外でもライブを行うほどの実力です。

連載

【総資産15億円を相続した芸人2】前田けゑ、養子入りする編
【総資産15億円を相続した芸人3】前田けゑ、通帳・印鑑・不動産台帳を任される編
【総資産15億円を相続した芸人4】前田けゑ、相続税の支払い期限が迫る編
【総資産15億円を相続した芸人5】前田けゑ、相続税を安くする編

【総資産15億円を相続した芸人6】前田けゑ、立ち退きに四苦八苦編
【総資産15億円を相続した芸人7】最終回に伝えたいこと編

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