子どもの成長に合わせて、広い家に引越したいと考える人は少なくないはず。今回紹介するSさん(45歳)もそんな一人でした。妻と子ども2人の一家4人で築35年の一戸建てに住んでいましたが、子どもが大きくなるにつれ、家が手狭になってきたといいます。

新築の家に住み替えようと考え、住んでいた一戸建てを売却しました。売却までかかった期間は約1年。買い手がなかなか見つからず、“焦り”を感じた時期もあったといいます。そんなSさんに売れるまでの経緯を話していただきました。

Sさん(45歳)の住み替えにおける売却体験談

概要/結婚してそのまま実家の一戸建てに住んでいたが、子どもの成長で手狭に。住んでいた家を売却し、広い一戸建てに住み替え
家族構成/家族4人暮らし(妻38歳、長女11歳、次女9歳)

 

~売却した住まいについて~
エリア/千葉県柏市
立地/最寄り駅から自転車で約20分
土地面積/約90m2
建物面積/約60m2
間取り/木造2階建て・3LDK
築年数/35年
Sさんの居住年数/35年
売り出しから売却までにかかった期間/約1年
売却年月/2014年4月

 

レジャー関連の会社に勤めるSさん。売却した家は、独身時代にご両親と一緒に住んでいた一戸建てでした。「僕が8歳の頃に両親が購入した家で、当時は新築でした。そこにずっと住み、僕が32歳になって結婚したのを機に、生前贈与の形で譲り受けたのです。両親は近くに引っ越して、僕ら夫婦だけで住むことになりました」と、Sさんは話します。その家は約90m2の土地に建つ木造2階建て。建物の面積は約60m2、3LDKの間取りでした。そこでSさんは新婚生活をスタートさせ、やがて長女、次女が誕生しました。

 

そんな思い出の詰まった家を、Sさんはなぜ売却しようと決意したのでしょうか?
「子ども2人が成長して家が手狭になり、長女、次女のそれぞれの部屋があるといいなと思うようになったんです。それと、築30年を過ぎ、耐震に不安を感じるようになったことも大きいです。東日本大震災のとき、家の建物は大丈夫でしたが、煉瓦の塀にヒビが入ってしまって、激しく損傷してしまったのです。この家は1970年代に建てられたものだから、当時の耐震基準で建てられているんですよね。ならばこの家を売って、現在の耐震基準で建てられた新築に住み替えるほうが安心できるのでは、と思ったのです」。

 

家族の住み替え

家族の住み替え

そうして2013年4月、不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始しました。長女が小学校3年生に進級、次女は幼稚園の年長。1年後には次女の小学校入学というライフイベントがあることを見据えての決断でした。「もとは両親が頑張って手に入れた土地と家屋です。事前に両親にも相談して承諾を得ました。結婚して地元を離れて暮らす妹も、“お兄さんの家なんだから、いいんじゃない?”と言ってくれました」と、Sさんは打ち明けてくれました。

 

売却を任せる不動産会社については、Sさんは主にインターネットで情報を集め、まず、A社、B社、C社の3社に査定を依頼しました。数ある不動産会社の中から3社を選択したのは、いずれも大手だったからといいます。

 

「売却経験者の口コミ体験サイトを見たらいろいろな書き込みがあったんです。その中でやはり大手のほうが安心できると思いました。そこで、新聞の折り込みチラシでよく名前を見かける大手の3社に査定を依頼したのです」。

 

A社、B社、C社のそれぞれの担当者に来てもらい査定をしてもらった結果、Sさんが媒介を頼んだのはA社のみの1社でした。なぜA社とだけ、媒介契約を結んだでしょう?3社で査定価格の違いがあったのでしょうか?

 

「3社で査定価格の差はなく、ほぼ同じでした。査定額に対しては、僕自身は相場かなと思いました。インターネットで調べていて、自宅周辺地域の中古住宅のだいたいの相場は知っていたのです。A社に決めたのは対応がよかったからに尽きます。それとA社には、他の2社にはないアドバンテージもあったのです」。

 

Sさんが言う“アドバンテージ”とは?
「実はこの家はA社が分譲した物件なんです。うちだけではなく、周辺一帯はA社の分譲で建った家がほとんどで、そのためか、我が家の売却査定にやってきたA社の営業担当者はこの地域の物件のことを詳しく知っていました。聞けば、A社ではこの地域の家の売却もたくさん手がけているとのこと。僕の質問にも即答で返ってくるし、安心して任せられると思いました」。

 

もう1点、SさんがA社の営業担当者に好印象をもったのは、売るだけではなく、新築の家に住み替えたいという相談にも親身になって聞いてくれたことでした。Sさんの最終ゴールは新築の家に住み替えること。そうしたSさんの目的を知ったA社の営業担当者は、「売らずに建て替えて住む」、あるいは「売らずに貸す」という2つの選択肢があることも提案してきたといいます。

 

「この2つの方法もありだなとは思いましたが、建て替えは大がかりな工事になるので費用がかさむし、長期間になります。多額のリフォームローンが発生するうえに、建て替え工事中に仮住まいをする必要も出てくるでしょう。そういう事態は避けたいので、建て替え案は即、NGになりました。貸すという案には一瞬心が動きましたが、現実的に考えると、可能性はないなと。A社側も“周辺の賃貸物件の相場より高めの家賃設定になるため、借り手が見つからないかもしれません”という意見でした。ならば家を売って、同じ地域の新築に住み替えることにしようと決心を固め、売却も、住み替え先の購入も、A社に依頼することになったのです」。

 

A社からは売却と住み替え先購入をどう並行させていくか、タイムスケジュールやかかる費用や税金なども含め、説明があったといいます。今より広くて、交通の便のいいところに住み替えるとなると、家を売って手にした金額ではまかないきれないことになり、不足分は住宅ローンを組む必要があることがわかりました。

 

「A社と話をしているなかで、“住み替える新居の価格によっては、家が売れなくても住宅ローンを組んで購入することも可能なのでは?”と言われました。でも、妻とも相談して、住み替え先の購入は家が売れてからにしようと決めました。新居に移ったはいいけれど、家が売れないままの状態が続くと、固定資産税などの負担もかかってきて困ってしまいますから…」。

 

売却を先行させる形で住み替え先を検討していくことになったSさん。売却の宣伝ツールはチラシとインターネット広告でした。Sさん宅は、最寄り駅から自転車で約20分という立地ですが、緑が多く、幼稚園や小学校も近くにあり、「子育て世代にはよい環境だと思いますので、そのあたりも広告のセールストークに盛り込んでもらいました」と、Sさん。

 

売り出して約1ヶ月後の5月、初めての内覧者がやってきました。幼稚園児を連れたファミリーだったと言います。

 

―内覧に備え、Sさんが事前にやっていたこととは?
「ふだんは掃除は妻にまかせっきりですが、内覧の方がいらっしゃる前日は僕も頑張って掃除をしました。工夫したことといえば、部屋を広く見せるためによけいなものは納戸にしまい込んだりして片付けをしっかりやったことくらいでしょうか。ただ、東日本大震災の影響でヒビが入ってしまった煉瓦の塀は隠せるものではないので、正直にお話しました」。

 

―築年数が30年を超えている家ですが、リフォームは一度もやっていなかったのでしょうか?
「10年前に一度、リフォームをしています。トイレにウォッシュレット付きにする、台所をシステムキッチンにする、お風呂はユニットバスにという具合に水回りを変えました。ただこれは、売却するためにということではなくて、住むうえで便利に暮らせるようにするのが目的でした。今思うと、そういうリフォームをしていなかったら、築35年の家を売るのは厳しかったかなと感じています」と、Sさんは言います。

 

さて、5月に初めての内覧者が表れたものの、売却には至らず、その後、半年間は内覧希望者の訪問はゼロ。それでもA社からはインターネット広告のアクセス状況や、物件への問合わせ状況などの報告が定期的にあり、Sさんからの問合せメールにも即、返信。そんなA社のサポートには、不満はまったくなかったといいます。

 

「家は高額なものだからそう簡単に売れるものじゃないし、買い手が現れるまで気長に待とうと思ったんです。でも、やっぱり不安でした。私も妻もインターネットの住宅情報サイトをしょっちゅう見ていて、うちの近所の売り物件にも詳しくなってしまいました(笑)。うちよりも高額なのにすぐに売れたりすると、“先を越されてしまってショックだね”とか、新たに売りに出た家を見つけると、“ライバル出現! ヤバイかも…“なんて、夫婦で話したりしていたものです」。

 

売却活動の進展を待ちつつ、SさんはA社から住み替え先物件の情報提供を受け、現地へ案内してもらっていました。新築建売住宅で候補物件の目星をつけていましたが、家が売れることが前提の住み替えです。なかなか売れない状況で、見直したことはあるのでしょうか?

 

「売り値です。A社から”もし売り値を下げてくれるなら買ってもいいという人が現れたら、どのくらいまでなら下げてもいいですか“と、と言われたのです。売り出してから6ヶ月もたっていたので、売り値の交渉に応じるのはいたしかたないなと思い、”100万円なら下げてもいいです“と、答えました」。

 

そして、10月に久々に内覧希望者が表れました。売却とはなりませんでしたが、12月にも内覧希望者がやってきました。それでも売却とはならず、「なんで売れないんだろう」と思いながら迎えた新年。事態は動きます。2014年のお正月休み明けに1組のファミリーが内覧に訪れ、「気に入ったので、ぜひここに住みたい」と、売却先が決まったのです。購入したのは、幼稚園児と乳幼児の2児がいるご家族だったそうです。先方からの交渉に応じ、査定価格より100万円低い金額で売ることになったのですが、「これでようやく住み替え先の購入ができる」と、ほっと胸をなでおろしたSさんでした。

 

A社の案内で住み替え先となる新居の候補選びは済ませていたSさん。2月に正式な売却契約の成約後、即、住み替え先を確定させ、購入契約や住宅ローンの契約など、スピーディに進んでいきました。購入した新居へSさん一家が引っ越したのは2014年4月1日。そして、4日後の4月5日、売却する家を買い主へ引き渡すというめまぐるしいスケジュールでしたが、仮住まいをすることなく、スムーズに住み替え先へ転居できました。

 

「売却も、住み替え先の購入も、同じ不動産会社の同じ営業担当者に任せたからうまくいったと思います。次女の小学校入学にも間に合ってよかったです」と、Sさん。購入した新居は新築の建売一戸建て。これまでの家と同じく木造2階建てですが、土地は約100m2、建物面積は約80m2、4LDKと広い住まいを手に入れました。また、従来と同じ最寄り駅利用で、駅から新居まで自転車で約5分とアクセスもよくなりました。

 

念願の新築一戸建てへの住み替えが叶ったSさん。それまでのプロセスでの反省点や、こうすればよかったと思っていることは?
「買う人にとって、中古住宅は価格が安いのが魅力でしょう。でも、それに加えて、少しでも見栄えがいいほうが早く売れるのかなと思いました。近所の売り家でわが家より高額なのに早く売れた家は、全体的にキレイにリフォームしていた家が多かったみたいです。うちの場合は水回りのリフォームはやっていたけれど、それだけでは足りなかったのかもしれません。壁やリビングなど、もっといろんな部分のリフォームをしておけばよかったのかなというのが反省点です」。

 

この記事を読んでくださっている方の中には、築年数が古い家の売却を考えている人もいらっしゃるでしょう。立地や建物の状況などにもよると思いますが、Sさんの“こうしておけばよかった”は、アドバイスの1つとして覚えておくといいでしょう。

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