Yさん(56歳)の義父の入院費抽出に伴う売却体験談

概要/義父(妻の父親)が認知症になり、入院。
    入院費を捻出するために義父母が住んでいた一戸建て(妻の実家)を売却することになった。
家族構成/現在、家族5人暮らし(妻50歳、長男24歳、次男21歳、義母82歳)

エリア/東京都調布市
立地/最寄り駅から徒歩30分(バス利用で10分程度の乗車で最寄りのバス停)
土地面積/70坪
建物面積/110m2
間取り/木造2階建て(1階に2部屋と台所、2階に2部屋)
築年数/約40年
居住年数/約40年
売り出しから売却までにかかった期間/5ヶ月
売却年月/2013年10月

家を売ることに義母も前向きだった

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入院費の算段をどうするか?

高齢の親が倒れてしまったとき、親の容態も心配ですが、入院費の算段をどうしようかと考えたりもするでしょう。2013年4月、Yさんの妻の父親が認知症で病院に入院することになったとき、妻は入院費のことも気がかりでした。

「妻の母親もそうだったようです。当時、義父母は80歳と高齢で年金生活です。そんな状況だったので、費用のことでは頭を悩ませていました」と、Yさん。

義父は認知症なので、病院を退院後も施設で暮らすことになるでしょうから、先々の介護費用も必要でした。もうひとつ、Yさんご夫婦にとって心配だったのは、義母が一人暮らしになってしまうこと。妻の実家は東京都下のある住宅街に位置する、築約40年の一戸建て。70坪の敷地に建つ木造2階建てて、間取りは1階は2部屋と台所、2階は2部屋。建物面積は110m2でした。義母が1人で住むには広いし、何かと物騒ですから防犯対策も考えなければなりません。

そこで、義母と妻、Yさんの3人で話し合った結果、出した結論は妻の実家を売却することでした。売った代金で義父の入院費を捻出。そして、その残りでYさんご夫婦が新居を購入し、義母と同居するというプランを立てたのです。

「義母自身もあの家に住み続けるつもりはありませんでした。妻の実家は最寄駅から徒歩で30分ほど。バスだと駅から10分ぐらいですけど、バス停から10分ほど歩かないといけないんです。そういう立地だったので、以前から義母は“こんな不便が場所ではなくて、駅の近くがいい”と言っていたんですよ。ですから義母は家を売ることへのためらいとかは、ありませんでした。妻には妹がいますけど、義妹も 実家の売却には反対しませんでした。“実家を売って、お姉さんがお母さんと一緒に住んでくれるのならば安心”と言ってくれたので、私もほっとしました」。

不動産会社のアドバイスで成年後見人を立てるための手続きをする

とりあえず、義母はYさん一家が住む社宅の近くにアパートを借り、引越しを済ませました。そうして妻の実家の売却活動が始まりました。家の売却には不動産会社とのさまざまなやりとりが発生しますが、その重要な役割をYさんが担うことになりました。まず、売却の査定の依頼です。Yさんは不動産会社3社に査定を依頼しました。その3社とはA社、B社、C社でいずれも大手です。

「この3社に声をかけた理由は、たまたま、私の社宅の部屋に3社のチラシがポスティングされていて、それがA社、B社、C社だったんです。早速3社に電話を入れて査定に来てもらいました。そのなかでぜひお任せしたいと思ったのはA社でした」。

YさんはなぜA社に好印象をもったのでしょうか? 
「査定額は3社ともほぼ同じでした。妻の実家の建物は古いので、実質的には土地がいくらで売れるのかの査定です。私なりに事前に土地の公示価格を調べたり、3社のホームページで妻の実家周辺の売地の価格を調べていて、相場はつかんでいたので、3社の査定額に対しては“やっぱりこのような価格になるのかな”と思いました」。

査定額では3社横並びということですが、A社だけが今回の売却にいたる事情を親身になって聞いてくれ、適切なアドバイスをしてくれたといいます。
「B社とC社は営業担当者が挨拶がてらやってきただけという印象でした。A社は営業担当者と上司が2人で来てくれて、上司は法律の知識にも詳しく、“現在、土地と建物の名義人であるお義父様が認知症で入院中ならば、成年後見人を立てる必要があります”とアドバイスをしてくれたのです。さらに“成年後見人を立てなければ、売却を進めることができないので、手続きをしてくれる弁護士を紹介しましょうか?”と、突っ込んだ助言もありました。まさかそんな手続きが必要になるとは思いもよらなかったので、私も妻も驚きましたが、A社は頼りになるなと心強く感じました」。

成年後見人とは、認知症などの理由で判断能力が不十分な人に代わって、被後見人の意志をできるだけ尊重し、被後見人を援助する立場の人のこと。成年後見人を選任するには、管轄する家庭裁判所への申し立てなどの手続きが必須ですが、Yさんの場合はA社が紹介してくれた弁護士を通じ、スムーズに手続きを進めることができたといいます。

ちなみに法定後見人になれるのは被後見人(Yさんのケースでは義父)の家族や親族、あるいは弁護士や司法書士など専門職にある第三者と決められています。今回紹介するYさんのケースでは、Yさんの妻(義父の子ども)が成年後見人に選任されました。

義父が亡くなり、家は妻が相続することに

ところがすべての手続きを終え、成年後見人が決まった矢先、義父が肺炎になり、入院先で亡くなってしまいました。2013年5月のことでした。

義父の葬儀が済んでしばらくした頃、事情を知らないA社の営業担当者から「成年後見人は決まりましたか?」との電話が入り、Yさんが対応しました、

「A社の営業担当者に“実は義父が亡くなりまして…”と告げたら驚いていましたが、“ならば、土地と家屋をどなたが相続するのか決めていただき、相続登記が必要です”と教えてもらいました。成年後見人、遺産相続と立て続けに法律的な手続きが必要になって、知らないことばかりで戸惑いました。でも、成年後見人S選任の際にお世話になった弁護士さんに遺産相続でも助言をいただけたので、よかったです。相続の手続きもスムーズでした」と、Yさんはふり返ります。

義父名義だった土地と建物を相続したのは、Yさんの妻。義母と妹で話し合って何のトラブルもなく、円満に相続人が決定したといいます。

A社が提案してきた「より高く売る方法」とは

そして、いよいよ売却活動の本格スタートです。妻の実家の売却を決心してから義父の成年後見人の選任、義父の死、遺産相続と、大きな出来事を経ての仕切り直しです。A社の営業担当者はYさんにこう切り出しました。

「当社との契約の方法は3つあります。当社の他に複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約。依頼するのは当社にだけですが、Yさんのほうで買い手を見つけることもできる専任媒介契約。そしてもうひとつが専属専任媒介契約です。依頼する不動産会社は当社だけで、しかもYさんたちが買い手を見つけることができないという契約方法です。私どもとしては、できれば専属専任媒介契約で進めさせていただきたいと考えています。当社にすべてお任せいただければ、できるだけ高い価格で売る方法をご提案できます」と。

Yさんとしては、これまでの経緯もあるので、A社からの専属専任媒介契約の申し出を快く承諾しました。気になるのはA社が言う「できるだけ高い価格で売る方法」ですが、それは次のような提案だったのです。

●家の建物は解体して建築条件付き宅地として売る。
解体費はA社が負担。
●土地が70坪だと広くて、買い手が見つかりにくいので、35坪ずつ2つに分けて売る。
「70坪で売る」より、「35坪×2で売る」のほうが高く売れる。

A社のこのような提案は素人には思いもよらぬ方法です。提案を聞いて驚くYさんに、さらにA社は「この方法でなら、既に買い手の当たりはついています」と言うのです。それは説得力のある話でした。

「このあたりは住民の世代交代が始まっていて、妻の実家のように親が高齢だったり、亡くなったために家を売却するケースが増えているのだそうです。そうした売却物件を購入して新たに住宅地として分譲し、売り出そうとしているD社という不動産会社があるのだそうです。私たちさえよければ、そのD社に売却の商談をもちかけるということでした」。

A社からのていねいな説明を聞き、納得したYさん。同席していた妻も義母も納得し、D社に売却するということで、A社に進めてもらうことに決まりました。

家も片づけに四苦八苦、手に負えなくて不用品回収会社に依頼

Sepia toned image of cleaning utensils
片付け

ほどなく、D社への売却が確定。売り値は、当初設定していた額よりも高く売れました。査定の段階では2000万円だったのが2800万円で売れたといい、「妻も義母もとても喜んでいました」と、Kさん。売却に必要な土地の調査や測量などもすべてA社がやってくれました。

何から何までうまくいった売却ですが、大変だったこともありました。それは妻の実家の片づけ作業でした。D社への引き渡しが行なわれる10月末までには、残された家具などをすべて運び出し、空っぽの状態にしなければなりません。

「6月にはD社への売却が決まっていたので、毎週土日に妻や義母と一緒に行って片づければ十分間に合うと思っていたんです。それが予想以上に処分しなければならないモノが多くて、夏の暑いときに汗だくになってやっても全然、モノが減らない。義父の形見に残しておきたいものもありましたが、義父が”お宝だ!“と大事にしていた壺や、漢方薬用のキノコの“サルのこしかけ”など、引き取り手のいないものもたくさんありました。それにエアコンなどもはずさないといけないですし…。僕らの手に負えなくなって、不用品回収会社に頼んで引き取ってもらいました。処分したものはトラック3台分もあって、費用は30万円ほどかかってしまいました」。

住み慣れた町で新居を購入し、義母との同居をスタートさせた

さて、どうにか家の片づけを完了させ、D社への引き渡しを終えましたが、その頃、Yさんご夫婦は義母との同居に向けて、新しい家の購入の検討を始めていました。

そんなある日、Yさんが住む社宅にポスティングされていた1枚のチラシが、きっかけになりました。
「住んでいる社宅と同じ町内で、30坪の建築条件付宅地が売り出し中というチラシ広告でした。土地の売主が指定する建築会社に設計・施工を依頼するという条件の土地です。家を購入するなら住み慣れた町がいいと思っていたので、妻と一緒に現地へ行ってみました。社宅よりも最寄り駅に近いし、周辺にスーパーもあって便利な場所で、申し分のない立地でした」。

この売地を扱う不動産会社のE社へ電話を入れ、営業担当者と会い、さらにその足で設計・施工を担当する建築会社のショールームへ。家の建材や内装、外壁などについての説明を受けたYさんご夫婦。

「私よりも妻が気に入っていたようです。その後、うちの息子たちや義母も、現地と建築会社のショールームへ行き、新居として購入が決まりました」。

妻の実家を売却した代金と、Yさんの貯金を合わせ、住宅ローンなしで購入。義父が認知症で入院したときからちょうど1年後の2014年4月、新居に引越して、義母とともに新しい生活が始まったのです。新居は東京都内の私鉄沿線の最寄り駅から徒歩8分。2階建ての4LDKの一戸建てです。

将来、自分自身の実家を売却するときがくるかもしれない

実はYさんは、もともとは自分の家を持とうという志向はなく、ずっと社宅暮らしでもいいかなと考えていたそうです。Yさん自身、都内に実家(一戸建て)があり、「私は長男なのでいずれは実家に戻って老いた両親の世話をすることになるだろうなと、漠然と考えていたんです」と、Yさん。妻の実家の売却でYさんの人生も大きく変わったのです。

将来、Yさんの実家のご両親に何かあったとき、実家の家はどうするのでしょう?
「僕には弟が1人いて、先々のことを今から話し合っています。弟も実家を出て所帯をもって暮らしていて、自分の家を持っています。だから親に何かあったら、家は売るしかないかなと思っています」。

将来、もしもYさんの実家を売ることになったとき、今回の経験から「こうしたい」と思うことは?
「A社に対しては、よく頑張ってくれたので満足しています。セールスだけではなくて、そのときそのときで適切なアドバイスをしてくれました。でも私に不動産の知識があれば、A社のほかにも複数の不動産会社に依頼して競わせることで、売り値を上げることもできたのかもしれません。今回の経験を通して不動産のことに詳しくなったので、次に活かせると思います」。

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