Tさん(51歳)の住宅ローンの残債を気にしながら住み替た売却体験談

概要/子どもたちが大きくなり、「自分の部屋がほしい」と言うように。そのリクエストに応えるために住んでいたマンションを売却し、新たにマンションを購入して住み替え。住んでいたマンションは住宅ローンの残債があった。
家族構成/家族4人暮らし(妻49歳、長女13歳、次女12歳)

~売却した住まいについて~
エリア/千葉県千葉市
立地/最寄り駅から徒歩10分
間取り・総面積/3LDK・82m2
築年数/約20年
Tさんの居住年数/13年
売り出しから売却までかかった期間/1年
売却年月/2016年3月

2015年2月~3月頃、住み替えを考え始めた

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住み替えを考え始めた

Tさんが13年間暮らしてきたマンションを売却し、住み替えを考えるようになった理由は、子どもたちの成長。「長女が小学校の高学年になって、“私の部屋がほしい!”と言い始めたんです。僕ら夫婦も娘たちそれぞれの部屋が必要だなと思いました」とTさん。住んでいたマンションは3LDK・82m2で、一番広い洋室がTさん一家の寝室、そしてリビングと隣り合うようにして洋室と和室が続いていて、独立した個室はありませんでした。

「娘たちも成長するにつれ、着替えているところを父親に見られたくないとか、いろいろ気にするようになっていたし、長女が中学受験のため塾通いを始めてからは帰宅が遅くて、次女と就寝時刻が違ってくるようになったんです。先に寝ていた次女が、長女が寝室に入ってきた音で目がさめて睡眠不足になったこともありました。なんとかしなければ、ということで、今の住まいを売って、同じニュータウン内で住み替えたいと思うようになったのです」。

2015年4月、不動産会社のA社に査定を依頼。銀行にも出向いて住宅ローンの相談

長女が小学校6年生、次女が小学校5年生になり、長女が中学校に入学する前には子ども部屋のあるマンションに住み替えたいと考えたTさん。妻も賛成してくれましたが、気がかりだったのは住宅ローンの返済が1000万円ほど残っていたことでした。そんな状態で住み替えができるものなのか? また住み替え先の購入で新たに住宅ローンが発生する可能性も高いだろうけれど、ローンの負担が増えてしまったら返済していけるのか? そもそも50代のサラリーマンに銀行はお金を貸してくれる? ……さまざまな不安がTさんの頭によぎりました。

重要ポイントとなるのは、マンションがいくらで売れるのかということ。マンションを売却して得たお金でローンの残債の支払いができて、残ったお金を住み替え先の購入資金に充てることができれば、「売却→住み替えプラン」を実現できそうです。そこでTさんは不動産会社に査定をしてもらうことから始めました。住んでいるニュータウンの中でも規模の大きい店舗を構えている、大手不動産会社のA社に査定を依頼。すぐさま営業担当者が査定にやってきて、数日後に知らされた査定額を知ったTさんの感想は、「こんなに高く売れるの?」でした。査定額は2200万円。

「なんの先入観を持たずに査定を依頼してみたら意外に高額だったので、驚きました。ローンの残債を上回る額です。でも、”本当にこの値段でいいのか?“と疑わしい気持ちも湧いてきてインターネットでこのニュータウン内の中古物件をチェックしてみたら、相場の金額だとわかって、安心しました」。

そして、TさんはA社の店舗へ出向き、「家を売却して住み替え先を購入したい」と伝え、購入に関する資金計画の相談にのってもらいました。住宅ローンの残債、住み替えを希望する間取りを備えた物件の相場、不動産仲介手数料や税金など諸費用も合わせて必要な資金のシミュレーションをしてもらったところ、Tさんが予想していた通り、住み替え先の購入のために新たに住宅ローンを組む必要があることがわかりました。

「貯金もあるけれど、まだまだこの先、娘たちの進学などでお金がかかるので、ある程度は手元に残しておきたいなと。そんな僕の考えを反映してシミュレーションをしてもらい、その結果、新たに2000万円ほど住宅ローンを組めればなんとなるということがわかりました。僕自身はどうにか返済できそうな額ですが、問題は銀行が貸してくれるかどうか、です」。

弱気になりかけたTさんですが、「ひとまず銀行で相談してみてください」とA社の担当者に言われ、住宅ローンを借りている銀行へ足を運びました。住んでいるマンションを売って住み替える予定があることを告げ、2000万円の住宅ローンを組めるものかどうか仮審査をしてもらったところ、「最大2800万円、35年ローンでも受付可能」という回答が得られたのです。

「僕はもう50歳だし、正直なところ、年齢的に難しいと思っていたので、借りられるとわかってうれしかったです」。

資金計画のメドもたち、気持ちにはずみがついたTさん。A社に正式に依頼し、「専属専任媒介契約」を結び、売却活動がスタートしました。

A社を選んだ理由は物件情報数が多く、営業担当者の対応もよかったから

さて、数ある不動産会社からA社を選び、専属専任媒介契約をしたのは、何が決め手になったのでしょうか? 

「実はこのマンションは、A社の仲介で購入した住まいで、そのときの対応がよかったんです。売却もA社に頼みたいと思って査定を依頼したら、住み替えの購入を見据えた資金計画の相談にものってくれて、ますます好印象を持ちました。念のため、他の大手不動産会社のサイトを調べて情報収集もしましたが、このニュータウンで扱う物件数をみてもA社が断然多かった。“A社しかない!”とすんなり決まりました」。

TさんがA社と交わした「専属専任媒介契約」とは、A社のみに売却を依頼するという契約で、他の不動産会社へは依頼することができず、自分で買い手を見つけることも不可となっています。なかなか売れないときにはデメリットのある契約方法ですが、Tさんは納得して決めたといいます。

このほかの媒介契約には、複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」、1社のみにしか依頼できないながらも自分で買い手を見つけてきてもOKの「専任媒介契約」の2つがありますが、「どれを選んでも売却が成立したときに不動産会社へ支払う媒介手数料は変わらないんです。でも、契約の方法によって、受けられるサービス内容が違うと、A社の営業担当者から聞き、ならば最も手厚いサービスが受けられる専属専任にしようと思いました」と、Tさんは振り返ります。

「専属専任契約」の場合、「チラシ広告はカラー」「インターネット広告に出す」に加え、「電話の問い合わせ件数、ネット広告へのアクセス回数について、毎週、郵送でTさんへ連絡する」といったサービス内容。「報告頻度の高さがいいなと思いました」と、Tさん。

2015年5月から夏にかけては、内覧ラッシュ

5月になって、初の内覧者の訪問がありました。以降はほぼ毎週、土曜・日曜には内覧者がやって来て、多い日には2組が訪れたときもありました。主に奥さまに対応を任せていたものの、都合がつけばTさんも同席していたといいます。

「掃除は毎回、僕も妻と一緒に頑張りました。金曜に会社から帰宅後、深夜に部屋の片づけをして、土曜は早起きして掃除機をかけるというのが週末の日課になっていました。大変でしたが、内覧の方がたくさん来てくれれば早く売れる可能性も高くなるので、うれしかったですよ」。

内覧は、ご夫婦でやってきたケースがほとんどだったそうです。Tさんご夫婦と同世代のご夫婦もいれば、まだお子さんのいない若い夫婦の姿もありました。内覧者からは、騒音のことや西日は強くないか、床暖房の設備はあるのか、などさまざまな質問を受けたそうで、「両隣はどんな人たちですか?」というご近所づきあいを気にしての質問も多かったとのことです。

ところが毎週のように内覧があっても、なかなか売れません。内覧のあった日の夕方、A社の営業担当者から電話で報告がありましたが、「ご返事は保留です」「今回は見送りです」と、残念なお知らせばかり。

そうして気がつけば7月末。それまでに内覧者は20組を超えていましたが、買い手が現われず、Tさんはあせり始めました。

2015年8月、内覧者が激減…不安が募る

8月になり、内覧者の訪問も激減。9月になると、内覧はなくなり、ネット広告へのアクセス数も減ってきました。A社の営業担当者によると、「内覧に来る人は、このニュータウンの中で1日に数件も見て回る人ばかりです。複数の物件を見比べて、Tさん宅を選ばなかったというだけでどこが悪いということではないと思います」ということでしたが、売れない理由がわからず、Tさんの不安は募っていきました。

そして9月。季節は秋へと移り変わり、A社から「売り値を100万円ほど下げませんか」との提案がありました。それに対してTさんはきっぱり、断ったといいます。

「内心は100万円程度なら売り値を下げるもしかたないと思いましたが、A社の営業努力が足りないのでは、という気持ちがありました。なんとなくですが、A社の対応に中だるみが感じられてきて…。最初の1ヶ月は支店長が同行してきたのが途中から来なくなったり、営業担当者からの電話での報告回数も減ってきていました。なので、この機会にA社の担当者に電話でカツを入れました 。“専属専任契約でA社さんにしか頼んでいないんだから、しっかりやってください!”と。内覧者が減ってきたのならどうにかして連れてくればいいし、ネットのアクセスが減ってしまったのならサイトが読みやすくなるように見せ方を工夫するとか、努力してほしいと伝えたのです」。

A社の営業担当者は、Tさんの話を聞いてはくれましたが、その後の販売方法に大きな変化は見られなかったといいます。TさんはA社との専属専任契約期間がきれる10月、大手のB社に乗り換えようかと考えましたが、結局、A社のままでいくことにしました。「A社とB社を比べると、やはり扱う物件の数が違うんです。インターネットでこのニュータウンの中古物件の数を比較すると、A社が50件くらいあるのに対し、B社は4~5件。数字にはっきり表れているので、B社に声をかけることはしませんでした」と、Tさんは言います。

2015年11月、久しぶりの内覧者がやってきて、売れそうな感触

そうして11月になり、その後の売却活動に影響を与えることになる“事件”が起きます。その事件とは、A社が作った「Sニュータウン~秋のおすすめ物件、大売出し中!~」などと題した冊子にTさんのマンションンが掲載されていなかったのです。

「すぐにA社に電話を入れ、 “どうなっているんだ!”と怒りをぶちまけました。すると、その週末、久しぶりに内覧者を連れてきたのです。A社が発奮して内覧者を呼んでくれたのかどうかはわかりませんが…」。

そして、そのときに内覧に来た人から好感触が得られました。内覧に訪れたのは40代のご夫婦。ご主人は外国人で、和室があることに惹かれていたようでした。「スケルトンにしてリフォームをして住みたい」という希望も聞かされ、「ひょっとしたら買ってくれるのでは!」と思ったTさん。その予感は的中し、このご夫婦から「ここを買いたい」とのご返事をもらえたのです。売り値については。値下げの希望に応じ、100万円下げて2100万円で売ることになりました。

2016年2月、売却の契約。住み替え先も決定

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住み替え先も決定

ようやく売却のメドが立ったTさん。住み替え先についてもA社を通じて物件の情報提供は受けていましたが、本腰を入れて探したのは、売りが確定した2015年11月からでした。同じニュータウン内での住み替えということもあり、予算や希望に合う物件があれば、すぐに見に行くことができます。

そうして2016年1月、A社が案内してくれたマンションに住み替えることに決定。築約20年の中古マンションで76m2と、これまでより狭くなりますが、独立した個室のある3LDKの間取りを備えている点が気に入って購入することになりました。

売却のほうも2月に売却契約が完了。3月に引き渡しとなり、Tさんの売却活動が終わりました。

2016年5月、2ヶ月間の仮住まい生活を経て、新居へ引越し

住み替え先については、2月に売却が成約後、購入の契約。3月中旬には購入のための住宅ローンの契約を済ませましたが、新居に入居できるのは5月末。仮住まいが必要になったのですが、A社の賃貸担当者に仲介してもらい、ニュータウン内の賃貸マンションに仮住まいをすることになりました。

そうして2ヶ月の仮住まい生活を経験し、5月末に新しい住まいへ引越し。念願の子ども部屋のあるマンションへ住むことが叶いました。
売却と住み替えを約1年2ヶ月で実行したTさん。「もっとこうすればよかった」と思うことは?
「A社の営業担当者に対して、もっと強い態度で接すればよかったなと思います。A社から値下げを提案されたとき、僕がきつい態度に出たわけですけど、それ以前から“なんで売れないの?マジメにやってください!”くらい言っておけばよかったなと。その頃、長女は中学受験に備えて一生懸命勉強していたので、早く売って、早く新居に引越しをして、長女が受験勉強に打ち込める環境を整えてあげたかったのです」。

将来、お子さんたちが独立し、Tさんのライフスタイルが変わることがあれば、そのときにはまた住まいの売却と住み替えを考えるときがくるかもしれません。そうなったら、A社に依頼するかどうかはわからないけれど、今回の経験で学んだことはフルに活かされるはずだと感じているTさんです。

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