より自分らしい生活を求めて。増加傾向にある移住希望者

総務省の「移住相談に関する調査結果」によると、各都道府県及び市町村の移住相談窓口等において受け付けた相談件数は、平成27年度が約142,000件、平成28年度が約213,000件と、1年でほぼ1.5倍に。また、内閣官房の「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(平成26年8月、東京都在住者へのインターネット調査)によると、東京在住者の約4割が地方への移住を検討、もしくは今後検討したいと考えているという調査結果が報告されている。

リタイア後の豊かでのんびりとした生活を求めて。また環境のよい場所で子育てをしたいなどと、都会から地方へ、逆に地方から都会へと移住を検討している人も多いのではないだろうか。移住での心配事は、住まいや仕事、学校、病院、その土地の文化などだろう。ちなみに先の総務省の平成27年度の調査では、移住希望者の関心事項の上位3項目が「住まい」「仕事」「移住者支援制度」の順となっている。

移住がちょっとしたブームになっている中、移住を考えている人と、人口減少が著しい地方都市など自治体とのパイプ役を果たし、実際に移住も成功させている会社が墨田区向島にあるというのでお話を伺った。

自治体と移住希望者が情報交換を行うイベントスペース「temusubi」を運営

temusubiで行われたイベントの様子。行政の担当者らとお酒や食事などを楽しみながら何でも相談できることで、移住への不安を解消できる貴重な場となっている。月に2回ほど開催されているので、詳細は同社の「LOCAL LETTER」を見てみようtemusubiで行われたイベントの様子。行政の担当者らとお酒や食事などを楽しみながら何でも相談できることで、移住への不安を解消できる貴重な場となっている。月に2回ほど開催されているので、詳細は同社の「LOCAL LETTER」を見てみよう

お話を伺ったのが、移住をコーディネートする株式会社WHEREの代表、平林和樹さん。
「地域活性化の役に立ちたいと考え、そのヒントを探しに全国を旅している時に感じたのが、どこの地域も本当に素晴らしく魅力的だということ。地元の方とお話しても、皆さん『ここに来てさえくれれば、きっとこの土地の魅力、価値を感じてもらえるはず』とおっしゃっていました。そこで、東京で地方を感じられる場をつくりたいと考え2017年3月にスカイツリーの麓の墨田区向島に誕生させたのが、移住カフェ『temusubi』です」と平林さん。

大切にしたのが地方を「五感」で感じられる場であること。食材は特におむすびにこだわった。
「具材はその土地の食材を使用しました。海苔の巻き方も地域によって個性があり、例えば富山ならとろろ昆布で巻いた『とろろむすび』になります。食で感じ、映像も流すので視覚的にも感じていただき、当然ニオイでも感じる。様々な地域の文化や雰囲気を五感で伝えられる空間をつくりたいと始めたカフェでした」

当初は移住カフェとしてオープンした「temusubi」だが、現在は自治体の人と移住希望者が交流を図るイベントスペースとして活用。月に2~3回ほど「てむすび会」という名で交流イベントを開催している。
「先日は長野県の下諏訪町の方が地域の食材とお酒を持って来られ、10人ほどの移住希望者と一緒に色々な会話をして盛り上がりました。このてむすび会をきっかけに、移住をされた方もいらっしゃいます」

「LOCAL LETTER」で、各種イベントの紹介など、質・量ともに充実した移住情報を発信

愛読者が増え続けている「LOCAL LETTER」。移住に関する情報が満載愛読者が増え続けている「LOCAL LETTER」。移住に関する情報が満載

移住希望者、また移住者を獲得したい自治体の橋渡し役となっている同社。現在は紹介した「てむすび会」の開催以外にも、地方の魅力を知ってもらうためのツアーのプロデュース、自治体のホームページのリニューアルなどのウェブプロモーションなども行う。
「私たちはメディアを運営しているのと同時に、体験づくりも行っているのが強み」と平林さんは話す。

同社のメディアで人気を集めているのが、日本の各地域の取り組みを、移住を検討している人に配信する「LOCAL LETTER」。都内で行うイベント記事の配信のほか、モニターツアーなど全国の自治体のプレスリリースを集めて選定、編集したおよそ100記事を毎月更新。その情報濃度の高さから読者がどんどん増えているという。先に紹介した下諏訪町の方々とのイベントなども、このローカルレターを読むことで入手できる。

「都内でも移住フェアといったイベントがあちこちで行われているのですが、一過性のイベントで終わってしまい記事になっていないのがとてももったいないと思うのです。そのような情報を整理し、記事にして紹介しています。また、メルマガ会員様向けの限定イベントも行っています。より移住への情報を求めているメルマガ会員様向けに情報を発信すると行動する機会の提供につながりやすいのです。このような方たちに特別な体験を提供できることはとてもいいことだと考えています」

「移住などで人材を流動化させて、地域と人のつながりにイノベーションを起こしたい」

お話を伺った株式会社WHERE代表取締役社長の平林和樹さん。「人にやさしくできるのは心が豊かな証拠だと思います。日本中に自分のふるさとのように感じられる地域があったら、それも豊かさのひとつではないでしょうか。シンプルにいうと世界中の人たちと豊かさを分かち合いたい。そのためにビジネスとして継続性をもってやっていきたいと思います」お話を伺った株式会社WHERE代表取締役社長の平林和樹さん。「人にやさしくできるのは心が豊かな証拠だと思います。日本中に自分のふるさとのように感じられる地域があったら、それも豊かさのひとつではないでしょうか。シンプルにいうと世界中の人たちと豊かさを分かち合いたい。そのためにビジネスとして継続性をもってやっていきたいと思います」

「心の豊かな人を増やしたい」といのが平林さんの夢だという。

「そのために考えているのが、地域と人のつながりにイノベーションを起こすこと。具体的には、人材の流動化とインバウンドです。人材の流動化ではポイントが2つあると思っています。そのひとつが移住。もうひとつが土日だけでも各プロジェクトベースで関われる人を増やしたいということです。東京などで一線級の仕事をしている方、ビジネスモデルをつくるのが上手な方などが持つ技術やノウハウを、全国に展開できればいいとと考えています。同時にそれぞれの地域が持つ知恵や知識などを全国に展開する、人材の流動化です。結果として、関わっていく人の中で移住者が生まれたりとか、ライフステージによって住む地域を変えていったりとか、そうなったら都会に移住したから地方が廃れたというようなことがない、幸せな日本になるのではないでしょうか。

インバウンドも考え方は一緒です。マーケットが縮小していく中で世界から外貨を稼ぐのはとても大事なこと。日本に来てもらえたら文化を伝えられます。日本には海もあり山もあり、川もある。美しい四季もある。地域独自の文化もある。小さい島国にこんなに集まっているのはすごいことだと世界的に言われています。活かしきれていない観光資源、特に地方の観光資源を有効活用し、単純に消費される観光ではない、消費されない形のインバウンドをつくっていきたいというのが長期的な夢です。

まずは日本の中で地域と人のつながりにイノベーションを起こしていく。その次は海外も含めて地域と人のつながりにイノベーションを起こしていくということを考えています」

日本人は生まれながらの土地で暮らすなど、地元への愛着が強いそうだ。アメリカ人などはリタイア後に縁もゆかりもない土地に引っ越して暮らすことも決して珍しいことではないと聞いたことがある。やがて日本にも、そのような移住文化が定着するのだろうか?

現在は地方自治体も移住者獲得に向けたイベントを随時開催している。移住希望者は、WHERE社の「LOCAL LETTER」を活用し、移住を考えている人は、ぜひ理想の移住先を見つけていただきたいと思う。

■取材協力/株式会社WHERE/
http://whereapp.io/

■LOCAL LETTER/
http://localletter.jp/

2018年 03月06日 11時06分