市民活動ってどんな活動?

ぽると多治見が発行している『たじみの市民活動』。<br />ぽると多治見に登録している151の団体(2015年5月現在)のうち114団体の情報が掲載されているぽると多治見が発行している『たじみの市民活動』。
ぽると多治見に登録している151の団体(2015年5月現在)のうち114団体の情報が掲載されている

前回、岐阜県多治見市のまちづくりの取り組みを紹介した際、市民活動をバックアップしている支援組織「多治見市市民活動交流支援センター(ぽると多治見)」について触れたが、今回は、その「ぽると多治見」について詳しく紹介する。

不勉強な筆者は、そもそも“市民活動”とは何なのか、いまひとつわかっていなかったのだが、ぽると多治見で入手した市民活動団体の情報をまとめた小冊子を開くと、わかりやすい説明が載っていた。

●市民活動の基礎知識 「市民活動」とは?
市民活動は、市民の皆さん自らが、さまざまなニーズに対応したサービスを提供したり、社会的な課題を解決することを目的とした、「よりよい社会をつくるための、市民の、市民による、市民のための自発的、自主的な活動」のことです。(『たじみの市民活動』より)

さて、そんな市民活動を支援するのが、ぽると多治見の役割ということで、どのような施設で、どのような活動をしているのか詳しく伺うために足を運んでみた。

“なにかしたい人”をサポートする、何でも屋さん

お話を伺った大池さん。笑顔は優しく、行動はテキパキしているのが印象的。話の端々から、一緒に働く2名の職員さんをとても信頼していることが伝わってきたお話を伺った大池さん。笑顔は優しく、行動はテキパキしているのが印象的。話の端々から、一緒に働く2名の職員さんをとても信頼していることが伝わってきた

多治見市市民活動交流支援センター(ぽると多治見)は、2003年に多治見市が“市民によるまちづくり”を目指して立ち上げた施設。場所は、図書館と学習館で構成されている複合学習施設「まなびパークたじみ」の6階にあり、訪れてみると明るく開放的な雰囲気で、利用スペースは狭すぎず広すぎず、なかなか居心地がいい。

実際の管理・運営は、市の指定管理者が行っており、現在は公益財団法人 多治見市文化振興事業団が任されている。ぽると多治見を訪れる人たちと日々交流している職員の大池眞美さんに、ぽると多治見の活動内容や活動に対する思いなどを現場目線で話していただいた。まずは活動内容について。

「市民活動をされている方や、NPO法人として認証を受けて活動されている方々を支援するのはもちろん、ボランティアをやりたいとか自分の思いを活動にしたいとか、さまざまな思いを持つ方からの相談を受け、その都度、最適な方法を考えて支援やアドバイスをする、ということもしています。活動内容は本当に幅広くて、NPOの専門相談や広報紙の発行など市の規定によって行っていることもありますが、それ以外は私たち自身が企画立案して活動しているので、何でも屋さんみたいなところがありますね。」

窓口業務からイベント企画運営までフレキシブルに!

ぽると多治見には大池さんを含め3名の職員が在籍しており、1名は必ず常駐し、相談に訪れる人や展示スペースの掲示物を見に来る人などに対応している。相談件数は、窓口と電話を合わせると1ヵ月平均10件程あるそうだ。

そうした窓口業務のほか、定期的に交流サロン「ぽるとカフェ」を開催し、誰でも気軽に参加できる少人数のミニ講座を行いながら、世代や活動分野を超えて楽しく交流できる場を設けている。楽しむ目的の講座だけでなく、〈クロスロードゲームで考える災害時の対処法〉といった実生活でも役立つ意識啓発講座を開催するなど、多様な関心ニーズをつかんで交流イベントを企画運営している。

さらに、大池さんたちは施設を出て活動することも多く、市民活動団体主催のイベントがあれば、時にスタッフとしてサポートを行ったり取材に行ったりもする。さらに、取材時に撮影した写真などをホームページやフェイスブックにアップしたりすることで活動団体をPRしている。

そのほかにも、ぽると多治見主催の市民向け講座も企画している。2015年度のメインは、7月12日には登録団体との共催で立命館大学教授・春日井敏之氏を招いての子育て講演会、来年3月6日には日本総合研究所・藻谷浩介氏を招いての地域活性化に関するまちづくり講演会を予定している。ビッグイベントなだけに、大池さんも「絶対に成功させたい」と意気込んでいる。

活動内容をざっと挙げてみたが、市民活動を支援する施設の活動内容が多岐にわたっていることが、おわかりいただけただろうか。

大池さんたちの活動の一部を紹介。</br>(左上)春限定まちおこし「花馬車」の取材 (右上)講座「介助犬がやってくる&交流会」開催</br>(左下)パワーポイント講座開催 (右下)交流サロン「押し花キーホルダーとしおり作り」開催大池さんたちの活動の一部を紹介。
(左上)春限定まちおこし「花馬車」の取材 (右上)講座「介助犬がやってくる&交流会」開催
(左下)パワーポイント講座開催 (右下)交流サロン「押し花キーホルダーとしおり作り」開催

市民活動のきっかけは自身の悩み

ぽると多治見の活動、つまり大池さんたち職員の活動はとてもフレキシブルだが、相談者への対応の仕方や支援の方法については研修などがあるわけでなく、個々の経験や知識、努力に委ねられているという。

「私自身、10年以上前から“ヒューマンサポートWish(ウィッシュ) Wish親の会”という、不登校やひきこもりの子どもさんや家族をサポートする活動をしています。家族の課題に直面したときに隠す方もいらっしゃるのですが、私はとても苦しくて『誰か助けて!』と声をあげたら、そういう人たちをサポートする会があると知人が教えてくれたんです。通いながら勉強しているうちに『会を作っちゃえば?!』と勧められてWishを立ち上げました。自分がやっていることが市民活動だとは知らず、ここに勤めるようになって初めて、こういう活動が市民活動なんだ!って知ったんですよ」

現在はお子さんも成人し、リアルタイムな悩みはないものの「自助グループなので同じ目線でお互いの気持ちを分かち合いながら例会をしたり講座をやったり、ゆるい感じで続けています。」といい、その経験が今の仕事にも生かされている。また、ぽると多治見に勤める前、大池さんは公民館での勤務を長く経験しており、その間に身についたスキルに加え、他地域の市民活動支援施設を訪ねて活動を学んだりするといった地道な努力も怠らない。

「ここは周りの方々に支えてもらって成り立っているんです。市民活動団体の方々、熱い職員、興味を持ってくださる市民の方々の支えがあってこその、ぽると多治見ですね。」

人とのふれあいと努力と感謝の心が根底に息づいていることが、ぽると多治見らしい市民活動支援のあり方なのかもしれない。

窓口のカウンター脇に市民の方が新聞で作ったペーパーバッグが置いてあった。<br />作った方は特に市民活動をしているわけではないそうだが、これがきっかけで交流サロンのミニ講座で参加者に作り方を教えたという窓口のカウンター脇に市民の方が新聞で作ったペーパーバッグが置いてあった。
作った方は特に市民活動をしているわけではないそうだが、これがきっかけで交流サロンのミニ講座で参加者に作り方を教えたという

全国各地にある市民活動を支援する施設

またしても筆者の不勉強を露呈してしまうが、ぽると多治見のような施設はどこの地域にもあるわけではないだろう、名古屋では聞いたこともないし……と思ったので調べてみたところ、名古屋にもあった。名古屋どころか北海道から九州・沖縄まで、名称や活動内容はさまざまだが市民活動を支援する施設が各地に必ず存在しているのだ。

実は筆者のこの状態こそ、ぽると多治見が抱える課題でもある。つまり、市民活動支援をする施設があることや、そこが何をするところなのかを市民に知られていないのだ。もしかすると、ぽると多治見だけでなく、各地の同様の施設も同じ課題を抱えているかもしれない。

「交流サロンのミニ講座は、ここを知らない方に知っていただくという目的もあります。いつか自分に何か課題ができたときに、ここを利用すればいいんだと気づいていただきたいですね。ホームページで活動報告をしたりSNSでアピールしたり、このフロアで活動団体さんの展示発表をしたり、地味ながらも情報発信しているつもりですが、関心がないとなかなかキャッチしてもらえないので……。」

大池さんの言葉に、これまでの無関心を反省させられる。なにも、市民活動をするぞ! ボランティアをするぞ! 人の役に立つことをするぞ! という大仰な決意表明を掲げて事を始める必要はないのだ。

「市民活動にこだわらず気軽に世間ばなしをしに来てください。もちろん、よろず相談も承りますよ。」

と大池さんが言うように、たとえば、子育てが一段落したから何かしたい、趣味を生かして何かしたい、など小さな思いつきを話しに、ぽると多治見を訪ねても構わないのである。

風が吹けば桶屋が儲かる的な発想だが、ぽると多治見を知ることで、何かあったら大池さんたちに相談でき、相談することで自身の課題が解決でき、市民活動にもつながり、その活動がきっかけでまちが元気になる、という効果をもたらすかもしれない。地域の役に立つことができれば、ちょっと気分もいい。まずは知ることが肝心なので、手始めに、地域にどんな市民活動支援の施設があるか調べてみてはいかがだろうか。

【取材協力】
■多治見市市民活動交流支援センター「ぽると多治見」
http://www.tajimi-bunka-porto.com/




【関連リンク】
■公益財団法人 多治見市文化振興事業団

http://www.tajimi-bunka.or.jp/jigyodan/




■まなびパークたじみ 学習館

http://www.tajimi-bunka.or.jp/gakushu/


情報コーナーには市民活動団体や各種講座、イベントなどのチラシやパンフレットが置かれている。<br />東北の復興支援関係パンフなど多治見市以外のものもあった情報コーナーには市民活動団体や各種講座、イベントなどのチラシやパンフレットが置かれている。
東北の復興支援関係パンフなど多治見市以外のものもあった

2015年 06月04日 11時05分