35年間、返済し続けられる?

念願のマイホーム。返済計画も自分の家計にジャストフィットするプランニングを心がけたい念願のマイホーム。返済計画も自分の家計にジャストフィットするプランニングを心がけたい

住宅購入予算を考える段になると、先の「予算計画編」でみたとおり、以下のステップを踏むことになる。

1)いくらのマンションが買えるか
2)いくらの住宅ローンが借りられるか
3)毎月いくらなら返済できるか(家計収支がポイント)
4)完済まで無理なく返済し続けられるか(生涯収支がポイント)

「完済まで無理なく返済し続けられるか」という視点で考えると、金利が上昇したらいくらくらい返済額が上昇するのだろうか?その時は固定金利に切り替えれば良いのだろうか?金融機関が破たんしたらどうなるのだろう?と気になることがいくつも出て来る。将来の不確実さは、相手の事情だけではない。自分と家族をとりまくリスクにも十分留意しておく必要がある。

「想定外」は論外。最悪のシナリヲを描いておこう

「返し続けられるか」という視点、例えば「毎月8万円を35年間にわたって余裕を持って返し続けられるだろうか」と考えてみると、いろいろなことが気になり始める。変動金利の金利上昇リスク、労働環境の変化による収入の減少、教育費の増加による支出の増額など、想定できることはすべて織り込んで返済計画を立てておきたい。想定外が起こって住宅ローン破たんとなっても、個人には公的資金は投入されない。すべては自己責任。せっかく購入した住宅を抵当権実行によって手放すこととならぬよう最悪のシナリヲを描き、それでも返済継続可能な返済プランだろうかと考えておきたい。最悪のシナリヲを考えることは、借り過ぎを抑制する効果がある。ワクワクウキウキの住宅購入計画だからこそ、冷静に考えておきたいところだ。

それでも起こる想定外!?

「貯金ができないんです」と家計簿診断に来られた相談者は、住宅ローンの年収負担率が驚くほど高かった。「なぜ、家計が苦しくなるほど借り入れたのか」と聞くと、「住宅を購入した後にボーナスが大幅減額された。見通しが甘かった」ということであった。「そう言えば、当初から予備費を確保する余裕がなく、ボーナスを充てにした家計であり返済計画であった」とも話された。収入の増減は、まずボーナスに影響が出る。勤め先や経済状況にもよるが、ボーナスに頼りすぎる返済計画はお勧めできない。

キャリアプランのご相談に来られた方は、「親の介護で早期退職を余儀なくされている。住宅ローン返済がまだ2,000万円ほどあり、どうすればよいか、どのように考えればよいか、混乱している」ということであった。超高齢社会となり、親の介護は身近な問題である。退職せざるを得ない場合は、収入減、そして介護費用の増加、心労も加わりトリプルパンチだ。

先にも述べたが、妊娠、出産でダブルインカムがシングルインカムに変更となって収入が減額するケース、会社の状況や転籍、転勤などによって収入が減額し、支出が増額するケース、自分の病気やケガ等で収入が減額したり、教育費の増額で支出が増額したり、と家計収支が変動する要素は多々ある。心がけたい返済計画のポイントは以下のとおり。

破たんを避ける返済計画のポイント
○ボーナスを充てにしない
○共働きを充てにしない
○収入増を見込まない
○最悪の事態となった場合の返済計画を立て、返済可能かどうかを検証する

リスクは身近にある。けっして他人事ではない「返せないシナリヲ」

「返せないシナリヲ」で購入したマンションをすぐ売却、なんてことにならないように「返せないシナリヲ」で購入したマンションをすぐ売却、なんてことにならないように

住宅ローンは借金である。借りたものは返さなければならない。このような当たり前のことが滞る想定外の事態。金融庁等の調査によると、消費者金融の利用者が借入れをはじめたきっかけは、「低収入や収入の減少(生活費や教育費の不足)等」が多く、回答の4分の1を占める。そこには、「ギャンブルにのめり込んで」という印象は薄い。「ギャンブル・遊興費」よりも「住宅ローン等借金の返済」というきっかけが多いのが実態だ。ごく普通の人が日常の暮らしの中で、生活費が足りないから、住宅ローンが返済できないから、と消費者金融を利用している。大企業に勤めている人も少なくない。

住宅ローンを借入れる際は、他の借入れや延滞履歴などが融資条件として考慮されるが、返済開始後は、それこそ延滞するまでわからない。返せる算段が付いたから借入れたのであって、「貸したのはそちらだ」と貸し手に責任を転嫁するわけにはいかない。繰り返すが、借りたお金は返さなければならないのだ。

借金を借金で返済したり、一か所では足りないからと複数の消費者金融等社から借入れたりしていると、益々返済がきつくなる。多重債務だ。(株)日本信用情報機構の調べでは平成27年3月末現在、消費者金融等から4件の借入れがある者は34万人(1人あたりの残高140.1万円)、5件以上から借入れている者は15万人(同196.3万円)。けっして他人事ではない。返せなくなる前、延滞実績をつくる前に、住宅ローンの借入先金融機関へ相談することが望ましい。早期の方が対応策や選択肢が多いからだ。公的な貸付制度が利用できないか、自治体の窓口も利用したい。

最終手段は、自己破産であろうか。地方裁判所に自己破産申立てをして裁判所の審理によって破産宣告を受ける。破産宣告を受け、免責の申立てをして決定を受ければ住宅ローンは帳消しになるが、その際、換価性のある資産、住宅や自動車、有価証券は手放す必要がある。当面の生活費は処分の対象外とできる。

最大の防御策は「借り過ぎない」こと

住宅購入の予算計画や住宅ローンの返済計画において、もっとも大切なことは借り過ぎない事だ。返済期間は短縮したり場合によっては延長したりが可能である。金利タイプも返済中の金利タイプの変更が可能である。だが、借入額は変更できない。借り過ぎたからといって元に戻すことはできない、返済あるのみだ。そして、借りた金額にもれなく金利が付き、借入期間が長くなるほどその金利負担が増える仕組みである。

今一度、住宅ローンは借金であることを肝に銘じ、ライフプランニングとキャリアプランニングを基にした、無理のない借入額を試算すること。長期にわたって無理なく返済できるプランニングが大切である。豊かな暮らしを実現するための住宅購入であれば、無茶をする必要はないはずである。住宅購入の目的も明確にしておきたい。

2015年 05月24日 09時46分