省エネ効果を追求しながら、快適な生活を実現

『ブランズシティ品川勝島』の完成予想図『ブランズシティ品川勝島』の完成予想図

昨今のシェアハウス人気に象徴されるように、住宅業界では“シェア”が一大キーワードとなっている。一方、震災後の電力不安の影響から、消費者の間では省エネへの意識も高まっており、マンション全体でエネルギー管理や節電を行うスマートマンションの建設が相次いでいる。
こうした時代の要請に応えて、省エネと“シェア”の概念を融合させた次世代スマートマンションが登場した。東急不動産が東京・品川区で開発を進めている、『ブランズシティ品川勝島』だ。

この物件は、“ブランズ・シェア・デザイン”というコンセプトを採用している。これは、マンション全体でエネルギーや環境、コミュニティなどをシェアすることによって、省エネ効果を追求しながら快適な生活を実現しようというもの。東急不動産株式会社 住宅事業本部商品計画第二部統括部長・松尾隆広氏はこう語る。

「東日本大震災後、日本人の意識は大きく変わりました。2012年に国交省が行った意識調査によれば、震災後は防災・節電や家族・地域の絆に対する意識が高まり、住宅にも安心・安全や環境対策、省エネ機能などを求める人が増えました。こうした変化を踏まえて打ち出したのが、ブランズ・シェア・デザインという発想です。エネルギーや環境、設備、空間などを皆でシェアしながら、効率よく快適な暮らしを追求する――この発想を形にしたのが、『ブランズシティ品川勝島』なのです」

「エネルギー」「環境」「コミュニティ」の3つをシェア

"ブランズ・シェア・デザイン"の概念図

『ブランズシティ品川勝島』は、地下1階・地上18階建ての全356邸南向き。3LDK~4LDKが中心で、JR品川駅から3.2kmの立地にあり、4駅3路線を利用することができる。2014年7月上旬に販売を開始し、2015年7月下旬に竣工する予定だ。

この物件が位置する品川区勝島は、レインボーブリッジから羽田空港へと続く京浜運河沿いにある。付近には、都立京浜運河緑道公園や大井ふ頭中央海浜公園などの散策路も多い。
敷地内には約2200m2の緑地があり、周辺の環境や生態系に配慮して、桜やサルスベリ、イロハモミジなど四季折々の植物が植えられる。また、敷地の南東には「シェアガーデン」が設けられ、ガーデン・パーティーや果樹園でのガーデニングを楽しむことができる。

「ブランズ・シェア・デザインには大きく3つの”シェア”があります。皆でエネルギーを作り、蓄え、使いながら、エネルギーを有効に活用する”エネルギーシェア”、周りとの共生を考えたパッシブデザインを採用し、エコに取り組む”環境シェア”、居住者同士が交流し、災害時に皆で備える”コミュニティシェア”の3つです。シェアが息づいていると、皆の暮らしはもっと快適になる。『ブランズシティ品川勝島』には、そんな思いが込められています」(松尾氏)

世界初のマンション向けエネファームを採用

非常時にはマンションの防災拠点にもなるシェアラウンジ非常時にはマンションの防災拠点にもなるシェアラウンジ

この物件の最大の目玉ともいえるのが、“エネルギーシェア”への取り組みだ。
世界初のマンション向けエネファーム(※1)を全戸に採用し、光熱費とCO2排出量を削減。大規模発電所から電気を買う場合と比べると、CO2排出量はほぼ半減し、年間の光熱費は1戸当たり約4万8000円も節約できるという。

マンションの専用部はエネファームで発電し、共用部では太陽光パネルで自家発電した電気を利用。太陽光パネルで発電した電気を、定置型の蓄電池やEV(電気自動車)の蓄電池に蓄えることにより、必要な時にムダなく使うことができる。
太陽光発電ができない夜間や、電力需要のピーク時にも、蓄電池から電気を供給できるので、共用部の電力使用量を約6割カット。また、災害でライフラインがストップした時には、このシステムで共用部の一部の電力を約72時間まかなうことができるという。

さらに、マンション全体の省エネ効率を高める役割を果たしているのが、共用部のMEMS(※2)と専用部のHEMS(※3)だ。各住戸には次世代クラウド型HEMSが導入されており、居住者はいつでもどこでも、パソコンやスマートフォンの画面から自宅の電気使用量を確認することができる。また、各住戸には、室内の気温・湿度・照度を感知する「エナジーオーブ」が設置されており、光の色で室内の状況を居住者に知らせてくれる。たとえば、室温が一定に達すると光の色が変わるので、居住者は暖房を切るなどして、電気のムダ遣いを防ぐことができる。

※1:ガスで発電し、その熱でお湯を作る東京ガスのシステム。
※2:Mansion Energy Management System 
※3:Home Energy Management System

省エネに努力すれば、東急ストアでの優待も

シェアプラザは、居住者同士や地域の人々との交流の場シェアプラザは、居住者同士や地域の人々との交流の場

とはいえ、どんなに設備やシステムを整えても、居住者の意識が変わらなければ、省エネを続けることは難しい。「電気の“見える化”だけでは3日で飽きる、という声があるのも事実」と、同社広報・CSR推進部の森下芳行氏は語る。

「そこで、この物件では、省エネ行動を継続させるための仕組みを用意しました。その1つが、東急ストアでのお買い物優待です。これは、居住者の省エネ行動に応じて、東急ストアのネットスーパーでの買い物が安くなるというもの。この他、居住者の省エネ意識を高めるため、体験型の省エネ・ワークショップやアドバイスを行うことも計画しています」(森下氏)

この『ブランズシティ品川勝島』は、現在、東急グループが進める「省CO2推進プロジェクト」の第1号物件でもある。これは、東急グループが提供する住宅に先進的な省エネ設備を導入し、産学共同研究により効果を検証しながら、効果的な省CO2施策の普及をはかるというもの。国交省の「平成25年度住宅・建築物省CO2先導事業」にも採択された、先駆的な試みだ。その意味でも、この物件でのさまざまな取り組みは、次世代型スマートマンションの今後を占う試金石となりそうだ。

スマートマンション開発の焦点は「箱物」から「街づくり」へ

シェアライブラリーでは、居住者から提供された本を皆で楽しむことができるシェアライブラリーでは、居住者から提供された本を皆で楽しむことができる

この他、“コミュニティシェア”の観点でも、居住者同士が支え合うためのさまざまな仕掛けを提供。付属のキッチンを持つ104m2の「シェアラウンジ」は、居住者同士の交流の場であると同時に、災害発生時にはマンションの防災拠点ともなる。さらに、居住者が本を持ち寄って楽しめる約46m2の「シェアライブラリー」や、共用の「シェアロッカー」などが設けられ、カーシェア用の車2台とサイクルシェア用の電動アシスト自転車9台も用意されている。また、戸外の「シェアプラザ」ではフリーマーケットやマルシェを開く計画もあり、地域との交流の場となる予定だ。

スマートマンション開発の焦点は、単なる箱物の性能・機能の追求から、新しい共同体づくりへとシフトしつつある。設備や空間から、エネルギーや車、暮らしに至るまで、さまざまなものをシェアしながら皆で支え合う街づくり――『ブランズシティ品川勝島』の試みは、次世代スマートマンションの1つのあり方を示唆している。

2014年 04月03日 09時51分