団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」が迫っている

これまで日本の成長を支えてきた「団塊の世代」は約800万人といわれる。戦後のベビーブームだった1947年から49年生まれの世代がすべて前期高齢者(65〜74歳)となるのが「2015年問題」、そして後期高齢者(75歳以上)となるのが「2025年問題」だ。

年金の面で考えれば「2015年問題」も大きいが、65歳くらいではまだまだ元気な人も多いだろう。しかし、医療や介護の面では「2025年問題」が深刻な課題となってくる。内閣府の高齢社会白書によれば、前期高齢者の要介護認定(要支援を含む)は4.2%にとどまるが、後期高齢者になるとこれが29.4%に急増する。

さらに、厚生労働省の推計によれば、認知症高齢者数が2025年には約470万人に達するとされている。それを含めた要介護者数は、700万人近くになる見通しだ。介護保険の総費用は2013年の約2倍、20兆円に膨れあがると見込まれている。

高齢者を取り巻く社会環境や生活環境がこれから大きく変わり、世界のどの国も経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしているわけだが、消費税率の引上げを含め、現在の政治が取組んでいる「社会保障と税の一体改革」も、将来の超高齢化社会を念頭に置いたものだ。

2025年の人口ピラミッド(国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッドデータ」より引用)2025年の人口ピラミッド(国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッドデータ」より引用)

2025年の日本は5人に1人が75歳以上の高齢者

国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口(2013年3月推計)をみると、2025年における75歳以上人口は約2,179万人で、全国のおよそ5人に1人が75歳以上の高齢者となる。

その増加率は都市部ほど顕著で、2010年比では全国が53.5%増なのに対して、埼玉県が99.7%増、千葉県が92.3%増、神奈川県が87.2%増、大阪府が81.3%増、愛知県が76.7%増、京都府が65.5%増、奈良県が63.4%増、東京都が60.2%増となっている。2025年時点の65歳以上人口は、全国で約3,657万人、東京都では約332万人に達する。75歳以上は、東京都が約198万人、大阪府が約153万人、神奈川県が約149万人などと予測されているのだ。

ただし、2025年以降における高齢者数の増加は緩やかになっている。「高齢化と多死」によって毎年の死亡者数は150万人台が予測される一方で、出生数はその半分の水準と見込まれており、現役世代(生産年齢人口:15〜64歳)はどんどんと減っていく。

現役世代の減少で、年金や医療、介護、福祉などさまざまな面できしみが生じることになるが、住宅の面でもその影響は大きなものになるだろう。

75歳以上人口の推移(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」をもとに作成)75歳以上人口の推移(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」をもとに作成)

高齢者単独世帯の増加が、より深刻な状況を招く

国立社会保障・人口問題研究所による世帯数の将来推計(2013年1月推計)では、2025年において世帯主が65歳以上の世帯は約2,015万、75歳以上の世帯は約1,187万に達する。75歳以上の世帯のうち、37.7%の約447万世帯は未婚、離婚、別居、死別などによる「単独世帯」で、さらにそのうち74.3%は女性1人だけの世帯だ。

また、75歳以上の男性単独世帯は約115万で2013年比64.7%増、75歳以上の女性単独世帯は約332万で同41.1%増となっている。世帯主が75歳以上の世帯のうち、夫婦2人だけのケースも31.2%、約371万世帯にのぼる。単独世帯では、いざというときの支援体制や孤独死を防ぐための対策が求められるが、夫婦2人だけの場合は「老々介護」なども大きな問題となるだろう。介護疲れによる自殺などを防ぐことも考えなければならない。

これまでは、高齢者の単独世帯あるいは高齢夫婦だけの世帯といえば、地方の過疎地域の問題というイメージを抱く人が多かっただろうと思う。しかし、今後は都市部でもその深刻さが急激に高まっていくだろう。とくに地域住民の繋がりが希薄になりがちな大都市ほど、難しい問題を抱えているのかもしれない。

高齢者向けの住宅は不足する? 量ではなく質が問題に

超高齢化社会を迎える中で、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の制度が2011年10月にスタートし、国土交通省および厚生労働省によってその整備が進められている。介護サービスや医療機関との提携によって高齢者の生活を支える「バリアフリー住宅」であり、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームに比べて入居費用は安く設定される。

新規参入する事業者もあり、サ高住の数は次第に増えつつあるが、急増する高齢者数には追いつけないのが現状だろう。十分な蓄えがなければ、特養や介護付き有料老人ホームへ入居することも叶わない。公的な老人ホームの増加にも限度があり、全体的にみれば将来的にも自分の持ち家、あるいは一般の賃貸住宅に住み続けるケースが大半を占めることになるだろう。

マンションや一戸建て住宅を所有している場合には、老後の暮らしに合わせたバリアフリー対策や、築年数の古いものでは耐震改修などをすることも必要だ。ところが、年金収入だけではなかなか手が回らず、蓄えている老後資金にも手を付けたくないなどといった理由から、十分な工事ができないケースも多い。所有者自身が高齢になることによって、住宅への投資がしづらくなり、必要なリフォームや手入れもしないことでどんどんと老朽化が進むことも多いのだ。

また、郊外の一戸建て住宅で暮らす高齢者が自家用車の運転をすることができなくなったとき、途端に不便な生活を強いられることもある。病院へ通うのも次第に難しくなっていくだろう。広い一戸建て住宅であれば、それを売却して駅近のマンションに買換える選択肢もあるが、狭ければ資金面で思うようにいかないことも多い。

その一方で、民間の賃貸マンションやアパートは若者を意識した間取りや構造、立地の場合も少なくない。以前に比べればだいぶ借りやすくなっているようだが、高齢者の入居を敬遠するオーナーも依然として多いだろう。高齢者でも比較的入居しやすい公営の団地は、エレベーターがないこともある。

日本の住宅は数的に充足し、逆に空家の増加が大きな社会問題となっているとはいえ、高齢者のニーズには合わない物件が多い。とくに、これから急増する高齢の単独世帯に合わせた物件は圧倒的に不足している状況だ。老後の暮らしを想定した住まい選びを、若いうちから考えておくことも欠かせない。

2014年 03月14日 08時58分