「日本一高いビル」の称号を得た複合商業施設が誕生する街

2014年3月7日、全面開業予定の「あべのハスカス近鉄本店」2014年3月7日、全面開業予定の「あべのハスカス近鉄本店」

2013年6月に、近鉄百貨店が先行オープンし話題を集めている「あべのハルカス近鉄本店」。2014年3月7日に、ファッションなどをはじめとする各専門店、ホテルなどの全面開業を予定している。地下5階、地上60階建て、高さ300mとなるこのビルに、横浜ランドマークタワー(296m)から、21年ぶりに“日本一高いビル”の称号が移行する。58〜60階は「ハルカス300」という三層構造の展望台となっており、気候条件が良ければ京都・六甲山系・明石海峡大橋・淡路島などが望めるという。

この場所は、JR3線「天王寺」駅をはじめ地下鉄御堂筋線、谷町線の「天王寺」駅、近鉄線「大阪阿倍野橋」駅、大阪唯一の路面電車・阪堺電気軌道上町線「天王寺駅前」駅の7線4駅が利用できる。鉄道の乗降客数は1日約73〜77万人、梅田・難波に次ぐビッグターミナルだ。

大阪市阿倍野区に位置する「あべのハルカス近鉄本店」の周辺には「あべのキューズモール」「あべのHoop」など個性的なショッピング施設が複数あり、目の前のあびこ筋を挟んだ北側の天王寺区には「天王寺MIO」がある。区と区の境界周辺に、ビッグターミナルと大型商業施設がひしめき合うこのエリアは「あべのハルカス近鉄本店」の登場で、どのように変化したのだろうか。

大規模開発で変わる街の地価、阿倍野区・天王寺区はいかに?

多くの買い物客で賑わうシショッピング施設のひとつ「あべのキューズモール」多くの買い物客で賑わうシショッピング施設のひとつ「あべのキューズモール」

大型商業施設の建て替えで、にわかに活気づく阿倍野・天王寺エリア。開発が行われ人の流れが増えると、気になり始めるのが地価の変動だ。

一般の土地取引価格に対する指標や公共事業用地の取得価格算定の基準とされる公示地価。国土交通省による土地鑑定委員会が1月1日時点での標準地の価格を毎年3月下旬頃に公示される。2013年における大阪圏や阿倍野区・天王寺区の地価はどうだったのか調べてみた。

2012年大阪圏の住宅地、商業地とも東京圏に比べると下落幅は小さかったが、2013年は逆に住宅地が東京圏をやや上回る下落率、商業地は東京圏と同じ下落率だった。大阪全体の変動率は、2013年の住宅地は△0.9%、商業地は△0.5%となっていたが、前年に比べ下落率は縮小している。

住宅地の市区別の平均でみると、大阪市北区、中央区、福島区、天王寺区、阿倍野区が2年連続で上昇している。また、商業地の市区別平均では、大阪市阿倍野区が2年連続上昇していた。

ちなみに、国税庁が2013年7月1日に公表した同年1月1日時点での相続税・贈与税の算定基準となる財産評価基準書の路線価(相続税路線価)では、最高路線価の上昇率全国1~3位を大阪市内が独占。内訳は、あべのハルカス前の近鉄線「大阪阿部野橋」駅周辺が1位(35.1%増)、JR「大阪」駅周辺が前年比17.4%増で2位、あべのハルカスに近いJR「天王寺」駅前の谷町筋が3位(10.4%増)となっている。

あべのハルカスの開業やデフレ脱却・金融緩和などアベノミクス効果への期待感とあいまって、大阪市阿倍野区・天王寺区での地価も年々上昇傾向にある。
これから発表される2014年の公示地価、路線価がどのように変動するのか気になるところだ。

ショッピングも交通も子育て環境も揃う文教の地

駅前の陸橋から望む「大阪通天閣」と「天王寺公園」駅前の陸橋から望む「大阪通天閣」と「天王寺公園」

堅固な地盤で知られる上町台地に位置する阿倍野区・天王寺区には、1400年余りの歴史をもつ神社仏閣や天王寺公園など大小の公園が点在している。古いものと新しいものが融合する両区は教育熱心な世帯が多く、子どもを通学させたい人気の学校区があり教育環境も良好だ。また、認定外保育所となるが「あべのハルカス」のビル内に、同ビルで働く人を対象とした「近鉄ほいくえん ハルカス」を2014年3月に開設すると発表されている。同ビルに入る百貨店や美術館などの来訪客の子どもを一時的に預かるサービスも提供するという。

阿倍野区・天王寺区には賃貸はもちろん分譲住宅も多く販売されている。人によっては、交通アクセス、商業施設、教育・自然環境など生活するうえで欲しい条件が揃っているといえる。
今後「あべのハルカス」の全面開業で、さらに人の動きがどのように変化していくのか注目したい。

2014年 02月10日 08時56分