渡辺篤史さんが寝ころんでくれる家

渡辺篤史さんが寝ころんだ家!渡辺篤史さんが寝ころんだ家!

2009年に「マンガはじめて家を建てました!」(ダイヤモンド社)という、自分の体験談+家づくり情報を盛り込んだ本を描いた。
家づくりの基本的な知識と、私のすったもんだの体験を面白おかしく描いたマンガ書籍だ。
そこでこのコラムでは、今家づくりを考えているみなさんの役に立ったり立たなかったりする情報を、楽しくお伝えしていきたいと思う。
今回はその第2回。

家の本を描いてから、
「ハウスメーカーで家を建てたのはどうしてですか?」と聞かれることがある。
家づくりには、大きく分けてハウスメーカー、工務店、建築家に頼む方法がある。
なぜ私たち夫婦がハウスメーカーを選んだかというと、当時住んでいたアパートの近くに大きな住宅展示場があったから、なんとなく身近だったのだ。
逆に言うと、工務店さんや建築家が身近でなかったからだと思う。

渡辺あっちゃん(渡辺篤史さんをウチではこう呼ぶ)のTV番組、「建物探訪」には、建築家さんが設計したカッコいい家がたくさん出てくる。
わたしもあの番組は大好きでよく見ていたけど、実際に私たちが建築家さんにお願いして家を建てて、渡辺あっちゃんが取材に来て、床に寝転んでもらう、なんていう光景はとても想像できなかったのだ。(いや、だって建築家さんに頼むなら、その後のあっちゃんもセットだと思うから)

以前仕事で、あるお宅におじゃましたとき、お話を伺っていたら、なんとそのお家はあの「建物探訪」で取材されたお家だった。
その家のご主人は、
「寝ころびましたよ(あっちゃんが)」と誇らしげに微笑んでいらした。
「えー、すごいですねー!!」
と喜んでいた私だが、胸にはジェラシーの炎が渦巻いていた。くやしい。

母が気に入ったほっけハウス(仮名)

母が気に入った居酒屋風キッチン母が気に入った居酒屋風キッチン

いや、渡辺あっちゃんの話ではない。
住宅展示場の歩き方だ。

前回のコラムでは、ししゃもハウス(仮名)というメーカーのイヤーな営業ヤロウに腹の立つ思いをさせられた私だったが、そんなことにはめげず、モデルハウスめぐりを続けていた。
私の実家に二世帯を建てる計画だったので、ウチの両親の意見も聞かにゃあならん。
実家近くにある住宅展示場に、私たち夫婦と私の両親とで見学に行った。

いくつか見ていく中で、私の母が気に入ったメーカーがあった。
ほっけハウス(仮名)だ。
正しくは、母が気に入ったのはその「家」ではなく、「内装」なんだけど。

「“和風モダン”というんです!!」

入社したばかりのようにも見える若い営業くん。深みはないが、元気ならたくさんあるぞ。
そして、母の好きなTOKIOの国分君にちょっと似ている。

そのモデルハウスのリビングダイニングは、造り付け。コの字型に腰掛けがあって、座面には琉球タタミ。障子紙でできた大きな照明が天井から下がっている。

母「いいじゃない!!居酒屋みたいで!」
営業くん「いえ、“和風モダン”です!」
母「これでカウンターにビールサーバーとか置いてさ」
私「それじゃほんとに居酒屋だから」

早々に居酒屋アイデアはつぶしておきたいところだ。
ウチの母ははっきりいって酒癖が悪い。サーバーから直接口にビールを流し込む、母の姿を想像してしまった。
いや、そんなことはしないと思うけど。

まず知るべきは「家の工法」と「値段」

私たち夫婦も、このモデルハウスで気に入ったところがあった。
「小屋裏」というスペースだ。
屋根の傾斜がそのまま天井になっていて、
なんだか秘密の屋根裏みたいな雰囲気なのだ。

でも、いままでの流れですごく間違っている部分がある。
家を建てるメーカーを探しているのに、
気に入ったところが、「内装」と「小屋裏」。
今になって思えば、この「住宅展示場の歩き方」はダメダメだ。
ハウスメーカーを決めるのに必要な情報は、
まず、「家の工法」と「値段」じゃないのかな。

家の工法は、メーカーによっていろいろ。

■昔ながらの日本の建築法「木造軸組み工法」
・長所:設計の自由度が高く、増改築もしやすい
・短所:木造だから燃えやすい
・目安の坪単価:坪40~60万円

■2×4インチの角材を使い、面で家を構成する「ツーバイフォー工法」
・長所:耐震性に優れ、気密性・断熱性が高い
・短所:増改築がしにくい 設計の自由度が低い
・目安の坪単価:坪50~70万円

■工場で作った木質パネルを使い、面で家を構成する「木質パネル工法」
・長所:品質、価格が安定している
・短所:増改築がしにくい 設計の自由度が低い
・目安の坪単価:坪50~60万円

■木造軸組みの柱部分に軽量鉄骨を使う「軽量鉄骨ブレース構造」
・長所:設計の自由度が高い
・短所:軽量鉄骨は火に弱い
・目安の坪単価:坪60~70万円

■骨組みに4ミリ以上の鉄骨使う「重量鉄骨構造」
・長所:耐久性、耐震性に優れている
・短所:内部結露、鉄の部分がさびに弱い
・目安の坪単価:坪70~80万円

■部屋ごとに工場でつくり、現場で組み立てる「鉄骨ユニット工法」
・長所:工場生産のため、精度が高い 工期が短い
・目安の坪単価:坪60~70万円

■コンクリートパネルを使い、面で家を構成する「プレキャストコンクリート工法」
・長所:強度が高い
・短所:増改築に向かない
・目安の坪単価:坪50~70万円

(著書:「マンガはじめて家を建てました」より引用)
※上記、目安の坪単価には、照明、カーテン、外構、建築にかかわる諸費用は含まれませんよ念のため。

目安になる家大きさとだいたいのお値段

モデルハウスは贅沢仕様だからモデルハウスは贅沢仕様だから

工法が違えば、家の値段も違ってくる。
見た目はどこのメーカーも「ステキな家」だけど、
その中身、つくり方はまったく違うものなのだ。

家の工法は、それぞれのメーカーのパンフレットに詳しく載っている。
家の値段は、
「このモデルルームはいくらくらいですか?」
と営業さんに聞くと、
「えーと、7、8千万くらい…」
「ひえ~~~~!?」
というやりとりに、たいていはなる。

でもそれは贅沢につくったモデルハウスのお値段なので気にしないこと。
「このメーカーで120㎡くらいの床面積の家を建てるといくらくらいですか?」
とざっくりした聞き方をするといいかもしれない。
120㎡というのは、私のウチの近所で開発している建売住宅の広さだ。
一般的な家族が住む家は、それくらいかなあという目安になるかと思う。

ニャーニャー言ってうるさいニャ!

ほっけハウス(仮名)の営業さんほっけハウス(仮名)の営業さん

しかし、当時はそんなこともぜんぜん知らずに、
ただステキなモデルハウスを見て回っていたのだ。

若い元気な営業さんの国分君は、部屋を見て回る私たちにピッタリついて離れない。
移動している私たちの前に後ろに横に頭上にくるくる回り、スキあらばこの家の説明を挟み込む。 
「この工法は…」
「この強度は…」
「この設計は…」
「このニャーニャーは…」

ごはんを待ってる猫みたいだな…
そのくるくるぶりに、私はそう思っていた。

国分君の回りっぷりに比べて、私は全然乗り気じゃなかった。
だいたい、この家の外観が気に入らない。
全体に重厚なレンガが張ってあるのだ。
色も渋~い茶色で「…重い…」という印象。
観光地で「珈琲博物館」という名前の喫茶店・兼・博物館をやったらぴったりかも。

というわけで、私の気持ちは
「もう帰っていいかなあ~…」
という、好みじゃない人と間違ってデートに来てしまったような気分でいっぱい。
でも、めずらしく乗り気になった母の意見も邪見にできないし。
(居酒屋の件はつぶすけど)
父は
「こんなでかい家はいらないよ!」
と、モデルハウスと同じ家が建つと思っているようなので、その意見は無視。

「まずは、お宅の土地を拝見させてください!」

国分君の元気に負けて、ちょっと先に進むことになったのだ。



次回、君は誰の家が建てたいのだ?ニャーニャーニャー!
夜討朝駆け(ようちあさがけ)の戦法に出た国分くん。
「とにかく契約してください!」
とにかくって何だ!

2013年 10月02日 09時57分