住宅購入を考えるとき、購入にかかる費用はもちろん、光熱費、メンテナンス代など住むうえでかかるランニングコスト(維持費)も気になるところだと思います。特に、夏場や冬場のエアコン使用でかさむ電気代は、家計を見直すうえでも重要なポイントですよね。

そこで、今回は住まいの窓口のハウジングアドバイザー・瀧澤さんに、「高断熱・高気密の家」をテーマにお話を聞きました。住宅購入検討中で、冬の電気代の高さに悩むEさんを例に解説します。

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話し手:瀧澤さん(住まいの窓口ハウジングアドバイザー)
「人と人をつなぐ」をライフミッションに据え、レストラン&ブライダルサービス業界を経て、住まいの窓口のハウジングアドバイザーに。神奈川を中心とした首都圏のお客様の相談を担当している。サービスパーソンの経験を生かした、寄り添い型の相談が得意。趣味はディズニー、料理。

※写真はイメージです


夫と3歳、生後半年の子どもの4人家族。現在育休中。今後かかる教育費なども踏まえて、家計の見直しを進めている。現在住んでいる築20年の2LDK賃貸マンションは、立地はいいが、日当たりがよくない。夏は涼しいが、冬は寒く、暖房代がかさみがち。上の子が小学校に上がるくらいまでに家を買いたいと情報収集中で、ママ友に聞いた「高断熱・高気密の家だと電気代が半額になるらしい」という噂の真偽を確かめたい。

 

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今回、Eさんが気にされている電気代(暖房代)ですが、確かに高断熱・高気密という住宅性能が高い一戸建てだと、しっかり対策をしていない一戸建てと比べて下げることができます。 そもそも高断熱・高気密とは、「壁を厚くしたり断熱材の性能をよくして断熱性・気密性を高め、室内の温度をキープすること」で、夏は涼しく・冬は暖かいを実現できます。その結果、電気代を抑えられるのです。

 

ただし、電気代をどれくらい下げられるか、その程度は選択する施工方法や、建築するハウスメーカ ー・工務店によっても異なります。半額程度下がることもあるものの、どの物件でも同じように下げられるというわけではありません

 

また、一戸建てのうち、建売住宅だと高断熱・高気密の性能は最低限のものがほとんどです。一方で、注文住宅だからといって高断熱・高気密の性能が当たり前に高いわけでもありません。どの施工方法を選択するかで建築費用も異なります。

 

高断熱・高気密にすることで建築費用は、100万~数百万円単位で上がります(建築会社によって費用には差があります)。そうなるとあまり得ではないのでは…と思う人もいるかもしれません。しかし、断熱性・気密性を高めるメリットはたくさんあります。

4人家族の年間の電気代の平均金額は141,456円(※)とされています。住宅は何十年と住んでいくものですから、その節約額は将来的にかなりの金額になります。

 

たとえば、高断熱・高気密にすることで電気代が半額になったと仮定する場合、削減できる費用は以下のように考えられます。この金額を建築費用に充てて、高断熱・高気密を取り入れるという考え方もできます

高断熱・高気密にすることで電気代が半額になった場合の費用例 ※総務省統計局2020年 家計調査 家計収支編 第3-1表 世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出より

高断熱・高気密を含めた省エネ性能の高い住宅としては、

  • 省エネ住宅
  • スマートハウス
  • 長期優良住宅
  • ZEH (ゼッチ/ゼロ・エネルギー・ハウス)

などがあります。これらは、耐震性などその他の住宅性能も高いことが多く、該当する場合にはさまざまな資金面での優遇制度を利用できます。

 

たとえば、年間で消費する住宅のエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下の住宅であるZEH。
ZEHに認定されれば、電気代が大幅に下げられることに加えて、数十万、場合によっては100万円単位で補助金を受け取れ、住宅ローン控除額も増額されます

 

こうした点を踏まえると、初期の建築費用が高くなってもランニングコストが削減できたり、補助金を受け取れたりすることで、住宅にかかる総額で考えると大差なくなる、もしくは安く済むこともあるのです。

 

また、費用以外の面でいうと、

  • 涼しさや暖かさを保った空間のため、快適に過ごせる
  • 他の部屋との温度差が少なくなるため、ヒートショックを予防できる
  • 気密性が高い分、防音性も高くなる

などのメリットが挙げられます。 高断熱・高気密にすることは、住み心地を良くすることともいえるのです。

 

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電気代の切り口から、高断熱・高気密についてお話ししてきましたが、住まいを考えるときに断熱性を重視される方は、特に検討初期だとあまり多くないと思います。

 

実際に住まいの窓口に来られるお客様も、最初から高断熱・高気密を重視される方は少なく、全体のうちの2割くらいの印象です。

 

一戸建てを検討される方は、「注文住宅=間取りの自由度」「建売住宅=価格が安い」という点に注目しがちです。しかし、検討を進めていくうちに、住宅の性能面の重要性に気づき、最終的に建売住宅から高断熱・高気密にできる注文住宅にシフトチェンジする方も多くいます
今の状況だけを踏まえた考えや予算設定で損得を求めて決断してしまうと、後悔をしてしまうこともあります。

 

ですので、ハウジングアドバイザーとしては、先々の生活や住み心地、快適さも考えて購入することをおすすめしたいですね。予算を少し上げたり、エリアをちょっと変えたりして、住宅の性能面をその分アップさせる、などもできます。予算が厳しいからと全く考慮しないのはもったいないです。

 

家族が過ごす家、ご家族が本当に住みたい家の理想像を描いて決断できると、納得のいく住宅購入になると思います

 

なお、「住まいの窓口」では、性能面も含めて住宅購入のご相談をお受けすることができます。困ったり、悩んだりする前に、まずは利用してみてください。

 

※本記事は2022年3月に住まいの窓口noteに掲載された内容です。

 

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