注文住宅の玄関は、住む人が日々出入りし、訪問者が最初に見る場所です。生活のしやすさや住まいの印象を左右する重要なポイントとなります。ですが、滞在時間が短いためリビングやキッチンに比べて間取りを決める際についつい後回しにされがちです。

今回は、30件以上の注文住宅を取材し、自身も一戸建てに住む筆者(LIFULL HOME'S 編集部員)が、事例を用いて玄関を決める際の基本ルールと見落としがちなポイントをまとめました。

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玄関は、主にドア、ホール、土間、収納で構成されており、約3畳(1.5坪)が標準的な広さとされています。ここでは、玄関の間取りを決める際に押さえておきたい基本のルールについて解説します。

収納するものに応じて、シューズボックスやシューズクロークの広さや設計が決まります。例えば、ゴルフバックなどの背の高い物を収納する際は、棚の高さを調整する必要があります。最近ではリビング用の掃除道具を置く事例もあります。最初に何を収納するかを決めて、収納するものに合わせて広さを確保するといいでしょう。玄関収納についてはこの後詳しく説明します。

玄関から部屋につながる動線を考えることも生活のしやすさのポイントになります。

■キッチンにつながる玄関

買い物をしたときに最短距離でキッチンやパントリーに荷物を運ぶことができます。家族が増えると買い物の量も多くなるため、重い荷物を運ぶのに便利です。

■洗面所などの水回りにつながる玄関

帰宅後すぐに手を洗うことができるので衛生的です。「外遊びが大好きな息子がいるのでお風呂を玄関の近くに配置しました」という事例もありました。

■リビングに直結する玄関(仕切りなし)

最近増えている間取りです。玄関からリビングまでの廊下やドアを排除できるため、スペースを有効活用でき、コスト削減にもつながります。

後悔ポイントとしてよく挙げられるのが床のカラーや材質です。日常生活を送るだけでも床は汚れますが、特に雨の日や公園から帰った後などは汚れが目立ちやすくなります。白に近い色の床材は汚れが目立ちやすい場合もあり、材質によってはブラシでしっかりとこすらないと汚れが取れないこともあります。床材を選ぶ際にはデザイン性だけでなく、汚れやすさや掃除のしやすさも考慮して選ぶといいでしょう。 

近年人気なのがスマートキーです。鍵を鍵穴に入れなくても施錠・開錠ができるため、荷物を持っているときや子どもと家に入るときなどに便利です。スマートキーのタイプはさまざまで、リモコンキー、カードキー、タグキー、スマホキーなどがあります。玄関のドアに付いているボタンを押して開錠するタイプや、キーをかざして開錠するタイプ、近づくだけで開錠できるタイプなどがあります。

スマートキーは、後から取り付けようとすると、ドア自体の交換が必要になるものもあります。導入するかどうかは、新築の際に検討することをおすすめします。

 

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玄関の収納として、靴以外のものも収納できるシューズクローク(土間収納)を採用する人が増えています。玄関まわりのアイテムや外出時の荷物を収納するために、広めの収納スペースを設ける場合もあります。実際に、筆者が取材した注文住宅では、多くの人が玄関まわりの収納にこだわりを持っていました。

玄関収納は玄関の間取りに大きく影響する場所になりますので、しっかりポイントを押さえましょう。

■シューズボックス

昔からある収納タイプで、下駄箱とも呼ばれています。サイズによっては傘やほかのものを収納することもでき、玄関のスペースがあまり取れなくても設置しやすいのが特徴です。

■シューズクローク

シューズインクローゼットや土間収納とも呼ばれており、ベビーカーやゴルフバックのような、外出時に使うものなどを収納する、玄関横の収納スペースのことをいいます。シューズボックス付きの玄関より広いスペースの確保が必要になります。

 

また、シューズクロークには、【ウォークスルー型】【ウォークイン型】があります。

 

【ウォークスルー型】は、玄関とは別に収納スペースから部屋に出入りできるタイプです。靴の脱ぎ履きや、収納をしてそのままリビングに進むことができ、外出時や帰宅後の動線がスムーズになります。

 

【ウォークイン型】は、【ウォークスルー型】に対し、リビング側へ出入りできない収納スペースです。壁面の面積が広く取れる分、ウォークスルー型よりも収納スペースを多く取ることができます。

実際に、注文住宅を建てた人の事例をご紹介します。玄関の間取りは、土地の広さや形によっても変わります。

玄関横に広々収納スペースを設置(ウォークスルー型)

シューズクロークというよりも、土間収納と呼ぶのがしっくりくる収納スペース。半個室型シューズクロークにドアをつけることで、メインの玄関はスッキリと見映えがよい状態を保つことができます。

 

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広々とした印象にするためのオープン収納(ウォークスルー型)

注文住宅ならではの開放感のある玄関を希望していたご夫婦。オープン型の収納を採用しました。

小スペースでも機能的な収納スペース

玄関ドアとシューズボックスの間にスペースをつくることで、使い勝手のいい収納スペースが完成。予算を抑えて土間収納をかなえることができました。

 

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玄関横全面収納スペース

天井まで収納スペースにして、大容量の荷物が収納できる仕様になりました。天井まである扉を採用することで、開放感をアップさせています。

 

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玄関・部屋側どちらからでも出入り可能なクローズ収納(ウォークスルー型)

引き戸にすることで使いやすく、スッキリとした印象の玄関になりました。戸を閉めるだけで、来客時にも慌てることなく対応できます。

 

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趣味の道具を見せる収納

 

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趣味のサーフィンやサイクリングの道具を工夫して収納する事例もあります。

あえて見せる収納にすることで、大きなサイズのものでもスッキリと整理でき、好きなものを目にして自分の気分も高まります。

 

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意外と忘れがちなのが玄関屋根です。玄関屋根がない場合、外に出た際や傘をさす際に雨にさらされてしまいます。玄関屋根のつけ方はさまざまですが、忘れずにハウスメーカーに要望を出しましょう。

コロナ禍をきっかけに、玄関に手洗い用の洗面台を設置することが人気となりました。 玄関に入るとすぐに手を洗えるため、来客時に洗面所を見せずに済み、生活感を隠せるという利点があります。ただし、洗面台の設置にはスペースや予算が必要なため、洗面所を玄関の近くに配置している事例もあります。

玄関の横に設置した手洗い洗面。和モダンな家の雰囲気に合うようなデザインを選んだのだそう

洗面台を玄関ホールに配置した住まい。来客を意識して見映えのいいツーボウルの洗面台に

開き戸の玄関を採用する住宅が多いですが、家全体が和モダンなデザインであったり、玄関の外のスペースがとれなかったりする場合は、引き戸を採用するのもよいでしょう。

玄関の外のスペースが広くとれなかったため、引き戸を採用したケース

掃除をする際に利用したり、電動自転車や工具の充電をしたり、何かとコンセントが必要です。コンセントは後から取り付けることもできますが、後付けのほうが新築時よりも費用が上がるため、余裕を持って設置すると安心です。

玄関や収納の広さや間取りによっては、においや湿気がこもることがあります。心配な場合は換気扇の設置を検討しましょう。

玄関や玄関の外にライトを設置する際には、人感センサー付きのライトがおすすめです。荷物で両手がふさがっているときなども使いやすくなります。また、玄関の外のライトを人感センサーにすると、夜間にずっと点灯し続けることなく、出入りする際にのみ点灯するので経済的です。 

注文住宅の玄関は、毎日使う場所になるため、快適さにつながる重要なポイントです。

ここで解説した基本ルールや、玄関収納のポイントを押さえて、後悔のない玄関の間取りにしましょう。

 

また、玄関の間取りは、ハウスメーカーや担当者によっても提案内容が変わってきます。

ハウスメーカーを十分に比較し、自分たちのライフスタイルに合った最適な間取りを選ぶことができる会社を選びましょう。

 

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