一般的な注文住宅と比べて、低コストで住まいづくりを実現できるローコスト住宅。費用の面ではメリットがある一方、安全に関わる耐震性については、不安を感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
今回は、ローコスト住宅の耐震性や耐震等級、選び方のポイントについて解説します。
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ローコスト住宅の特徴

ローコスト住宅とは、その名のとおり、一般的な注文住宅よりもコストを抑えて建てられる住宅のことです。ここではまず、ローコスト住宅の基本的な特徴について見ていきましょう。
さまざまな工夫により低コスト化が実現されている
地震の多い日本では、住宅の基準が厳格であり、たとえローコストといっても極端に耐震性を落とすことはできません。
そこで、ローコスト住宅では、基本性能をなるべく落とさずにコストを削減する手法が用いられています。
たとえば、「部材や設備の大量一括購入」「設計・施工の画一化・合理化」「デザインを統一した規格型住宅の採用」といったものが挙げられます。
これらの工夫により、一定の性能を維持したままコストダウンに成功しているのがローコスト住宅のメリットといえるでしょう。
ローコスト住宅の注意点
一方で、大量一括購入と画一化によって低コスト化が実現されているため、デザインや建材の選択肢は狭くなってしまうのはデメリットです。
また、しっかりとコストをかけた住宅と比べると、やはり耐久性や省エネ性能には見劣りしてしまう部分もないわけではありません。
さらに、近年では建築資材の価格高騰によって、以前よりもローコスト住宅の価格も値上がり傾向が見られています。そのため、価格と性能についてしっかりと見極めを行い、どのような家を建てるのか慎重に判断することが大切です。
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耐震等級3の家は建てられる? ローコスト住宅の耐震性

住宅の性能において、特に重視されやすいのが「耐震性」です。安心して長く住み続けるためには、十分な耐震性を備えていることが必要不可欠な条件ともいえるでしょう。
ここでは、ローコスト住宅の耐震性について解説します。
耐震等級とは
耐震等級とは、地震に対する建物の強さを表す指標であり、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて決められています。
耐震等級は、次の3つの区分に分かれています。
- 耐震等級1:建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たしており、震度6強~7の地震に耐えうる強度を示す
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の強度を持ち、長期優良住宅に認定されるうえで必要最低限の耐震性を示す。災害時の避難場所に指定される公共施設の建物と同等の基準といえる
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の強度を持ち、住宅性能表示制度においてもっとも高い耐震性能を示す。災害時の救護活動や復興支援活動の拠点となる消防署・警察署の多くと同等の基準といえる
ローコスト住宅でも耐震等級3は実現可能
あくまで一般的なケースではありますが、ローコスト住宅でも耐震等級2以上を満たしている住宅は数多く見られます。
ハウスメーカーによっては、そもそも耐震等級3を基本水準としているケースもあり、そうした会社でローコストなプランを選べば耐震等級3を実現することも可能です。
また、基本のローコストプランに別途費用をかけることで、壁や柱を頑丈なものにしたり、地盤を強化したりするといったオプションが用意されていることも多いです。
このように、ハウスメーカーによって異なるものの、ローコスト住宅だからといって必ずしも耐震性に不安があるわけではありません。
ローコスト住宅の価格が高騰している背景

住宅の価格はさまざまな社会的要因によって変動するものであり、それはローコスト住宅においても同じです。実際のところ、2023年12月時点において、ローコスト住宅の価格は従来よりも高騰しているといえます。
建築資材の値上がり
住宅価格が高騰する理由として考えられるのは、「建築資材の値上がり」や「円安」などです。
2020年以降は、新型コロナウイルスの影響によって建築資材の需給バランスが世界的に崩れ、国内における建築資材も大きく高騰しました。
また、建築資材となる木材や住宅設備、半導体などは多くを輸入に頼っています。円換算価格は、円安時には高くなってしまうのです。
コロナ禍による社会的な混乱が落ち着いても、建築資材の価格は従来の水準には戻っておらず、高騰している状態が続いています。
建築業界における人件費の高騰
住宅価格の高騰については、建築業界における人件費の高騰も大きく影響していると考えられます。建築業では長らく人手不足が続いており、関連するさまざまな職種で人件費の高騰が続いていました。
一般社団法人・日本建設業連合会の「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレット(2023年9月版)によれば、建築資材の高騰や労務費の上昇により、仮設費・経費を含めた建設コストは過去31ヶ月で「2割近く」も高騰していると試算されています。
こうした背景を踏まえると、ローコストという区分についても、ある程度とらえ方を見直す必要があると考えられるでしょう。
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ローコスト住宅を選ぶときのポイント

ローコスト住宅を選ぶときには、いくつか検討しておきたいポイントがあります。ここでは、特に重視したいポイントを3つに分けてご紹介します。
プランの自由度をチェックする
前述のように、ローコスト住宅は建材やデザインの標準化によって量産することで、効率的に建築価格を抑える仕組みです。そのため、住宅設備やデザインの自由度は、ある程度限られてしまう傾向があります。
たとえば、表面積を減らすために、建物のつくりは凹凸のない「総二階建て」にするのが基本です。
また、設備もハウスメーカーの標準仕様を指定されるケースが多いため、こだわりのある人は、どの程度まで自分の希望を反映させられるかをチェックしておく必要があります。
将来的にかかる費用も考慮する
住宅の予算計画では、購入時の初期費用だけでなく、修繕費やリフォーム費用といった将来的にかかる費用も考慮しておくことが大切です。
単に購入時の安さを追求するのではなく、「長持ちするのか」「メンテナンスはしやすいのか」といった維持に関する側面にも目を向けておきましょう。
また、冷暖房費などのランニングコストにも配慮が必要です。コストを削減するためとはいえ、気密性や断熱性といった性能を軽視すると、かえって入居後に冷暖房費がかさんでしまう可能性もあります。
そのため、快適性や安全性に関するポイントには、優先的に費用をかけることが大切です。
ローコスト住宅の今後の動向
2024年以降、ローコスト住宅を取り巻く環境は大きく変化していくと予想されています。中でも、特に大きな影響を与えるとされているのが「住宅ローン減税の仕組みと省エネ性能に関する価値観の変化」です。
2022年の税制改正により、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅では、省エネ基準を満たす住宅でなければ住宅ローン減税を利用できないこととなりました。
また、国土交通省は2025年4月以降に着工するすべての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることを発表しています。このように、国の方針としては、住宅における省エネ性能を重視していることが分かります。
それに対して、従来のローコスト住宅では、省エネに関する性能や設備の水準を下げてコスト減を実現していた側面があります。そのため、今後はローコスト住宅の定義そのものが変化していくことも十分に考えられるでしょう。
いずれにしても、今後は省エネ性能の低い住宅の価値が相対的に下がることが予想されるため、これからの変化も見据えて、どのような家づくりを行うのかを判断することが大切です。
耐震性に優れたローコスト住宅をつくるメーカーを見つけてみよう

耐震性や住宅性能に関する基準は、施工を依頼するハウスメーカーによっても異なります。まずは、さまざまなハウスメーカーを比較しながら、自身の理想を実現してくれる依頼先を見極めることが大切です。
LIFULL HOME’Sでは、以下のリンクからローコスト住宅を扱うハウスメーカーをまとめて探すことができます。効率的に情報収集を行って、気になる会社をいくつか絞り込んでから見積もりを依頼してみるといいでしょう。
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記事のおさらい
耐震等級とは?
耐震等級とは、品確法に基づいて決められた、地震に対する建物の強さを表す指標です。等級は1~3までの3段階に分かれており、耐震等級3が最上級の耐震性を示す基準となっています。
ローコスト住宅で耐震等級3は実現できる?
ローコスト住宅であっても、費用の優先順位を適切に設定すれば、耐震性に優れた家を建てることが可能です。メーカーによっては、耐震等級3を基本水準とし、ローコストながら耐震性を重視した家づくりを行っているところもあります。
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