ZEHの基礎知識

 

ZEHとは、Net Zero Energy House（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）の略称で、消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にすることを目指す住宅を指します。

 

具体的には、消費エネルギーを減らすために家全体の断熱性を高めたり、太陽光発電などの「創エネ」システムを導入したりすることにより、快適な室内環境を保ちつつ、大幅な省エネルギーを実現します。

ZEHの基準

 

ZEHの基準は、次のとおりです。

※ 一次エネルギー：天然ガスや石油、石炭の化石燃料のほか、風力や水力、太陽光など自然のままのエネルギーを指します

 

地域ごとの外皮性能（断熱性能）基準よりも高い水準であることや、基準一次エネルギー消費量が一定以上削減されていること、さらに再生可能エネルギーの導入や一連の措置によって消費エネルギーが実質ゼロ以下になることがZEHの要件です。

ZEH住宅を建てるメリットとデメリット

 

ZEHは、太陽光発電などの導入で光熱費が抑えられたり、蓄電池の設置によって停電時も電気が使えたりするメリットがあります。

 

また、高断熱によってヒートショックを防ぐことができるなど、環境だけでなく身体にもやさしい点が魅力です。国が定めた基準を満たせば、補助金を受けることができます。

 

一方、ZEHは省エネ設備や太陽光発電などの導入など、初期費用が高くつくことがデメリットです。さらに、太陽光発電は天候によって発電量が上下するので、雨が多い時期や冬などは発電量が減る可能性があります。

 

ただし、地球に優しい点や健康面など、長期的な視点で考えると、ZEHにするメリットは大きいといえるでしょう。

ZEH対応のハウスメーカー選びのポイント

 

多くのハウスメーカーがZEH対応の住宅を建築していますが、それぞれ特徴が異なります。ハウスメーカーを選ぶときは、次の3つのポイントをチェックしまししょう。

ZEHの実績

 

さまざまなハウスメーカーがZEHの建築に対応しているものの、中には施工実績が少ないメーカーもあります。実績が少なくZEHに慣れていないと、申請に時間がかかったり手続き費用が高額になったりすることもあります。

 

大手ハウスメーカーでも実績には幅がありますので、安心して住めるZEH住宅を建てたいという人は、各ハウスメーカーのホームページでZEHの普及実績をチェックしてみましょう。

 

普及実績は各ハウスメーカーのホームページや一般社団法人・環境共創イニシアチブ（SII）が公開しているデータからも確認できます。

特徴や性能の強み

 

各ハウスメーカーによって、得意とする工法・技術は異なりますが、特にZEHでポイントとなる「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つに注目してみましょう。

 

断熱材の種類や太陽光発電などを活用した創エネ設備の種類など、ZEHを実現するのに欠かせない技術力を確認し、比較してみてください。

アフターサービスの内容

 

ZEHでは、性能を維持するためのメンテナンスが欠かせません。入居後のアフターサービスの内容は、各ハウスメーカーによって異なります。

 

定期点検の費用や内容は、導入する設備によっても変わってくるので、トータルでどれくらいの費用がかかるのか、どのくらいの頻度で点検するのか、ZEHをリフォームする場合の費用はいくらかなど、将来的にかかる費用と保証内容について確認するようにしましょう。

 

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ZEH対応のハウスメーカー例

 

ZEH対応のハウスメーカーの選び方を見てきましたが、具体的にはどんなハウスメーカーがあるのでしょうか。ここでは、そんなZEHを取り扱うおすすめのハウスメーカーを5社紹介します（2023年3月時点）。

・一条工務店

 

「家は性能。」を掲げ、高断熱・高気密性能に優れた住宅を提供しているのが、一条工務店です。一条工務店は、ハウスメーカーのなかでもZEHの普及率が98％（2021年度）と、トップの実績を誇っています。

 

大容量太陽光発電による高い創エネが特徴で、2021年度「省エネ大賞」の省エネ事例部門・ZEB・ZEH分野では最高賞の「経済産業大臣賞」を受賞しています。

 

高くなりがちな建築費はグループ工場での内製化によってコストを抑え、さらに30年保証などのアフターサービスが強みです。

・積水ハウス

 

さまざまな暮らし方を提案する積水ハウス。ZEH比率は92％（2021年度）で、開放的な空間でありながら断熱性能の高い複合サッシを採用することで高断熱・高省エネ性能を誇る住宅を実現しています。

 

オリジナル構法にオリジナル外壁など、構法の進化に取り組んでいるハウスメーカーで、デザイン性の高さも魅力です。また、長期保証制度とアフターサービスで入居後のサポートを行っています。

・セキスイハイム

 

地球環境に優しい住宅を多く提供しているセキスイハイムは、20万棟超えの太陽光発電システム搭載など、ZEHの取り組みを積極的に行っているハウスメーカーです。

 

ZEH普及実績は89％（2021年度）で、すべての住宅において高断熱仕様が標準となっています。

 

蓄電システム「e-Pocket」と大容量ソーラーを採用しており、国が推奨する低炭素・エネルギー循環型社会の暮らしを提案しています。60年長期サポートと、業界でもトップクラスの保証期間が特徴です。

・ミサワホーム

 

ゼロエネルギー住宅の開発を行ってきたミサワホームは、高断熱の構造を基本とし、高性能グラスウールや高断熱サッシの採用で、標準仕様でありながらZEHに必要な基準に対応しています。

 

そのため、太陽光発電等の設備を追加するのみで、ZEHが建てられます。普及実績は61％（2021年度）ですが、ZEHの商品が充実していることが特徴です。

 

35年保証と定期巡回・点検を行っており、24時間態勢で相談を受け付けています。

・ヘーベルハウス

 

シェルターのような災害に強い住宅を提供しているヘーベルハウスは、高性能の耐久型断熱を採用し、快適な暮らしが長く続く「ロングライフZEH」を提供しています。

 

「ネオマフォーム」と呼ばれる次世代の高性能断熱材を使用することで、60年以上の耐用年数を可能にしています。

 

普及実績は67％（2021年度）で、2025年までに80％を達成することを目標に掲げています。アフターサービスは30年の初期保証と60年無料点検システムで、サービスの厚さが魅力です。

ZEHでもらえる補助金について

 

ZEH住宅を建てる際には、要件を満たすことで補助金を受けることができます。代表的な個人向け補助金制度には、一戸当たり55万円の補助金がもらえる「ZEH支援事業」があります。

 

2022年度における戸建住宅ZEH化等支援事業の四次公募はすでに受付が終了していますが、2023年度もZEH支援のための予算が組み込まれており、ZEH支援事業は継続して行われる予定です。

 

最新情報については、ハウスメーカーや事業者ホームページの公募要領を確認するようにしましょう。

 

ZEH支援事業の補助対象となる住宅は、一般社団法人環境共創イニシアチブに認定・登録されているZEHビルダー（ハウスメーカーや工務店など）が建築している、といった項目などもあるため、ZEHを建てる際にはハウスメーカーに登録の有無を確認してみましょう。

記事のおさらい

ZEH対応のハウスメーカーを選ぶポイントは？

 

ZEH住宅を建てるときにハウスメーカーを選ぶポイントは、ZEHの実績、住宅性能の特徴、アフターサービスの内容、の主に3つです。詳しくは「ZEH対応のハウスメーカー選びのポイント」をご覧ください。

ZEH対応している大手ハウスメーカーは？

 

ZEHを建築しているハウスメーカーは、自社のホームページで実績数を公開しています。実積の多い大手ハウスメーカーについては「ZEH対応のハウスメーカー例」をご覧ください。

ZEH住宅を建てると補助金は出る？

 

ZEHは国も推奨しており、要件を満たすことで補助金を受けることができます。

 

ただし、年度によって応募期間や金額が異なるため、最新情報を確認する必要があります。補助金制度については「ZEHでもらえる補助金について」をご覧ください。

 

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