ローコスト住宅は、購入予算を抑えることができるので、若い年代や、早くマイホームを購入したいという人に向いているといえます。しかし、「安さゆえに、災害に弱いのではないか」と不安に思う人もいるかもしれません。
ここでは、マイホーム購入の専門家である草野芳史さんにお話を伺い、ローコスト住宅と耐震性の関係性について解説しつつ、地震に強い家を建てるためのポイントについても紹介します。
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ローコスト住宅とは?

ローコスト住宅とは、名前のとおり、コストを抑えた注文住宅のことです。
ローコスト住宅の坪単価
明確な定義はありませんが、坪単価30万~50万円程度が目安と考えられます。ちなみに、一般的な地元工務店では坪単価45万~65万程度、大手ハウスメーカーの場合、坪単価60万円くらいからが相場となります。
ローコスト住宅が向いている人
購入時の予算を下げられる分、所得の低い人でも手が届きやすい住宅です。長い時間をかけて購入資金をためなくても、早くマイホームを手に入れることができるため、若い人にも向いています。
あるいは、建物にはあまりお金をかけずに、新居での暮らしや趣味にお金をかけたいという人にも適しているといえるでしょう。
ローコスト住宅のデメリット
しかし、ローコスト住宅にはデメリットも存在します。ローコスト住宅は、家づくりの過程において「効率化」を重視してコストを下げています。
そのため、依頼する会社によっては、人件費をカットするために打ち合わせを最小限に抑えている場合があり、細かいところまで何度も話し合って決めたいという人にとっては十分ではないかもしれません。
加えて、デザインや仕様などの選択肢も絞られているため、標準仕様以外のものをオーダーした場合、追加オプション扱いとなり、割高になるケースもあります。
ローコスト住宅は、注文住宅とはいえ、「フルオーダー」ではなく、「セミオーダー」という認識を持っておいたほうがいいでしょう。
ローコスト住宅はなぜ安いのか? 耐震性に影響は?

では、ローコスト住宅は、耐震性に問題はないのでしょうか。
「コストを抑えている分、安全性も劣るのでは?」と不安に思う人もいるかもしれませんが、結論から言うと、欠陥住宅などではない限り「ローコスト住宅だから地震に弱い」ということはありません。
そもそも、ローコスト住宅がどのようにしてコストを抑えているかというと、たとえば設備や材料などの選択肢を絞り、大量発注することが挙げられます。それによって、仕入れ値を下げ、コストを抑えているのです。
あるいは、設備や仕様なども売れ筋のものをパッケージ化することで打ち合わせを効率化して人件費を下げたり、ハウジングセンターに出店しないことで費用を抑えたりといった工夫でコストカットを図っています。
価格が安いからといって、品質が悪い建材を使ったり、工事で手抜きをするということではないので、ローコストだから安全性に問題があるとはいえません。
耐震性はさまざまな条件によって差が出るので、ローコストであるかどうかにかかわらず、十分にチェックする必要があります。
ローコスト住宅の住宅カタログを探す 1,000万円台のローコスト住宅カタログを探すローコスト住宅でも耐震性の高い住宅は建てられる?

それでは、地震に強い住宅を建てるためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。ひとつの目安としては、住宅性能表示制度の耐震等級や制振装置の有無などに注目する方法があります。
耐震等級(住宅性能表示制度)
住宅性能表示制度は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、構造の安定や火災時の安全、温熱環境、防犯など、さまざまな項目から住宅の性能に関する評価を行うものです。
「耐震等級」もその中のひとつ。柱や梁(はり)、主要な壁、基礎部分などの強さを評価し、どの程度の地震なら傷を受けたり壊れたりしないかを等級で表示します。等級は3段階になっており、数字が大きくなるほど地震に強いことを示します。
等級1は建築基準法の基準で定められた耐震性能を満たすレベル、等級2は学校や病院などの公共性の高い建物に求められる強度、等級3は消防署や警察署といった防災拠点となる建物に求められる性能となります。
耐震等級3レベルの耐震性を確保するには、柱や壁を多くすることがポイントですが、ローコスト住宅であっても対応は十分可能です。
制振装置
制振装置とは、地震対策として近年取り入れられている装置で、制震ダンパーとも言われています。地震による揺れを制御する目的で、柱や壁の接合部に取り付けます。こうした装置を取り入れることでも、安全性を高めることができます。
長期優良住宅
耐震性の高い家の目安として、長期優良住宅に指定されたものを選ぶ方法もあります。
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用できるための措置が、構造や設備に講じられた住宅のことを指します。都道府県や市、区といった所管行政庁が認定します。長期優良住宅は、耐震等級2以上の性能が求められます。
ローコストでも長期優良住宅を目指すことはできますが、耐震性や断熱性などにはある程度費用をかけて高い性能を求めつつ、デザインなどはなるべくシンプルにしてコストをかけないなど、予算配分を考える必要があります。
耐震性に優れたローコスト住宅を建てるためのポイントは?

費用を抑えたローコスト住宅でも、耐震性が高い住宅を建てることは可能です。具体的には、柱や壁を多く、頑丈にすることが耐震性を高めるポイントです。
また、メーカーなどへ依頼する際には「耐震等級2もしくは3の性能を確保してほしい」ということを事前に伝え、限られた予算の中でどのような工夫ができるのか相談しましょう。
ただし、耐震等級などの基準はあくまで住宅性能のひとつの目安です。耐震等級3であれば、必ずしも地震による被害を受けないということではなく、リスクを減らすためのひとつの要素として理解しておきましょう。
地盤調査も大切
ほかにも、地震と住宅の関係性を考えるうえでは、地盤の確認も欠かせません。
いくら基本設計や耐震等級をクリアしていても、地盤の弱い場所では地震の被害を受けやすくなってしまいます。事前に地盤調査を行い、地盤が弱い場合は補強を行うなどの対策をとりましょう。
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