ハウスメーカーや工務店が提示している「坪単価」とは？

 

坪単価とは、家を建てるときの1坪（約3.3m／2.2畳程度）あたりの建築費のことを言います。計算方法は次の通りです。

わかりやすいよう大変シンプルな表現にしてありますが、まずはこちらを頭に入れてください。

 

「1坪あたりどのくらいの建築費がかかるのか」がわかるため、この数字を比較することによって「どのハウスメーカーや工務店で家を建てると建築費がより安くなるのか」を判断することができるとされています。

「家の価格」

あくまでも「こういった仕様にすると、この家はこのくらいの価格になる」という参考の価格となります。実際に建築することになってから変動する可能性もあります。

「家の面積（坪）」

単純に「家が占めている部分の土地面積」と捉えることもできるのですが、ハウスメーカーや工務店によっては「どこまでを家の面積としてカウントするか」が異なるため、注意が必要です。

 

例えば「ベランダ」はこの計算で言う「家の面積」に入るのでしょうか？ 次の章で詳しく説明します。

メーカーによって計算方法が違う場合もある

 

「坪単価」には法的な基準がないため、ハウスメーカーや工務店によって計算方法が異なる場合があります。

 

大きく異なるのが上記でご説明した「家の面積」です。

「施工面積」と「延床面積」で計算される場合の違い

先ほどの「ベランダは家の面積に入るのか」という問題ですが、「施工面積」ではベランダも家の面積に含まれます。しかし、「延床面積」では家の面積にベランダは含まれません。坪単価の計算には、延床面積で計算される場合と施工面積で計算される場合があるため注意が必要です。

【施工面積】

延床面積には含まれない、ベランダやバルコニー、地下室、屋根裏なども含む面積です。

 

延床面積よりも施工面積は大きくなるので、計算式における「家の面積（坪）」が大きくなります。家の面積の値が大きくなるほど坪単価は小さくなるため、「坪単価が安い」ということになります。

【延床面積】

建築基準法において「延床面積」とされる部分で、建物の各階の「床面積」の合計です。例えば、ベランダや屋根裏収納、地下室、車庫（一部）、玄関ポーチなどは「床」ではないので、延床面積に含まれません。

 

ただし、それぞれに規定があり、ベランダやバルコニーも「外壁からの出幅が2ｍ以下は延床面積に含めない」など、単純に計算できない側面があります。

 

ですから、延床面積で坪単価を計算しているA社と、施工面積で計算しているB社の坪単価を比較しても、それは正しく比較できていることにならないので注意が必要です。延床面積や施工面積を確認したうえで判断をするようにしましょう。

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別途工事費や諸費用は含まれない点に注意

坪単価はハウスメーカーや工務店を選ぶひとつの目安にはなりますが、その数字だけを信じて選ぶのは危険かもしれません。

 

その理由としては、以下のような点が挙げられます。

理由1…坪単価には「別途工事費」が含まれない

坪単価の計算にて紹介した「家の価格」は、正確には「本体工事費」というものになります。基礎や柱、梁などをつくる費用、床や壁を仕上げる費用、キッチンやトイレ、バスルームの設置など、メインの工事にかかる費用です。

 

ところが、実際には本体工事以外の工事も発生します。外構工事やガス工事、照明器具関連などの工事です。

 

これらの「別途工事費」は、坪単価の計算には含まれていないのです。

理由２…坪単価には「諸費用」が含まれない

家を建てるには「工事」以外にもお金が必要です。設計や家についての申請、保険、税金（税金には、印紙税、登録免許税、不動産取得税の3つがありますが、不動産取得税はケースによってかからない場合があります）などにお金がかかります。

 

これらをまとめて「諸費用」と呼ぶのですが、諸費用も坪単価の計算には含まれていないため注意が必要です。

 

坪単価はあくまでもメインの工事に関わるものだけを計算したものであり、かつ、ハウスメーカーによって計算方法も異なるので、あくまでも目安に過ぎないとご理解ください。

坪単価が高くても低くても、自分に合ったメーカーを探そう

坪単価はまったく当てにならないものではありません。

 

ただ、計算式や計算方法の違いによって「坪単価が高くても希望通りの予算で建築可能である場合」や「坪単価が低くても予算を大きくオーバーしてしまう場合」があることを理解しておきましょう。

 

なお、確かに建築費を抑えて家をつくることができれば理想ですが、その後トラブルが発生してしまうようでは意味がありません。

 

つまり、坪単価が高いとしても、その分住宅性能が高ければ、長期的に見てメンテナンス費用やリフォーム費用が抑えられるなどのメリットがあるケースもあります。

 

坪単価はあくまでも目安として捉え、性能や設備も含めて検討するようにしましょう。

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