築年数が経過したマンションは、中古マンションのなかでも価格が低く、買い求めやすいのが魅力です。しかし、老朽化などに不安を感じる面もあり、寿命が気になってしまう人も多いのではないでしょうか。

今回は築30年のマンションに焦点を当て、寿命や物件購入時の注意点について解説していきます。

築年数の経過したマンションイメージ

 

中古マンションを購入する際には、マンションの寿命について正しく理解することが大切です。ここでは、マンションの現状と寿命について見ていきましょう。

 

国土交通省の調査(※)によれば、マンションの築年数は全体的に増加傾向にあり、築30年を超える物件はこの先も増えていくことが予想されています。

 

2019年末の段階でも、築30年超のマンションは213.5万戸とされており、マンションストック総数の30%を超える割合となっているのです。

 

(※)国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数

 

建物の寿命を考える際には、耐用年数が注目されるのが一般的です。鉄筋コンクリート造(RC造)マンションの法定耐用年数は47年であり、この年数をひとつの区切りとして考える人も少なくありません。

 

しかし、構造上の寿命はさらに長く、国土交通省の資料(※)では100年以上と試算されていることが明らかにされています。また、同資料では鉄筋コンクリート造住宅の平均寿命が68年とされています。

 

マンションに限らず、住宅の寿命はメンテナンスに左右される部分が大きく、法定耐用年数を超えてもまだ十分に住み続けられるケースは少なくないのです。

 

(※)国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介(P10)

築30年マンション購入のメリット

 

築年数が経過したマンションには、新築にはないさまざまな魅力があります。ここでは、築30年のマンションを購入する主なメリットについて見ていきましょう。

 

中古マンションのメリットとして、真っ先に思い浮かぶのがコスト面の強みだといえます。一般的に、建物部分の価値は築10年を迎えるまでに大きく下落し、20年を超える頃には横ばいとなります。

 

築30年のマンションであれば、エリアにもよりますが基本的には、ほとんど底値といえる価格で購入ができ、価値が大幅に下落する心配もありません。

 

人気の高いエリアなどで新築の価格に手が届かないといった場合でも、中古市場に目を向けることで、購入できる可能性が大きく広がるのです。

 

「マンションは管理を買え」といわれるほど、管理状態が物件に与える影響には大きなものがあります。マンションでは共用設備などのメンテナンスを自分では行えないため、一戸建て以上に管理状態の良しあしが重要性を持つのです。

 

新築の場合、物件の状態から管理体制を見極めることは難しく、思うようなメンテナンスが行われないリスクがあります。それに対して、中古物件にはメンテナンスの度合いが大きく反映されるため、普段の管理体制を把握しやすいのです。

 

築年数が経過したマンションは、新築よりも立地条件の良い物件が多い傾向にあります。なぜなら、通常は立地の良いエリアから先に開発されていくためです。

 

マンションを新築しようとしても、利便性の高い土地にはすでにほかのマンションが建てられており、結果として中古のほうが好立地となるケースが多いのです。

 

物件の寿命を左右する重要なポイントとなるのが、大規模修繕工事の有無です。建物の耐久性を高めるためには、外壁塗装や下地の補修、防水、設備の入れ替えといった大規模な修繕工事が欠かせません。

 

国土交通省の資料(※)によれば、マンションの大規模修繕工事は「12年程度に一度」とされています。そのため、一般的なマンションであれば、築30年を迎える間に2回は実施されているか、少なくとも2回目の計画が進んでいると考えられるのです。

 

(※)国土交通省「長期修繕計画作成ガイドラインコメント

 

マンションの耐震性は、1981年に施行された「新耐震基準」を機に大きく変化しました。つまり2021年現在では、築40年あたりが耐震基準、新旧の境目になるということです。

 

築30年のマンションであれば、基本的には新耐震基準に基づいて建てられていると考えられるため、耐震性についても安心感があるといえます。

マンションの修繕

 

中古マンションを購入する際には、いくつか目を向けておきたいポイントがあります。ここでは、築30年の物件を選ぶ際のチェックポイントを見ていきましょう。

 

これまでにも見てきたとおり、マンションの寿命はメンテナンスに大きく左右されます。中古マンションを購入する際には、事前に修繕履歴を確認し、どのようなスパンで行われてきたかを確認しましょう。

 

メンテナンスの度合いは、修繕積立金からも確かめることができます。相場よりも安い設定であれば、修繕に十分な資金が貯蓄できていない可能性も考えられるため、注意しておく必要があります。

 

中古マンションの管理状態のなかでは、特に配管設備が重要なポイントとなります。建物の部分に比べて、配管設備の寿命は25~30年と短いため、築30年の場合は修繕履歴や修繕計画を細かく確かめることが重要です。

中古マンション購入時の住宅ローン

 

中古マンションにおいても、購入に伴って税金が発生する点は新築と変わりません。ここでは、中古マンション購入時にかかる税金について解説していきます。

 

中古マンションの購入に関係する税金は、主に「印紙税」「不動産取得税」「登録免許税」の3つです。それぞれ不動産の価値に応じて税額が決定され、一定の基準を満たせば軽減措置を受けることができます。

 

中古マンションの場合も、住宅ローンを利用していれば、「住宅ローン控除」を受けることができます。住宅ローン控除は、一定の要件を満たせば、最大で13年間にわたって、ローン残債の1%が所得税や住民税から控除される仕組みです。

 

ただ、中古住宅の場合は、新築の要件に加えて「築年数」に関する条件を満たす必要があります。築20年(耐火建築物の場合25年)以内が基準とされているため、築30年の場合は要件をクリアすることができません。

 

しかし、一定以上の耐震基準を満たしていることが証明できれば、築年数が経過していても控除が適用されます。具体的な条件としては、「耐震基準適合証明書」の取得、「耐震等級1以上」の取得、「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」の加入のいずれかが挙げられます。

 

そのため、住宅ローンを利用する際には、耐震性能の証明方法にも目を向けておくことが大切です。

クロスの張替

 

築30年のマンションは購入価格を抑えられる分、リフォームに資金を回せる点もメリットです。

 

築年数が経過していても、改装によって住まいの快適性を向上させられるため、リフォームやリノベーションを前提として購入されるケースも多いといえます。そのため、購入後の計画にも目を向けて検討することが大切です。

 

マンションを購入してからは、主に「そのまま住む」「表層リフォームを行う」「リノベーションを行う」といった3つの選択肢があります。購入時点でリフォームが済んでおり、設備のチェックなどを行ったのであれば、そのまま住むことも十分に可能です。

 

物件のおおまかな状態は気に入っており、部分的に修繕・改装を行いたい場合には、表層リフォームが有力な選択肢となります。表層リフォームとは、水回りのクリーニングや壁紙の交換など、目に見える部分を中心に行う作業のことです。

 

大規模な改装を行うのに比べて経済的であるため、気になる点が限られている場合には、表層リフォームが最適な方法といえます。ただ、排水管などを後から交換することになれば、かえってコストがかかってしまうためそのまま使えるのかどうかは確認が必要です。

 

コストにゆとりがあれば、間取りや排水設備などをまるごとつくり替えるリノベーションも有効です。費用はかかってしまうものの、思いどおりの間取りや設備を導入できる点は大きな魅力といえます。

 

新築を購入するよりも、リノベーションを前提として中古のマンションを購入したほうが、理想に近い住まいを手に入れられるケースも少なくありません。

 

マンションによっては、思いどおりのリノベーションが実現できないケースもあります。たとえば、築年数が経過したマンションでは「天井が低い」「配管設備の移動が難しい」「間仕切り壁を撤去できない」などです。

 

こうした物件では、リノベーションの範囲や方法に制約が生まれてしまうのです。そのため、リノベーションを行うときには、購入の時点できちんとプランを立てておくことが大切です。

 

また、中古マンションを購入する際には、リノベーションに詳しい不動産会社に仲介を依頼するのもひとつの方法です。実現したいプランに合わせた物件探しをしてくれるところもあるため、気軽に相談してみるといいでしょう。

中古マンションイメージ

 

  • マンションの寿命はメンテナンスに左右される部分が大きい
  • 管理や修繕が行き届いていれば、築30年でもまだ住み続けられる
  • 築30年のマンションには、価格以外にもメリットがある
  • 中古のマンションを購入するときには、管理状態を中心にチェックすることが重要
  • 購入後のプランを立てたうえで物件探しをするとスムーズ

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