自分の老後、あるいは同居する家族のため、バリアフリーを意識してマンションを購入する方もいるでしょう。居室はもちろんのこと、エントランスや階段など主な共用部分のバリアフリーは意識しやすいですが、共用廊下については見落としてしまいがちではないでしょうか。

この記事では、マンションの廊下幅について、マンションの廊下を使用するうえでのマナーにも触れながら解説します。

片側居室の廊下

そもそも、マンションの廊下幅については、「建築基準法施工令第117条」によって定められています。ここでは、廊下幅のルールについて詳しく説明していきます。

廊下幅の決まりが設けられているのは、火災発生時などに安全な避難経路を確保することが主な目的です。そのため、多くの人が通ることを想定された建物、たとえば、映画館や病院、学校、百貨店などが制限の対象となります。また、延床面積が1,000m2を超える建物や、3階建て以上の建物も対象です。

 

さらに、「採光無窓居室」のある階の廊下も、防火や避難の安全性の観点から制限が設けられています。採光無窓居室とは、光を確保できる窓の面積の合計が床面積の20分の1未満であるなどの条件を満たす居室のことをいいます。この場合は、廊下幅だけでなく直通階段までの距離などについても定められています。

3階建て以上の共同住宅のうち、住戸の床面積の合計が100m2を超える階には廊下幅に制限がかかります。あくまで目安であるものの、100m2は7~8畳程度のワンルームが4つ以上あるだけで超えてしまうため、多くのマンションは制限の対象になると考えてよいでしょう。

具体的な廊下幅の基準は、居室の配置によって異なります。廊下を挟んで両側に居室がある場合には、避難経路にゆとりが必要となるため、1.6m以上が基準として定められています。

 

一方で、片側にしか居室がない場合には1.2m以上となっています。
また、両側に居室がある部分と、片側にしか居室がない部分が混在しているつくりであれば、1.6m以上に基準を合わせるのが望ましいとされています。

マンションの廊下については、マンションごとに決められているルールもあります。共同住宅であるマンションにおいて、廊下は居住者全員で使用する「共用部分」として扱われるため、きちんとマナーを守る意識が大切です。

 

特に、共用部分に私物を置くことが禁止されているケースは多いでしょう。廊下に自転車などが置かれて幅が狭くなっていると、法律により定められた幅を満たせず、緊急時に避難の妨げになってしまうため、安全上の観点からも決まりを守ることが重要なのです。

両側居室の廊下

超高齢化社会へと移行するなかで、バリアフリー化に目を向けたマンションの需要が高まっています。ここでは、具体的にどの程度の廊下幅があればバリアフリーに対応できていると言えるのかについて見ていきましょう。

建築基準法で定められた廊下幅は、基本的に左右の壁から壁までの距離を測って計算します。しかし、手すりなどがついている場合には、その先端から幅を測ることとなっています。
そのため、バリアフリー対応として手すりが設置されている場合には、規定よりも広いスペースを確保する必要があります。

 

バリアフリー住宅としては、ただ規定を守るだけではなく、車いすが余裕をもって通れるスペースであることが望ましいでしょう。
JIS(日本工業規格)で定められている手動車いすの横幅は630mm以下となっているため、特に片側にしか居室がない場合では、規定ギリギリの1.2mにしてしまうと対面通行が困難になります。そのため、バリアフリーを意識するうえでは、廊下幅にゆとりのあるマンションを選ぶことが重要なのです。

車いすの通れる廊下

  • 建築基準法では、安全に避難経路を確保するために廊下幅に関する規定が定められている
  • マンションの多くは廊下幅の規定が設けられる対象となる
  • 廊下を挟んで両側に居室がある場合と、片側にしか居室がない場合とで広さの基準は異なる
  • 安全面の観点から、廊下などの共用部分に私物を置くことは禁止されている場合が多い
  • バリアフリーを意識するのであれば、規定よりもさらに広い廊下幅が必要

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