建築物の地震対策は主に3種類の構造

まずは、建築物にはどのように地震対策が施されているかを見ていくことにしましょう。

◆免震構造
免震構造とは、揺れを建築物に直接伝えないように地盤の上に免震装置を設置し、その上に建築物を乗せるというものです。地盤と建築物が切り離されているため、地震の揺れを抑え、建築物への影響を小さくすることができます。まさに「地震を免れる」構造なのです。

◆制震構造
制震構造は、免震構造とは異なり、建築物の内部に制震部材を組み込むことで地震の揺れを吸収する「地震の揺れを制御する」構造を指します。揺れを吸収するので、家具の転倒や建築物そのものの損傷を抑えることができるのも特徴。上の階ほど揺れが大きくなりがちな高層ビルやタワーマンションによく採用されています。

◆耐震構造
耐震構造は、建築物そのものが「地震の揺れに耐えられる」強度で造られている構造を指します。骨組みに頑丈な柱や梁(はり)、壁を使うことで建築物の倒壊や崩壊を防ぐというものです。しかし、建築物が地震を直接受けることになるため揺れを感じやすく家具が倒れやすくなります。1981年以降の建築物に定められた新耐震基準では「震度6強から7の地震でも倒れたり崩れたりしないこと」が求められています。

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タワーマンションの地震対策

◆一般的な「タワーマンション」の定義
実は、建築基準法にはタワーマンションを定義する記述はありません。建築基準法第20条では高さ60mを目安とし、60m以上の建築物に関しては安全上問題ない構造であること、またその構造方法が国土交通省の認定を受けたものと定めています。そのため、一般的には高さ60m以上、階数の目安としては20階以上のマンションのことをタワーマンションと呼びます。

◆さまざまな基準をクリアすることが必要
タワーマンションはその建築にあたり、安全性に関するさまざまな基準をクリアしています。まず、構造強度に関してコンピューターシミュレーションを行い、構造体の安全性を確認した上で国土交通省の認定を受けなくてはなりません。認定を受けた建築物とは、震度6から7の地震が発生したときに、高さに対する揺れが約100分の1になるように設計されたものです。例えば、100mのタワーマンションの場合、最上階の揺れが1mを超えないことが求められます。

設備の面でも地震に対する基準を満たさなくてはなりません。エレベーターに関しては、震度6から7の地震が発生した場合にかごが落下しない、震度5弱ほどの場合はすぐに停止する、震度4程度の場合は自動で最寄りの階に移動し乗人が避難できる、という基準があります。エレベーター以外の設備にも、地震による変形で建築物が損傷してしまうことを防ぐための措置が建築基準法上必要となります。

◆長周期地震動とその対策
地震の際、揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」と呼びます。長周期地震動とは、大規模地震の際に生じる、周期が長くゆっくりとした揺れのこと。国土交通省は2016年、南海トラフ沿いの巨大地震における長周期地震動への対策をとりまとめた通知を対象エリアの関係団体宛てに送りました。

通知には、高さ60mを超える建築物と地上4階建て以上の免震建築物で2017年4月以降に新築するものには大臣認定の運用を強化すること、既存のものであっても家具の転倒や設備の損傷に備えて必要な措置をとることなどが書かれています。関東、静岡、中京、大阪の各地域といった対象エリアでタワーマンションへの引越しを検討中の方は、長周期地震動への対策も併せて確認した方がいいでしょう。

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タワーマンションの火災対策

◆11階以上にはスプリンクラーを設置
火災発生時にすばやく対応できるかどうかも重要です。消防法では原則として、はしご車が届かない11階以上にスプリンクラーの設置を義務付けています。一定の延べ床面積以上のマンションには、原則として屋内消火栓の設置が義務化され、延べ床面積が500m2以上の場合は、自動火災報知設備の設置が必須となります。

◆防炎物品の使用・防火区画で延焼を防ぐ
タワーマンションでは、住戸内のカーテンやじゅうたんなどに防炎性能を持つ「防炎物品」に指定されたものを使うことが義務付けられています。また、建築基準法では、一定の区画を設けて防火設備を設置し、別の区画へ火が燃え広がらないようにする「防火区画」を定めています。タワーマンションの場合この防火区画の面積が小さく、高層階の延焼を抑える対策がとられています。

◆非常時の避難方法をチェックしよう
建築基準法では、消防隊が消防活動に使えるよう、高さ31mを超える建築物に非常用エレベーターの設置を義務付けています。しかしこれはあくまで消防隊員向けのものであり、居住者向けのものではありません。分譲マンションの場合、非常時の避難行動についてマンション管理規約に記載されている場合もあるので確認してみましょう。近くの避難所がどこかもあわせてチェックするのがよさそうです。

建築物の安全性をしっかりチェックして、ぴったりの住まいを探そう

タワーマンションにおける地震や火災への備えについてご紹介しました。建築物の構造や災害対策を細かくチェックすることは、物件探しにおける重要なポイント。事前にしっかり確認して、理想の住まいを見つけましょう。

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