自然素材の家とは、合成化学物質や化学建材ではない素材を使った住宅のことです。化学物質を含まない素材で建てられた家には、快適な生活を送るうえでさまざまなメリットがあります。

今回は自然素材の家の具体的な特徴やメリット、建てる際の注意点について詳しく見ていきましょう。

一戸建て

 

自然素材の家には、通常の住まいとは異なる特徴が数多く備わっています。ここではまず、自然素材の家に備わる基本的な特徴を紹介します。

 

明確な定義はないものの、自然素材とは、合成化学物質や化学建材ではない素材のことを指します。

 

代表的な自然素材としてあげられるのはムク材やしっくい、珪藻(けいそう)土、天然石などであり、それぞれ日本で古くから使用されてきた建材です。

 

たとえば、しっくいは石灰石が主原料の素材であり、高い吸湿効果と防火性を備えているのが特徴です。また、珪藻土は植物性プランクトンが化石化したもので、高い吸湿性能と脱臭効果があります。

 

自然素材の家は、素材がそれぞれの特性に合わせて取り入れられているのが大きな特徴です。

 

たとえば、リビングや居室などには肌触りの良いムク材、キッチンなどの水回りには水に強いタイルを用いるといった方法がとられます。

 

また、フローリングの塗装を柿渋や植物性オイルなどで行ったり、屋根を天然石で築いたりといったさまざまな選択肢があります。

 

人工的につくられた素材とは異なり、素材の組み合わせや歳月の経過による自然な変化を楽しめる点が、自然素材の家の大きな魅力なのです。

リビング

 

自然素材の家には、化学建材を使用した家にはない特別な強みがあります。ここでは、メリットを3つに分けて見ていきましょう。

 

自然素材の大きなメリットとして、シックハウス症候群やアレルギーを引き起こす原因となる「ホルムアルデヒド」などの化学物質が含まれない点が挙げられます。

 

また、合板などの化学建材と比べて、黒カビが発生しにくい性質を持つ点も健康にやさしいとされる理由のひとつです。

 

ムク材やしっくい、珪藻土には天然の調湿効果があります。

 

特にしっくいを使用した壁は「呼吸する壁」とも呼ばれており、湿度が高いときには湿気を吸い取り、乾燥したときには水分を放出する性質を持っているのです。

 

高い調湿機能によって、ジメジメしがちな梅雨時でも快適に過ごせるだけでなく、結露やカビの発生も自然と抑制されます。

 

また、断熱性にも優れており、外気の影響を受けにくい住宅を建てられる点も自然素材のメリットです。

 

自然素材の家のもうひとつの魅力は、高い耐久性を備えている点にあります。たとえば、壁には接着剤を使用しないため、一部分から劣化が広がる心配はありません。

 

また、床材についても、ムク材は合板フローリングと比べてはがれや浮き、色あせといった劣化が起こりにくいとされています。

 

そのため、長く住み続けることを考えたうえでも、自然素材は有力な建材だといえるのです。

家のコスト

 

自然素材の家には豊富なメリットがあるものの、人によっては合わないと感じられてしまうケースもあります。ここでは、自然素材の家を購入して後悔してしまうケースを見ていきましょう。

 

自然素材のなかには、キズや汚れがつきやすいものもあります。

 

多少のキズや汚れであれば自分でも補修や清掃をすることはできるものの、合成された建材以上にデリケートな側面を持っているのです。

 

また、自然素材は製品として規格化されておらず、自然のものをそのまま使うのが特徴です。

 

作業も職人による手作業が中心となるため、「フローリングの節目が違う」「壁の塗り方が一定ではない」など、見た目の不均一さが気になってしまうこともあります。

 

そのため、見た目の変化が気になりやすい人にとっては、通常の住宅のほうが安心して住めると感じる場合もあります。

 

自然素材の家は、建材や施工費用が通常よりも高くついてしまうケースが少なくありません。

 

そのため、計画していたコストをオーバーしてしまったり、理想の間取りや設備の導入を実現できなかったりすることもあります。

 

自然素材は本来、高い耐久性を持っているのが強みであるものの、品質を維持するためにはこまめなメンテナンスが必要となります。

 

フローリングのワックスがけや壁のキズ補修など、通常の住まいよりも手間がかかってしまう面があるため、事前に理解しておくことが大切です。

 

購入後の後悔を避けるためにも、設計や施工を依頼する会社には、メンテナンスについてもしっかり相談しておくようにしましょう。

家を建てる

 

失敗しない家づくりのためには、自然素材の特性をきちんと理解しておくことが大切です。ここでは、自然素材の家づくりを成功させるポイントについて見ていきましょう。

 

自然素材の家に住むうえでは、キズや汚れとの付き合い方を工夫することが大切です。

 

経年による見た目の変化を神経質にとらえるよりも、自然素材ならではの味わいとして考えたほうが、より快適な生活を送れるのです。

 

また、建てる段階で手入れの方法やタイミングをきちんと押さえておくことも重要となります。使用される素材によって手入れの必要性や頻度が異なるため、施工会社に相談しておくといいでしょう。

 

快適な住まいを実現させるためには、住宅の部位に合わせて、素材をていねいに見極めることも重要です。

 

たとえば、床材や柱については、ヒノキやオークなどのムク材が使用されるのが一般的です。湿気が残っているとひずみが生じてしまう可能性があるため、しっかりと乾燥されているかどうかをチェックしましょう。

 

さらに、壁材については、住まいの印象を大きく左右するポイントでもあるため、素材の色合いや質感なども細かく確かめておく必要があります。

 

また、塗料や断熱材については、自然素材のみではコストがかかってしまうことから、化学物質を含んだものが使用されるケースもあります。

 

そのため、自然素材だけにこだわりたい場合には、事前に施工会社へ意向を伝えておくことが重要です。

 

素材を選ぶ際には、コスト面にきちんと目を向けておくことが大切です。

 

一部に入手が難しい材料を選択した場合には、通常以上に費用がかかってしまうこともあるため、トータルコストを慎重に検討しましょう。

 

また、水回りの設備や間取りなどとのバランスを考慮することも重要です。

リビング

 

LIFULL HOME’Sでは、自然素材を生かした住まいの実例として住宅カタログを取り扱っています。最後に、そのなかから具体的な施工事例を紹介します。

フローリングにムク材を利用した家は、素足で歩いたときの肌触りが良く、衝撃に強い点が大きな魅力です。

 

寝室やリビング、廊下、ウッドテラスといったさまざまなスペースにムク材が使われることで、住まい全体にナチュラルで温かみのある雰囲気が演出されるのです。

 

また、この事例の最大の魅力は、小屋裏に設置された1台のエアコンのみで家全体の温度を管理できる「センターダクト換気システム」にあります。

 

自然素材の家の強みである断熱性や調湿効果を生かすことで、電気代を安く抑えられるだけでなく、各部屋の温度差を縮めて吹き抜けなどの大きな空間も確保できるようになっているのです。

リビング

 

  • 自然素材の家とは、合成化学物質や化学建材ではない素材を中心に建てられた家を指す
  • 主な自然素材には、ムク材やしっくい、珪藻土、天然石などがある
  • 高い断熱性や耐久性、天然の調湿効果を備えている点が魅力
  • 通常よりもコストがかかり、メンテナンスに工夫が必要である面もある
  • 後悔しないためには、素材ごとの特性とコスト管理を意識することが重要

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