注文住宅を建てる場合に、「おしゃれな家にしたい」という思いを持つ方は多いでしょう。洗練された、センスの良い住宅を建てるには、具体的にどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。数多くの住宅建築を手がける一級建築士の佐川旭さんにお話を伺いました。

注文住宅

 

外観や内装、インテリアなどをおしゃれにまとめるためのポイントとして、まずは要素を詰め込みすぎないという点があります。たとえば、いくら一つ一つのアイテムやモチーフがおしゃれであっても、アジア風のものと北欧風のものなどテイストが異なるものが混ざっていると雑然として見えます。色や素材なども、数種類に絞ったほうがまとまって見えます。たとえば、全体は落ち着いた色調でまとめたうえで、子ども部屋だけ思い切りポップにする、リビングには差し色になる鮮やかなソファを置くなど、要所要所にアクセントを加えるのもおすすめです。

外観のデザインとしては、最近ではシンプルでシャープな形が人気です。こちらのように屋根の軒などが出ていない家や、キューブ状のタイプなども多く見られます。

 

写真提供:ミサワホーム株式会社

写真提供:ミサワホーム株式会社

内装では、木など自然素材を多く使う住宅が増えています。もともと日本人は、生活の中に自然を取り入れることを好み、縁側があるなど家の外と中との境界が曖昧な住宅に住んできました。そのため、室内に自然の要素を取り込むことはおしゃれなだけではなく、落ち着きや安らぎをもたらします。

 

写真提供:ミサワホーム株式会社

写真提供:ミサワホーム株式会社

こうした自然素材を使った家には、北欧風のインテリアがよくマッチします。北欧も日本と同じように自然の要素を家の中に取り入れることが好まれているため、自然素材を使った家具や植物をモチーフにしたアイテムなどが多くあります。

 

また、「和モダン」のスタイルも人気です。住宅全体はモダンでも、リビングの一部に小さな畳コーナーを設けたり、部屋の仕切りを障子風にしたりすることで、和のテイストを取り入れ、落ち着いた空間をつくることができます。

 

写真提供:ミサワホーム株式会社

写真提供:ミサワホーム株式会社

中庭やインナーバルコニーなど、家の中にいながら「外」とつながることができる空間を設けることも、おしゃれな住宅に見せるポイントです。中庭は、日当たりや通気性を確保するというメリットもあります。インナーバルコニーは、建物の外に張り出すようにバルコニーをつけるのではなく、建物の中に入れ込んだ形でつくられます。外から見た時も、バルコニーの部分が突き出ていないので一体化した建物となり、シャープにまとまって見えます。

 

写真提供:ミサワホーム株式会社

写真提供:ミサワホーム株式会社

実際の注文住宅の例から、おしゃれに見せるためのポイントを紹介します。たとえば、こちらの住宅は階段と窓がポイントです。

 

写真提供:株式会社佐川旭建築研究所

写真提供:株式会社佐川旭建築研究所

 

階段は、ただ上下の階を行き来するためのものというだけではなく、工夫次第でおしゃれに演出することができます。こちらの階段は、踏み板と骨組みだけで構成されていて、段と段の間の板がない「スケルトン階段」「シースルー階段」などと呼ばれるタイプで、圧迫感がなく、光も通りやすいので開放感があります。さらに、手すりや段の側面についている白い側桁(がわげた)も印象的で、見た目もデザイン性が高く、部屋を飾るオブジェのような存在にもなっています。

 

地面に面した形にある「地窓(じまど)」は、光を取り入れるだけでなく、庭の土や地面の近くにある植物が見えるなど、通常の窓とは違った、独特の風景を見せてくれます。

 

次に紹介する住宅は、吹き抜けの空間と梁(はり)が印象的です。

 

写真提供:株式会社佐川旭建築研究所

写真提供:株式会社佐川旭建築研究所

こちらの梁は、建設予定の土地にたまたま落ちていた、天然の木を取り付けたものです。既製の部材を使うのとは違い、自然のままの素材感や、歴史を感じさせる風合いがあります。梁に窓から差し込む光があたり、季節によって、時間帯によって変わる光の流れも楽しむことができます。このように、その土地の雰囲気や、偶然の出合いなどを取り入れることができるのは注文住宅ならではの魅力です。

注文住宅を建てる

 

おしゃれな注文住宅を建てる時に、忘れてはならないのが、住む人との相性です。たとえば、小さな子どものいる家庭や高齢者がいる場合などは特に、安全性への配慮が必要です。いくらデザイン的に優れていても床や階段などにすべりやすい素材を使うと転倒する危険があるので避けたほうがいいでしょう。手すりのない急な階段なども事故のもとになりやすいため、配慮が必要です。

 

素材選びはメンテナンスにも大きく関わってきます。天然木などの自然素材は、長年使い込むことで味わいが出て、経年美を楽しむことができる一方、キズや汚れがつきやすいためこまめに手入れをする必要があるものも多くあります。外壁などはメンテナンスしやすい人工素材を使用し、内装は自然素材を多く取り入るなど、使い分けを考えましょう。

 

デザイン性にこだわることで、コストがアップしやすい点も忘れてはいけません。スタンダードな既製品は大量生産することでコストを下げることができますが、窓やドアなどすべての部分でこだわりの素材・デザインの製品を選んでいくと、通常よりもかなり費用がかかってしまう場合があります。「ここは絶対にこだわりたい!」という部分にはしっかりお金をかけ、それ以外の部分は数年かけて少しずつリフォームし、理想の形に整えていく方法なども検討してみましょう。

施工会社

 

おしゃれな注文住宅を建てるには、どんな会社に依頼すればよいのでしょうか? その建築家によって、会社によって個性はさまざまですが、基本的な考え方としては、オリジナリティがあるデザインを求める場合や、細部まで徹底的にこだわりたい場合は建築家に頼むほうがいいでしょう。一方、豊富な施工例などを見ながら好きなタイプを選びたい場合や、コストなどをある程度抑えたいという場合は住宅メーカーに依頼するのがおすすめです。

 

住宅メーカーの場合は、それぞれ得意分野や個性があるため、施工例やカタログなどをチェックして、希望するイメージに強い会社を選ぶといいでしょう。

 

一方、個人の建築家の場合は、作風などももちろんありますが、依頼主との話し合いによって柔軟に対応することが可能です。そのため、過去の施工例などだけではなく、家づくりに対する考え方に共感できるか、コミュニケーションの取り方が合うか、といった点にも重点をおきましょう。

注文住宅を建てる

 

「おしゃれな住宅」と言っても、人によってイメージするものは異なるでしょう。そのため、施工例やカタログなどを見て、イメージを具体化させることや、自分のライフスタイルとマッチするかどうかを考えることが大切です。「おしゃれな家に住み始める」だけではなく、「住み続ける」という心構えも持ちながら、長く快適に生活できる家づくりをめざしましょう。

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