住宅ローンの借入額や返済プランを決めるとき、年収は欠かせない判断材料となります。しかし、年収と住宅費用の適切なバランスを把握している人は、それほど多くないのではないでしょうか。

ここでは、年収2,500万円世帯の生活費や貯蓄額を紹介したうえで、住宅ローンの借入額や住宅購入価格の目安を解説します。併せて物件例も紹介するので、購入可能な住まいのイメージとして参考にしてみてください。

手取り額を見る

 

国税庁の2019年度の調査(※)によると、年収2,000万円超~2,500万円以下の給与所得者の割合は、全体のわずか0.2%です。

 

この数字から分かるとおり、年収2,500万円となると、高所得者層に分類される世帯となりますが、税金や社会保険料が差し引かれるため、2,500万円をそのまま得られるわけではありません。

 

年収2,500万円の手取り額は1,500万~1,550万円ほどです。差し引かれるものとして特に大きいものが所得税で、税率は33%あるいは40%にもなります。

 

所得税は累進課税制度のため、年収から各種所得控除や経費を引いた「課税所得」が900万円を超えた時点で23%から33%に増加し、1,800万円を超えた時点で33%から40%へと増加します。

 

それ以外にも、住民税や健康保険料、雇用保険料、介護保険料、各種年金が差し引かれるため、実際に使える金額は年収の6割程度です。

 

このように、支払いが義務付けられたお金を引いた手取り額を「可処分所得」といい、マネープランを立てるうえで非常に重要な数字だといえます。

 

(※)国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査

生活費

 

可処分所得とともに、マイホームを購入するうえで重要なのが生活費と貯蓄額です。

 

特に住宅ローンを組む場合には、貯蓄を頭金に充てたり、生活費を除いた分から返済費用を捻出したりする必要があるため、事前に計算しておかなければなりません。

 

まずは、平均的な4人世帯(夫婦と子ども2人)の家庭を例に、1ヶ月の生活費をシミュレーションしてみましょう。

 

総務省統計局の家計調査では、年収別ごとの平均消費支出がデータで示されています。2020年7月に公開された調査報告によると、年収1,500万円以上の世帯の住居費を除いた消費支出の平均は約54万円です。

【年収1,500万円以上の世帯の平均消費支出】

食費

約12万円

水道光熱費

約2万8,000円

家具・家事用品費

約2万1,000円

衣料費

約3万2,000円

保健医療費

約2万3,000円

交通・通信費(自動車含む)

約7万3,000円

教育費

約3万5,000円

娯楽費

約7万1,000円

その他雑費(理美容費、交際費など)

約13万7,000円

合計

約54万円

参照元:総務省統計局「家計調査/家計収支編  二人以上の世帯 年間収入階級別」

 

ここに住宅費を加えた金額が1ヶ月の総支出金額となりますが、年収2,500万円となる世帯ではさらに高額の可能性があります。

 

そのため、上記の数字を目安としたうえで、実際の生活の状況を反映した数字へ近づけることが大切です。

 

総務省統計局の家計調査では、年収別ごとの平均貯蓄額も示されています。

 

2020年5月に公開された調査報告によると、年収1,500万円以上の勤労者世帯の平均貯蓄額は3,673万円です。全体の平均貯蓄額が1,376万円ですから、約2,300万円多い結果です。

 

なお、貯蓄額には、銀行等に預けている預貯金だけでなく、生命保険の積立金や、株式投資や投資信託なども含まれています。以下で内訳を見てみましょう。

【年収1,500万円以上(勤労者世帯)平均貯蓄額】

普通預金、定期預金

2,113万円

生命保険など

727万円

有価証券(株式・株式投資信託など)

613万円 

その他

220万円

合計

3,673万円

参照元:総務省統計局「家計調査/貯蓄・負債編  二人以上の世帯のうち勤労者世帯 年間収入階級別」

 

上記の数字はあくまで平均値となるため各世帯で差があることが前提となりますが、経済的にゆとりがある世帯が多いように見受けられます。

 

一見、投資にかける額が多いように見えますが、現金での備えを確保しながら行っているところを見ると、お金の使い方は堅実な傾向です。家計が安定している世帯が多いでしょう。

 

また、年収2,500万円世帯は累進課税によって納める税金が多い分、節税への意識は高い層となります。

 

できるだけリスクを抑えながら節税したいときは、つみたてNISA(ニーサ)や個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)、ふるさと納税などを上手に活用するといいでしょう。

 

しかし、NISAやiDeCoは、あくまで投資なので、元本割れのリスクはあります。詳しく調べてから検討してみてください。

マイホームを買う

 

それでは、年収2,500万円世帯が購入できるマイホームの相場を見ていきましょう。

 

一般的に、住宅ローンの借入額は、年収の7倍までが目安とされています。年収2,500万円の場合、借入額の目安は1億7,500万円までということになります。

 

ただし、住宅ローンの借入額には上限があり、上限額を1億円以下と定めている金融機関が多いです。そのため年収2,500万円の世帯なら、一般的な住宅ローンの上限額まで借り入れし、残りは自己資金で賄うケースが想定されます。

 

たとえば、自己資金を2,000万円用意できれば、計算上は1億2,000万円までの物件を買うことができます(返済比率20%、35年ローン、金利1.3%の場合)。

 

ただし、融資を受ける時点で高齢であるなど、利用者の事情によって細かな目安が異なるケースもあります。完済を65歳までに設定したうえで、十分にゆとりのある計画を立てるのに越したことはありません。

新築一戸建て

 

これまで見てきたとおり、年収2,500万円の世帯でマイホームを購入するなら、1億円程度から、自己資金によってそれ以上のマイホームを手に入れることが十分可能です。

 

とはいえ、この先継続的に年収2,500万円をキープできるとは限らないことを考えた場合、無理のない住宅購入予算を立てる必要があります。

 

ここでは、不動産情報ポータルサイトLIFULL HOME’Sから、価格1億円前後の新築一戸建て物件をいくつか挙げ、具体的な間取りや設備などを見ていきましょう。

 

なお、物件は土地の価格が高い傾向にある都市部の物件に絞り、首都圏と関西圏に分けて紹介していきます。

間取り図

 

首都圏の都市部という人気のあるエリアでも、1億円前後であれば100平米を超える4LDKの物件を見つけることが可能です。

 

こちらの間取りのように、建物面積に含まれないロフトが付いている物件であれば、より広い空間を手に入れることができます。

 

2階に4つある居室には、すべて収納が用意されているため、個室としての使い勝手もよいでしょう。

間取り図

 

1億円前後であれば、関西圏の都市部でもかなり広々とした間取りの物件を購入することができます。

 

なかでもこちらの間取りはLDKが34.5畳、2階には16.6畳のテラスが配置されており、家族の共有スペースが充実しています。また、居室はすべて7畳以上なので、個室としての広さも十分です。

新築マンション

 

新築一戸建てと同じように、価格1億円前後の新築マンションについても具体的な事例を見ていきましょう。

間取り図

首都圏・都市部のマンションは高額な物件が多いですが、1億円前後であれば交通の利便性に優れた駅近の物件を探すことができます。

 

例に挙げた間取りでは、14.2畳のLDKと4.7〜6畳の居室が3つ設けられています。居室同士は、水回り設備などを挟んで配置されているため、プライバシーを確保しやすいでしょう。

 

間取り以外にも、ビルトイン食洗機や浴室暖房乾燥機、床暖房など、人気の高い設備が備わっている点も特徴です。

間取り図

 

都市部という好立地に加え、家族が集まれる広々としたリビング・ダイニングがほしいという場合も、1億円前後であれば見つけることができます。

 

こちらの間取りは、20畳のリビング・ダイニングに、3.7畳のキッチンスペースがつながって配置されているタイプです。キッチンは対面型なので、リビング・ダイニングにいる家族を見ながら料理をすることができます。居室が6畳以上確保されている点も魅力です。

賃貸マンション

 

金融広報中央委員会が2019年に行った調査によれば、年収1,200万円以上世帯の持ち家率は約82%、非持ち家率は約17%という結果が出ており、2割近い人は賃貸物件を選択していることが分かります。

 

ここでは、賃貸物件に住んだ場合の適正家賃について見ていきましょう。

 

一般的に家賃は、手取り収入の3分の1以下が目安とされています。しかし、生活費や固定費には限度があるため、年収1,000万円を超える場合はもう少し家賃を高く設定しても問題ないでしょう。

 

ただし、入居審査においては、家賃が年収の36分の1を超えているとやや条件が厳しくなる面もあります。そのため、「年収2,500万円÷36=約69.4万円」を上限として考えておきましょう。

 

将来的にマイホームを購入する予定がある場合には、家賃を抑えて貯蓄にお金を回し、頭金を蓄えておくことも大切です。


  • 年収2,500万円だと手取りは1,500万~1,550万円前後となる
  • 年収1,500万円以上の世帯の生活費は1ヶ月当たり54万円程度
  • 住宅ローンの適正金額は上限額の1億円となり、残りは自己資金で賄うケースが想定される
  • 地価が高いエリアでも快適な住まいを購入できる
  • 賃貸の場合は約69.4万円が上限の目安となるものの、マイホーム購入予定があるなら安く抑えておくことも大切

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