「狭小住宅」とは、一般的な一戸建てと比べて狭い敷地の中に建てられた住宅のことを指します。土地代の高い東京などの大都市圏に多く見られる住宅形態で、工夫次第で快適に暮らすことも不可能ではありません。今回は10坪の土地に建てる狭小住宅の価格や広さ、快適に暮らすためのコツなどを紹介していきます。

土地の広さ

 

そもそも、10坪の土地とはどのくらいの広さなのでしょうか。1坪は1間×1間の正方形で表され、さらに1間とは6尺(1尺は約30.3cm)のことです。ここから計算すると、1坪が約3.3平米となりますので、10坪は約33平米と分かります。33平米とは、畳で表すと20畳弱くらいの広さとなります。

土地の広さ

 

では、10坪の土地があればどこでも家を建てられるのかというと、そういうわけでもありません。土地にはその地域ごとに「住居系」「商業系」「工業系」という「用途地域」という定めがあります。これは、同じ土地には似たような建物を集めることで、それぞれの業務効率や生活環境を守るためのものです。

 

住居を建てられる土地は、「住居系」の8つと、「商業系」2つ、「工業系」のうち工業専用地域を除く2つです。それぞれの土地で建てられる建物の高さや面積は、各区分によって決められています。

 

また、同じ敷地面積でも、その中で建物を建てられる割合(建ぺい率)や、敷地面積に対する延べ床面積の割合(容積率)が用途地域や建物の形状によって異なります。建ぺい率は30%から80%の間で定められていますので、10坪の土地には最大33×0.8=26.4平米の建築面積の建物が建てられます。

 

容積率は延床面積で計算されますので、容積率100%と指定された10坪の土地の場合、1階を26.4平米にした場合、2階は33-26.4=6.6平米の部屋しかつくれないことになります。たとえば、建ぺい率50%の土地に3階建ての家を建てようと思ったら、容積率が150%あれば、土地をめいっぱい利用できるわけです。

大都市圏イメージ

 

10坪の土地に建てる狭小住宅には、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

  • 土地自体の価格はもちろん、登記費用、固定資産税や土地計画税などの諸経費も安く済む
  • 家が狭いので、光熱費が安く済む
  • 駅の近くや大都市圏など、立地の良い場所に予算内で住める可能性がある
  • 立地によっては、公共交通機関を利用して車を持たずに生活できる可能性がある
  • 居住スペースが狭いので、圧迫感を覚える可能性がある
  • 階段での移動が中心となるので、小さな子どもや高齢者は注意が必要
  • 騒音などの近隣トラブルに巻き込まれやすい
  • 防音性能や地震対策など、建物自体の建築費用が高くつく可能性がある

メリットとしては、狭い空間に家を建てることによって、さまざまなコストが抑えられるという点が挙げられます。家を建てる段階でかかる費用だけでなく、税金や光熱費といったランニングコストが抑えられる点も大きなポイントです。

 

一方、デメリットとしては、狭さによる弊害が挙げられます。実際に住んでみて初めて狭さによるマイナス面を感じることも少なくありません。狭い空間での生活をしっかりイメージして、デメリットをいかに減らせるかが、快適に暮らすためのコツになります。

土地

 

前述のように、狭小住宅の大きなメリットとして立地の良さ、コストパフォーマンスの良さが挙げられます。とはいえ、同じ坪数でも建ぺい率や容積率によって、建てられる広さや階数は異なりますので、「建ぺい率や容積率が高い」「立地条件が希望に近い」という2つのポイントを意識して土地を選びましょう。

 

部屋の広さ

 

国土交通省が発表した「住生活基本計画」によれば、最低居住面積水準(暮らすために最低限必要な面積の目安)は1人暮らしで25 平米、2人以上の世帯で10 平米×人数+10 平米と定められています。

 

また、建ぺい率は最大でも80%ですから、10坪の土地には最大でも26.4平米の建築面積の建物しか建てられません。つまり、おおむね1人暮らしの部屋と同じくらいですから、1DK~1LDK程度の部屋の広さを想像すると分かりやすいでしょう。

 

そこで、以下のようなポイントを押さえておくと、26平米くらいの建築面積でも家族が快適に過ごせます。

  • 動線や耐震性を意識する
  • 家族が増えたときのことを想定して家を建てる
  • デッドスペースをトイレや収納に活用するなど、有効活用する
  • 部屋を広く見せるため、吹き抜けやスキップフロア(中2階)をつくる

駐車場

 

狭小住宅では、家の外に駐車場のスペースをとれない場合もあります。そこで、1階部分にビルトインガレージをつくる方法が一般的です。ただし、用途地域によっては建物の高さ制限がありますので、駐車場をつくった分、居住空間を削らなくてはならなくなる可能性にも注意しましょう。

 

無理に駐車場をつくらず、近隣で借りるなどの方法もあります。居住空間を減らしたくない場合は、車は近隣の駐車場を借りるという手段も検討してみましょう。

家の価格

 

実際に狭小住宅を建てる際の、価格はどれくらいになるのでしょうか。住宅を建てる際には、「土地の価格」と「住宅の価格」が大きな割合を占めることになります。

 

まず、土地の価格については、住む場所によってさまざまです。狭小住宅という選択が多くなる都市部にスポットを当て、東京23区内の1坪あたりの価格を参考にすると、山手線内のエリアでおよそ300〜600万円、山手線外のエリアで100〜250万円ほどになっています。10坪という面積だったとしても、山手線内のエリアでは3,000〜6,000万円、山手線外のエリアでも1,000〜2,500万円ほどという価格になります。

 

また、住宅の価格については、建てる内容によっても異なりますが、10坪程度の土地に家を建てる場合、坪単価は50〜70万円程度だといわれています。仮に容積率が150%の家の場合は、750〜1,050万円が目安となります。ただし、これらの価格はあくまで建物本体にかかる価格の目安で、地盤工事などの付帯工事や諸費用などは別途かかります。

 

これらの金額はあくまで目安なので、実際には見積もりなどを出してもらうことをおすすめします。

土地

 

10坪の土地に建てられる建物の1階部分の面積は約26平米、1DKくらいの大きさなので、階数やデッドスペースなどを工夫すると快適に過ごせます。立地条件や光熱費などメリットも多いので、メリットとデメリットをよく検討してみましょう。

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