日本の建設会社数は大小合わせて約46万5千社(※1)にも及びます。そのため、新しく家を建てたいと考えるとき、どのハウスメーカー・工務店に依頼をするか迷うのは当然のことです。

住宅は完成した住宅を購入する「建売住宅」と、施主が希望する仕様で建てる「注文住宅」に分けられます。ここでは、初めて注文住宅を購入される方に向けて、ハウスメーカー・工務店選びについて解説します。

(※1)
出典:国土交通省 土地・建設産業局 建設業課
建設業許可業者数調査の結果について―建設業許可業者の現況 (2018年3月現在)

 

「ハウスメーカー」にはローコスト住宅を得意にしている企業もあれば、ハイスペックな仕様の高級住宅を得意とする企業もあります。いずれも、お客様のために「品質管理」「安全管理」の基準を設けている場合がほとんどです。

 

ハウスメーカーに依頼するメリットは具体的には以下の通りです。

 

・品質が保たれやすい
ハウスメーカーは、世界共通の規格であるISO9001(※2)を取得している会社も多く、全国の支店でバラツキなく高い「品質管理」が行われています。

 

(※2)ISO9001とは、企業などが、顧客や社会などが求めている品質を備えた製品やサービスを常に届けるための仕組みについて「国際標準化機構(ISO)」が定めた、世界共通の規格のこと

 

・独自の技術工法などを持つハウスメーカーもある
開発・研究施設を所有しており、独自の技術工法や仕様・デザインなど他社にないオリジナル住宅をブランド化しているハウスメーカーもあります。

 

・ローンの審査に通りやすい傾向がある
木造や鉄骨造など「特化した構造体」を得意とし、耐震基準を高く設定している場合が多いので、フラット35などの基準に比較的通りやすい傾向があります。

 

では、ハウスメーカーに依頼するデメリットも考えてみましょう。

 

・要望が伝わりにくい可能性がある
ハウスメーカー内では、担当が「営業」「設計」「工務」と部署ではっきり分かれているため、社内での連携がなされてないと施主側の要望が伝わらないケースが出てきます。

 

ほかにも、担当者の異動が多いハウスメーカーの場合は、竣工後、長い年月が経つとメンバーが変わってしまう可能性があります。施主側の思い入れがある施工箇所や、経緯を知らない方が担当者となることもあります。数年後メンテナンスの際などに、当時の状況は図面や議事録のみで判断されることになってしまいます。

 

 

・自由度が低い
ハウスメーカーは自社設計・施工が基本です。建築基準法のレベルより厳しく設定していることも多く、自由設計に限度があることがデメリットとして挙げられます。

 

 

・価格が高い場合がある
会社の規模が大きいので、価格のなかに「本社経費」「支店経費」「広告宣伝費」「開発費」などが盛り込まれる分、割高になることがあるようです。

続いて工務店のメリット・デメリットを見てみましょう。
最近では、大手ハウスメーカーのように支店を各地に配置したり、規格型住宅を開発している工務店もあります。

よって、この記事での工務店は「地域密着・地元工務店」とします。

・設計の自由度が高い
工務店は自由な設計が可能で、専門的な設計が必要な場合には建築設計事務所とのコラボレーションができます。

 

基本的に木造を得意とする工務店が多いですが、予算・住まい方・地盤の特性・用途地域の内容・必要な階数など、施主側の要望に合わせて木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の選定ができます。

 

また、工務店や設備機器メーカーによって仕入れ値の違いはありますが、基本的に全メーカーへの対応が可能なので、施主側の希望に沿ったキッチン・バス・トイレなどが選定できます。

 

・長期的なお付き合いが見込める
地域・地元密着という特色から長いお付き合いができるので、ライフスタイルの変化に合わせた改修や急なトラブルなどへの対応が柔軟です。

 

総じて、工務店に依頼すると自由度が高いので、家づくりのイメージがついていない人やこだわりがない人にとっては工務店は合っていないかもしれません。

では、他にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

 

・工務店に依頼するまでの判断がつきにくい
今までの施工例を公開しているケースが少なく、工務店の力量やデザイン力を把握するのが難しいようです。
また、長年同じデザイン、工法で建て続けている会社が多く、最新の省エネ技術等に対応できていないケースがあります。

 

・融資に関して自分で動かなければいけない
さらに、住宅ローンへのアドバイス力が低い工務店もあり、銀行ローンやフラット35などの金利確認や支払い回数など、施主側が自身で動かなければ分からないこともあります。

ハウスメーカー、工務店どちらに依頼する場合も、自分たちに合っているかどうかが一番大切です。

 

住宅に求める条件を洗い出す
ハウスメーカーや工務店と打ち合わせが始まると、さまざまな提案をされるので、何が必要で何がいらないか混乱してしまうこともあります。最初にご家族で方針を決めておくことが重要です。以下のような点を事前に話し合っておきましょう。

 

作業1:お金をかけたい部分・仕様と安くてもよい部分・仕様を分けておく
例:外壁 床材 断熱材 住宅設備機器 省エネ性能 耐震性能 バリアフリー仕様の有無など

 

作業2:求める外周デザインのイメージを固める
例:一世帯・二世帯・三世帯での住まい、必要な部屋数、駐車場の有無(台数)、バルコニーの有無(設置場所)、オール電化かガス併用か(特にキッチンのレンジ)など

 

メリット・デメリットを参考にどちらが合うか考える
インターネットや雑誌で、住宅展示場、工務店が開催する見学会などを小まめにチェックして、希望に近いハウスメーカー・工務店に相談してみましょう。

 

家は傷むものですから、5年後・10年後にすべきメンテナンスの内容・費用なども購入前に考えておく必要があります。

 

そのなかで長くお付き合いができるハウスメーカーや工務店と出合えるよう、地域の特性と合わせて考えてみてはいかがでしょうか。

 

以下の項目をハウスメーカー・工務店選びの際、参考にしてください。

 

□信頼性、実績はあるか
よい会社とは単純な施工物件数の多さではない。1件1件への思い入れがあるかどうか。
(大きな会社にとっては、多くの中のたったの1件だが、施主側にとっては1件がすべてである)

 

□品質、デザインは自分の要望に合うか
ハウスメーカーによっては材料のメーカーが規定で決められている会社もあるので、設備機器で幅広いメーカーの選択が可能であるか確認を。また、施工実績からデザインの方向性や得意な外装材もチェック。

 

□費用は要望に合うのか
契約前の見積時に、地盤調査による杭工事の有無や、仕様グレードが上がることによる施工費アップなどの可能性の説明などが詳しくあるか。また、コストダウンする際の提案力があるか。

 

□アフターフォロー、保証期間の有無
10年瑕疵担保責任での保険加入になるが、瑕疵工事ではない不具合などへの対応をしてもらえる保証期間は何年間なのか、アフターフォローで1年点検・5年点検などがあるかなど。

 

□担当者と自分との相性
設計打ち合わせなどでは家族のキーパーソンの意見が取り入れられがちだが、ほかのご家族の意向も組み入れられる営業・設計者であるか。

報告・連絡・相談が書面などでしっかりと行われ、個人情報保護が徹底されているか。また、連絡後の返信などが早く返ってくるかなど。

ハウスメーカーや工務店を選ぶ際、まずはどのような家にしたいのか、仕様はどのようにするのかといった要望やイメージを持つことが大切です。
そのうえで、希望(予算・仕様など)に一致した依頼先を探さないと、ハウスメーカー・工務店側の提案に流されてしまうこともありますので、住んだ後に後悔しないよう参考にしてみてください。

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