注文住宅を建てようと土地を探していると、高低差のある土地が見つかることがあります。

このようなところは相場よりも価格が安い傾向にありますが、土地の価格だけでなく家を建築する時の工事費用なども含めて、総合的に判断する必要があります。

そこで、高低差がある土地に住宅を建てることのメリットやデメリット、活用方法などをご紹介します。

土地のメリットデメリット

 

高低差がある土地とは、例えばがけ地や傾斜のある土地などを指します。このような土地に住宅を建てることに、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

高低差がある土地の価格は安い傾向

高低差がある土地の最も大きなメリットは、購入価格が安いということです。恐らく多くの方は、価格の安さに引かれてこのような土地を検討していることでしょう。

 

それ以外にも、設計によっては道路などから家の中が見られにくいこと、高低差を利用した独特な住まいを実現できることなどがメリットとして挙げられます。

高低差がある土地は建築費用が高くなるリスクがある

高低差がある土地は購入価格が安い一方で、家の建築費用が高くなりやすいというデメリットがあります。

 

これは、家を建築する際の造成工事などの費用がかさむためです。安いと思って買っても、「トータルの費用で結局割高になってしまった」ということも十分起こり得ます。

 

その他にも、高低差のある土地を扱う経験が少ない建築会社もあるため、建築会社の選択肢が狭まることや、バリアフリー化しにくく高齢の家族が住みにくい場合があることもデメリットです。

 

このようにいくつかのデメリットがありますが、やはり費用面が一番気をつけたいポイントです。一見安く見えるだけに、注意して検討しなければなりません。具体的にどのような工程に費用がかかるのか、事前に押さえておく必要があります。

高低差がある土地に家を建てる場合は、通常の建築費用に加えて以下のような工事費用も必要になる場合があります。

造成工事

造成とは、住宅などを建築するために、切土、盛土、埋め立て、地盤改良などを行い、土地をならすことを指します。

擁壁や土留めなどの外構工事

擁壁とは基礎が崩れないように補強するための壁を作ること、土留めはがけや盛土などが崩れないようにコンクリートなどで“土を留める”ことです。外構工事の費用は高低差によって変わりますが、数十万円~数百万円かかることもあります。

高低差のある土地を有効活用しよう

 

高低差のある土地では、それぞれの土地の特性を活かすことで満足のいく住居を建てやすくなります。たとえば、道路面より高い土地はプライバシーや採光の確保がしやすいというメリットがありますし、道路面より低い土地は防音性や気密性に優れています。

 

実際にどのような活用方法があるのか見てみましょう。

駐車スペースや収納(物置)などの設備を道路から近い高さに作り、そこを通じて直接部屋の中まで利用できる階段やスロープ、家庭用エレベーターなどを設置します。

 

玄関口を敷地の奥に設置し緩やかな段差・スロープを設置するなど、直接居住スペースまで移動できる工夫を取り入れると良いでしょう。

2階部分を道路に面した形で建て、リビングなどの明るさを必要とする部屋を中心に配置します。1階部分は寝室や浴室などの明るさを重要としない部屋をまとめると、外部からの視線も気になりません。

 

丘陵地など家の片面のみが道路側に接地している場合で、反対側に隣地などがない場合は、眺望のよい開放感のある1階または地下室を設置することもできます。

高低差がある土地の中でも、特に“隣地との高低差が2mを超える”と、がけ条例の規制に引っかかる場合があります。

 

このような基準を超える高低差では、建築許可を得るためにさまざまな規制をクリアしなければなりません。

がけ地とは、一般的に水平面に対し30度を超える角度を有する斜面、がけ、擁壁等を持つ土地のことです(定義は自治体によって異なります)。

一般的な用途での利用が難しいため、土地のがけ地が占める割合に応じて評価額に補正がかかります。

自治体の建築指導課で、土地ががけ地かどうか確認できます。建築主事がいる自治体で確認しますので、都道府県の場合もあれば、市区町村の場合もあります。

 

インターネットでも土地について開示されている場合もあるため、窓口に行く前に見てみるといいでしょう。また、ある程度土地の目星が付いているなら、購入・建築しようとしている不動産会社に問合せてみることもおすすめです。

 

がけ地かどうかを確認するときは、併せて建築基準条例(いわゆる“がけ条例”)も確認してください。

 

自治体ごとに名称や内容が微妙に違い、例えば東京都の条例ではがけと擁壁の設置について次のように定められています。

 

第六条
この条にいうがけ高とは、がけ下端を過ぎる二分の一こう配の斜線をこえる部分について、がけ下端よりその最高部までの高さをいう。
2 高さ二メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の二倍以内のところに建築物を建築し、又は建築敷地を造成する場合は、高さ二メートルを超える擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 一 斜面のこう配が三十度以下のもの又は堅固な地盤を切って斜面とするもの若しくは特殊な構法によるもので安全上支障がない場合
 二 がけ上に建築物を建築する場合において、がけ又は既設の擁壁に構造耐力上支障がないとき。
 三 がけ下に建築物を建築する場合において、その主要構造部が鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨鉄筋コンクリート造であるか、又は建築物の位置が、がけより相当の距離にあり、がけの崩壊に対して安全であるとき。

3 前項の規定により設ける擁壁の構造は、令第百四十二条第一項の規定によるほか、土の摩擦角が三十度以下(土質が堅固で支障がない場合は、四十五度以下)であつて、基礎と地盤との摩擦係数が〇・三以下(土質が良好で支障がない場合は、〇・五以下)の場合にも安全でなければならない。

4 擁壁等には、次の各号に定める排水のための措置を講じなければならない。
 一 擁壁には、壁面の面積三平方メートル以内ごとに耐水材料を用いた水抜穴を設けること。
 二 擁壁には、水抜穴の裏面の周辺その他必要な箇所に砂利等の透水性の層を設けること。
 三 擁壁の上部の地表面(傾斜面を含む。)には、雨水及び汚水の浸透を防ぐための不透水性の層又は排水施設等を設けること。

第六条の二 擁壁の基礎の底部は、がけの下端を過ぎるこう配三十度以内の良好な地盤に達しなければならない。ただし、構造計算又は地盤調査その他の方法により、そのがけの全体が構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

出典:東京都建築安全条例(東京都都市整備局ホームページ)

 

高低差だけでなく地盤の状況によっても必要となる工事が変わる場合もがあるため、その点も併せて確認してみてください。

高低差がある土地は購入価格が安い傾向にあり、一見するとコストが抑えられそうです。

 

しかし実際に家を建てようとすると、造成工事などの費用がかさみ、トータルで費用が余計にかかってしまう恐れがあります。このような土地の購入は、慎重に判断する必要があるでしょう。

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