「注文住宅」を建てる上で、最も大切な視点は、“信頼できる建築士(建築家)・工務店(施工会社)を探して、仕事を依頼すること”“住宅に関して、わからないことは積極的に建築士(建築家)・工務店(施工会社)に相談すること”の2点です。

専門家(建築士・工務店)として“信頼”を置いて、任せるべきところはしっかりと任せることが大切な半面、せっかくの注文住宅なのにすべてを任せっきりなのは、よいとは言えません。

自分が理解できていないことや疑問に感じたことは、積極的に建築士、工務店などの専門家と相談することで、満足できる住宅(注文住宅)造りに繋がります。そのような専門家とのコミュニケーションを行う上で「住宅に関する最低限の知識」を知っておくことは、とても効果的です。

今回は、その中の住宅の「断熱材」に関する基礎知識について、一級建築士の榑林 宏之さん(BAUMPLANNING一級建築士事務所 代表)に解説してもらいました。

住宅の重要な機能を担う要素のひとつが断熱であり、それは「断熱材」に左右されます。

 

昭和以前の住宅と比較して、現代住宅が機能性の面で大きな進化をとげているのは「断熱性能」であり、その断熱性能を担う「断熱材」の機能性アップが現代住宅の寿命を延ばす要素ともなっています。

“断熱材”とは、その名のとおり「熱を遮断する建材」です。もちろん、完全に熱の流動を遮断することはできませんが、住宅外部からの“暑さ・寒さ”の室内流入を防ぐとともに、室内の“暖かさ”を屋外へ逃がさない役割を担っています。

「住宅の寿命」は、“住宅の耐久性(強度)”と“住環境の快適性”が維持できるかどうかによって決まります。

 

住宅の強度がいくら高くとも、快適な住環境が維持できなければ、そのまま住み続けることが困難となるものです。そのような“住環境の快適性”を維持するうえで、重要な役割を担っているのが“断熱材”なのです。

 

地域環境・自然環境に応じた、断熱材を適切に使用することで、住環境の快適性が創出されます。また、住宅の寿命にも影響を与えます。

断熱材の種類

素材としての「断熱材」には、特性の異なるさまざまな種類が存在しています。断熱材として使用されている“素材種類”を基準として大きく下記3つの種類に分類することができます。

 

1)天然素材系断熱材
2)発泡プラスチック系断熱材
3)繊維系断熱材

 

それぞれ詳しく解説します。

自然界には、断熱性能の高い素材が多数存在しています。そのような天然素材をそのまま生かしたのが「天然素材系断熱材」です。

 

・羊毛断熱材
・炭化コルク
などが代表的な天然素材系断熱材です。

プラスチック系の原材料を発泡(細かな気泡を含ませる)させることによって形成されたのが「発泡プラスチック系断熱材」です。

 

・押出発泡ポリスチレン
・ポリウレタンフォーム
・高発泡ポリスチレン
などが代表的な発泡プラスチック系断熱材です。

「繊維系断熱材」には、ガラス繊維を用いた「無機質系断熱材」と木材や紙を原材料とする植物繊維を用いた「木質繊維系断熱材」があります。

 

「無機質系断熱材」の代表が
・グラスウール
・ロックウール

 

「木質繊維系断熱材」としては
・セルロースファイバー
・インシュレーションボード
が挙げられます。

素材としての「断熱材」には豊富な種類が存在しているのですが、「生産性(建材の工業化・流通)」「コスト」などを踏まえると、日本の木造住宅で使用されている住宅建材としての断熱材は下記が主流です。

 

・無機質系断熱材(グラスウール、ロックウール)
・発泡プラスチック系断熱材(押出発泡ポリスチレン、ポリウレタンフォームなど)

 

現状、木造住宅の施工効率化(工業化)が進んでおり、断熱材においても、素材単体で使われるケースは少なく、住宅の「壁用断熱材」「天井用断熱材」「床用断熱材」といった形で、建材として商品化された断熱材が使用されています。

 

断熱材に「防湿層(防湿機能)」が組み合わされた断熱建材などが部位ごとに適材適所で活用されているのが実情です。

ハウスメーカーや工務店によって異なる仕様

現代の日本において、注文住宅を作ろうと考えたときに、理解しておきたいのが、施工会社(ハウスメーカー・工務店)ごとに「断熱材仕様」が異なっているということです。もちろん、一部例外はありますが、現代住宅では、作業効率・コスト効率を目的として工業化が進んでいます。

 

断熱材に関して言うと、注文住宅だからといって、さまざまな断熱材が選択できるわけではないのです。各ハウスメーカーにおいて、独自の断熱建材を開発・利用しているところも多くなっており、「断熱材仕様」は施工会社(ハウスメーカー、工務店)によって、定まっています。

 

断熱材の機能や種類などに、何かこだわりを持ちたいときには、「施工会社選び」の段階で、“どのような断熱材を使用しているのか”を確認・精査しておく必要があるのです。

前述した内容も含めて、注文住宅を作るうえで断熱材に関して、意識しておきたい大切な要素となるのが、
・施工会社(ハウスメーカー、工務店)によって断熱材仕様が異なる
・地域、自然環境によって、断熱材の「設置範囲」「設置量」が異なる
ということです。

 

施工会社によって、断熱材に対する考え方(認識・知識など)が異なっていますので、家造りを依頼する上で、少なくとも「断熱材に対する考え方(種類、範囲、断熱材量)」はしっかり確認・相談するようにしましょう。

繰り返しとなりますが断熱材は施工会社ごとに仕様が決まっているケースが多いのが実情です。

 

それゆえに、施工会社を選択する段階において「断熱に関する考え方」を確認しておくことが新築注文住宅を建てるうえでの大切なポイントです。

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