借地権の4つの種類

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借地権制度は平成4年に改正されました。

一言に借地権といっても現在の法律では4つの種類があります。それぞれに性質が異なるのでまずはその違いについて理解しておきましょう。

大地主の土地を借りて家を建てさせてもらう。戦前そんな習慣のあった日本では土地と建物の所有者が違う“借地権付の建物”がとても多く建っていました。戦後の新しい制度以降、現代では土地も家も所有することが一般になっています。そんな時代の流れに沿って大正から続いていた借地権制度では現在の実務の役に立たないとされ改正されました。平成4年に改正された現在の借地権制度は次のような規定になっています。

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旧法と新法の比較

地上権は特別な位置づけであり債権ではなく“物権”です。単独で売買の対象にもなる強い権利です。また定期借地権は事業用地などに効果的な新しい規定です。家を買う場合に関わってくるのは旧法と新法での借地権であるため、その2点に重点を置いて説明してきましょう。


旧法借地権
大正時代に制定された旧借地法は土地の売買取引よりも賃借で収益をあげることが主流だった時代の制度です。一度借地にして貸し出すと半永久的に貸し続けなくてはいけないという特徴を持っていました。先ほどの表にもありますが、旧借地権では期間の定めがないと60年になります。更にその60年が到来したとしても地主は滅多な理由がない限り立ち退き料を積み上げても土地の明け渡し請求が許されないという性質を持っています。建物が存続する限り借り続けられることが可能な借地権です。

新法借地権
平成4年から新しく設けられたのは新法借地権の規定です。期間の定めが短縮されたことに加え、立ち退き料を支払うことで地主からの借地明け渡し請求が認められやすい規定に変更されました。旧法では借り手側と自分の土地を取り戻せないと嘆く地主との間での紛争が絶えなかったためです。さらに立ち退きについての紛争をもう一歩踏み込んだ防止策として“定期借地権”も併設されました。契約期間を必ず定め、双方にどんな理由があってもその借地契約が終了するという契約です。今の時代に沿って土地の流動性を高めるためへの改正でした。

借地権付の家を買う場合に注意すべき点

では借地権付の物件を自宅として購入する場合は、どんな点に注意をすべきなのでしょうか。

旧法か新法か
最初にこの点に注意しなくてはなりません。先ほどの説明にあるように、旧法では“建物が存続する限り借り続けられやすい”のに対し、新法では期限の到来や地主からの申し出により借地を返さなくてはいけなくなるという違いがあります。旧法時代に設定された借地権は新制度が制定された後もそのまま古い規定が適用されます。この違いを知っていることは大変重要です。

融資が可能な物件かどうか
購入を検討する際には、融資が可能なのかどうかを確認する必要があります。基本的に銀行は借地物件への融資は行いません。担保として判断する内容が建物だけで、土地に及ばないからです。旧法借地権で半永久的に借りられるかもしれない物件だと主張しても建物が自然滅失してしまったら借地権は終了してしまうので評価には消極的です。

一方で、最近の住宅ローンもそのニーズに沿って多様化しているという面もあります。あるネット銀行では借地権付の自宅購入者にもフラット35が可能としているところもあります。まずは相談してみる価値はあります。但し建物が極端に築古であったり、地域によっては融資されても低い金額しか下りなかったりする場合もあります。

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法の種類や融資が可能かどうかは確認ポイントです。

価格が妥当なのかどうか
この点が最も難しい判断でしょう。地上権のようにそれ自体が物権として取引の対象にはならないのが借地権です。“借地権付の建物”が取引の対象となっているにすぎません。だからと言って建物の評価だけでは価格を設定しにくいのが現状です。路線価を参考に、借地権割合といって60%前後を乗じて計算すると言われていますがその価格も絶対ではありません。

購入する場合は、次の点に注目して自身でシミュレーションするのも一案です。

①地代
②名義書換料
③買い取り請求、増改築、売却する場合の地主への承諾料

建物はご自身の名義になるので築年数などから評価額を出します。その購入費と毎月かかる地代を考慮して同じ場所に同じような条件で家を購入する場合と比較してみると参考になります。

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価格の妥当性について、例をあげて検証してみましょう。

例えば、
土地の相場が5,000万円で地代が月額2万円
名義書換料 200万円(売主が持つ場合もあります)
築30年で価格2,000万円(相場では土地値だけで5,000万円)

検証①
2,000万円と名義書換料の2,200万円で購入し、35年間土地代に支払う総額は840万円。家の手入れやリフォームをこまめに行い更に30年(トータル60年)住み続けた場合でも土地代総額は1,440万円です。

検証②
5,000万円で2,000万円の頭金(借地権建物と同じ額で比較しやすくしています)を支払い、残り3,000万円のローンを35年、1%の融資を受けて購入すると、毎月の支払いが約85,000円です。

①は毎月2万円で住み続けた場合35年後の地代支払額は840万円です。さらに、土地を買ったと思って毎月65,000円を貯蓄にしておくと35年後には貯蓄額は2,730万円になっています。途中リフォーム費用にいくらか出費してもかなりの貯蓄が可能です。そして土地を所有していないので、土地についても固定資産税は課税されません。

一方②は毎月85,000円の支払いの後、35年後にはその土地の所有権が残ります。35年後に売却をすることも借地であることよりも容易です。(但し、35年後も土地相場が同じく5,000万円であるかどうかは誰にもわかりません)また子供たちに残すという選択肢もできます。(借地権も建物が相続されると付随します)

名義書換料や増改築に関する規定がさほど厳しくなく、価格も妥当で現金で購入出来る範囲である場合は35年間にかかる住宅費を比べてみると借地権付の家もまんざらではないという感じではないでしょうか。

人生設計を長期的に見据えて考える

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家族のライフプランを考え、
土地の後継が必要かどうか考えてみましょう。

マイホーム選びには土地付と借地権付とどちらがベターなのでしょうか

近年の持ち家事情
土地を所有するか、借地の家を買うか。一昔前なら間違いなく“所有”を選択するのが一般的でした。しかし両親の住む実家が空き家となりそれを受け継ぐ者も減少しています。空き家は今後放置すると相続人に撤去費用や高額の固定資産税が課税されていきます。そのように考えるとご自身の世代だけが一生快適に住み、ローン返済を気にしない余裕のある生活を選ぶという選択も考慮すべき時代なのかもしれません。

古い借地の家にも価値がある
また、築100年近く経つ古家でもその堅固さが素晴らしいものが多くあります。立派な梁や柱が通っていて日本史上の様々な災害でびくともしなかった家という見方もできます。そのような借地の古家を買い、粋な飲食店やオフィスにしている会社もありますね。

肝心なのは、あくまでも所有権ではないということは念頭においてシミュレーションすることです。建物が朽ち果ててなくなれば旧法借地権であっても終了です。借地なので将来的に売却したいなと考えていてもその時の市場によっては全く売れないかもしれません。

いかがでしょうか。定期借地や定期借家契約を活用した住まいづくりも若い世代の家庭に人気が出てきています。自分達の世代が資金に無理なく快適に暮らせる家を見つけるためには、借地権という選択もこれから増えていくのかもしれません。


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(2017/09/04)