家を建てる前に知っておきたい50のトリビア
家を建てることは、ほとんどの人にとって人生の一大事。そこで今回は、家を建てる前に知っておきたい50の豆知識をご紹介します。基本的な知識から思わず「へぇ~」となるものまで、建ててから後悔しないためのヒントが満載です。実際に家を建てた経験者の成功・失敗エピソードも併せて読めば、家づくりの成功に一歩近づけることでしょう。
同じ“木材”または“鉄”を使っても、
工法次第で間取りが決まる
どんな家にしようかと考えるのは楽しい作業です。でも工法によっては間取りに制約が出てしまうことも。そこで“木材”や“鉄”という材料の違いだけではなく、工法ごとの種類や特長を理解しておきましょう。
工法は主に5つあります。それぞれメリット・デメリットがあり、コストにも影響するので、依頼先候補がどんな工法を用いるのか最初に確認しておきましょう。
「建築家」という職業資格はない
よく“建築家”という言葉を耳にしますが、実はその定義はあいまいです。例えば家を紹介する際などに、家をデザインした人として使われることが多いのではないでしょうか。
一方、似た言葉に“建築士”がありますが、こちらは法律で定められた資格で建築物の設計および工事監理を行うことができます。
建築士には一級と二級があり、扱える建物の大きさなどが異なります。延べ床面積が500m2を超える建物、公共性の高い学校や病院などは一級建築士のみ扱うことができます。
こだわりのデザイン住宅も、
ハウスメーカーや工務店で建てられる
雑誌などで建築家の建てた特徴的な家を見て「自分の好みを表現するなら建築家に依頼しよう」と思う人もいるかもしれません。しかしハウスメーカーや工務店でもこだわりの家を建てられるのをご存じでしょうか。実は“建築家”と呼ばれる人も、実務としてはハウスメーカーや工務店にいる“建築士”と同じことを行っているのです。
自分のこだわりを反映した家を建てたいなら「デザイン力」「自由設計」をキーワードに、自分の好みと合う建築会社を選んでみるとよいでしょう。
同じ会社のモデルハウスでも
展示場によって家の種類が違う
「とりあえずモデルハウスでも見に行ってみるか」などと、安易に近くの展示場に出掛けることはあまりおすすめしません。なぜなら会社ごとに商品ラインアップがたくさんあり、展示場ごとに建てるモデルハウスが違うからです。せっかく出掛けていっても、自分が建てようとする広さや間取り、予算などの条件と異なるモデルハウスを見てはあまり役に立たない可能性が高いでしょう。
自分の条件に合ったモデルハウスがどこの住宅展示場にあるのか、あらかじめ調べてから向かうことが大切です。
同じ面積でも、
家のカタチは土地が決めてしまう
敷地面積が同じで、見た目も変わらない土地でも、立地によってさまざまな法律が決められているため、建てられる家のカタチは変わってしまいます。
例えば100坪の土地で建ぺい率が80%なら建築面積は最大80坪とれますが、それが60%なら60坪までしか建てられません。
そのほかにも目の前の道路幅次第では2階建てが難しいなど条件があるので、土地は広さだけでなく各種法律を確認する必要があります。
用途地域 | 都市計画により建築できる建物の種類を定めた地域のこと。全部で12種類あり、それぞれで建物の高さや種類などが決められている。そもそも住宅が建てられない地域もある。 |
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防火地域 | 市街地において火災の延焼を防ぐために指定された地域のこと。主に市街地の中心部や幹線道路沿いのエリアが指定されていて、耐火建築物または準耐火建築物しか建てられない。 |
建ぺい率 | 敷地面積に対する建築面積(通常は1階の床面積)の割合のこと。日照や通風、防火等のために、建築する建物の建ぺい率は用途地域の種別などにより最高限度が制限されている。 |
容積率 | 敷地面積に対する延べ床面積の割合のこと。用途地域の種別などにより定められた制限か、敷地に接する道路の幅による制限のどちらか厳しい方の数値が適用される。 |
道路幅員制限 | 敷地に接する道路の幅が4m未満の場合、道路の中心線から2mのところが敷地限界線になる。この敷地限界線より道路側には家や門などの外構を建てることができない。 |
道路斜線制限 | 道路を挟んだ反対側の建物の日照などを確保するための規制。道路の反対側の境界線から上空に向かって一定勾配で引いた斜線より下に、建物を建てる必要がある。 |
安すぎる土地には往々にして裏がある
いい場所に安い土地を見つけたからといってすぐに購入してしまうと、後で思わぬ出費が待っているかもしれません。
安い土地にはそれなりの理由があります。地盤が軟弱だったり、擁壁(土留め)が必要など、改良に余計な費用がかかる土地があるのです。
そのほか借地権付きの土地や、地主が親子などの共有名義で持っている土地、傾斜地にある土地、私道に上下水道管やガス管を設置しなければならない土地などは、価格が安くなる傾向があります。土地探しはプロに同行してもらうと事前にこうしたポイントを確認できて安心です。

狭小でも北向きでも
快適な住まいを造れる
いくら手ごろな値段でも、隣家に囲まれた狭小地や、日の当たらない北向きの土地に家を建てることは躊躇してしまうものです。
しかし、例えば狭小地でも窓の位置や間取りの工夫でプライバシーを守りつつも光を家中に届けることは可能です。
もちろん「土地を先に購入したら結局無理だった」などということも起こり得るので、土地探しが得意な施工会社と一緒に探すのが賢明です。

地震に強い土地かどうか
無料で調べる方法がある
見つけた土地が地震の際に安心できる場所なのかを、無料で調べる方法があります。それは各自治体が公開しているハザードマップを見ることです。
例えば東京都の世田谷区では想定した地震に対し、どこがどれだけ揺れやすいのかを地図上で色分けして示しています。そのほか各市区町村によって液状化の恐れや、洪水による浸水、土砂崩れの危険を表示した地図などもあります。
もちろん実際の地震では想定外のことも当然起こり得るので過信は禁物ですが、ハザードマップは土地選びの際の参考になるはずです。
候補の土地が見つかったら「(エリア名) ハザードマップ」と検索してみましょう。
「耐える」だけが地震対策ではない
地震対策には“耐震”“制震”“免震”という3つの方法があり、それぞれ特長があります。
“耐震”は文字通り地震に耐えるという方法で、建物の強度を高めて揺れに抵抗します。また“制震”はダンパーなどの装置で地震の揺れを吸収するという考え方に基づいています。“免震”とは建物と土地の間に装置を備えることで、揺れを建物に伝えないようにする方法です。
コストは一般的に免震>制震>耐震の順になります。

- [免震構造]
- 地震の揺れを建物に伝えない装置を、建物と基礎の間に設置する

- [制震構造]
- 地震の揺れを吸収して力を軽減する装置を、壁などの中に設置する

- [耐震構造]
- 筋交いの入った耐力壁を用いたり、部材を補強金具などで固定する
耐震等級1でも
「100年に一度の大地震」に耐えられる
法律で定められた基準を基に住宅の性能を評価するのが住宅性能表示制度です。その中で耐震性は耐震等級1~3で評価されます。
耐震等級1は、数百年に一度程度発生する地震(東京の場合震度6強~7程度)による力に対して、人命が損なわれるような倒壊や崩壊をしない程度の耐震性があるということです。
等級2はその力の1.25倍の力に対して、等級3は等級1の力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊しない程度の耐震性を備えているという評価となっています。
耐震等級が上がればそれに比例して建築費も高くなります。
木造だと費用がかさむエリアがある
中心市街地など建物が密集している地域は、火災が起これば大惨事になりかねません。そこでこうした地域は「防火地域」、またその周辺を「準防火地域」と指定され、建てられる住宅の耐火基準が決められています。
そのため指定地域に建てるときは、鉄筋コンクリート造など耐火建築物や準耐火建築物にする必要がありますが、木造でも基準を満たせば耐火建築物や準耐火建築物として認められます。ただし他の地域に建てるよりも一般的にコストがかかることも知っておきましょう。

「木造より鉄骨の方が火災に強い」わけではない
木材は確かに燃えやすいですが、ある程度の太さや厚さがあると、いったん燃えても表面が焦げる(炭化層を作る)だけで、火が内部まで進行しないため、柱や梁の強度が低下しにくいという性質があります。
そのため木造だから燃えやすいとは一概には言えません。むしろ火災では、壁や窓の耐火性の方が重要です。火災における耐火性を考えるなら、木造か鉄骨かにこだわり過ぎる必要はないのです。
耐火性能の優れた家は
火災保険が半額以下になる
耐火性の高い建物は火災による損傷が少ないと考えられるので、一般的に火災保険が安く設定されています。
木造住宅でも省令準耐火構造(住宅金融支援機構の定める基準に適合する構造)の条件を満たせば、一般的に普通の木造住宅と比べて保険料は半額以下になります。
とはいえ省令準耐火構造に対応するにはそれなりのコストがかかるので、その費用と比較して検討する方がよいでしょう。
家を建てるには、賃貸や購入に比べて時間もお金も掛かります。できるだけ手間やコストは省いて理想の住まいを手に入れたいものです。今回は、家を建てる前に知っておきたいポイントの基礎知識編をお送りしました。次回からは知ってトクする編を4回に分けてお伝えします。
- 出典:家を買Walker (KADOKAWA)
- 構成·取材・文:シラスタロウ
- イラスト:岡本倫幸
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公開日:
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耐震性や耐火性が比較的高いが開口部の大きさに制限が出る場合がある。木造軸組と比べて間取りの自由度は低い。
他の工法と比べて一般的に耐火性や耐久性が高い。一方で工期が長くなりがちで、木造と比べて建築費が高くなる。
木造軸組と比べて柱の本数が少なくてすむため間取りの自由度は高く、3・4階建てにも使用される。一方でコストがかかる。