そもそも何故、土地にルールがあるのか?

土地にどういう建物が建てられるか、定められている法律が都市計画法です。また、逆に建てて良い建物や施設を決めて個人の好き勝手な開発を制限することを都市計画制限と呼びます。

都市計画法では、都市計画区域を市街化区域(=これから開発をしていく地域)と市街化調整区域(=当面は開発を行わず、緑を残しておく地域)に分けてられており、この分け方については、どの土地が市街化区域なのか、市街化調整区域にあたるのかを、都道府県や国土交通大臣といった行政庁が決めています。

不動産を購入するときには、販売する側は必ず宅建業法第35条第1項第2号に基づき、都市計画法と建築基準法による制限についての説明をしなければなりません。そのため、土地の購入をする際に消費者側は、必ずその土地でどんな建物が建てられるのか説明を受けることになります。

とはいえ、よく分かっていない状態だとそのまま聞き流してしまう可能性もあります。その説明の際に言われる土地の利用目的を定めたものが「用途地域」です。都市計画法に基づき住居、商業、工業など用途を定めた12種類の地域があります。おおむね5年に一度全国で一斉に見直されるもので、購入した土地も数年後には用途地域が変わっている、という可能性もあります。

それでは今回は12種類の用途地域のうち、「第一種低層住居専用地域」と「第二種低層住居専用地域」にふれたいと思います。

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の特徴

全12種類の用途地域のうち、住宅を建てることのできる住宅専用の用途地域は6種類存在しています。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、があります。

このうち「第一種低層住居専用地域」は、低層住宅専用の地域。
高さ制限、建ぺい率、容積率、外壁後退といった制限がかなりあります。街並みとしては、戸建てエリアで、隣家との距離がとられている広めの敷地に、二階建ての戸建住宅が建っている住宅街を想像してもらうと分かりやすいかと思います。おおよそ2階建て住宅が並ぶ地域では例外として小規模でお店や事務所を兼ねた住宅や小中学校が建てられます。また、高さ制限のほかに建物北側の日照を確保するために日影制限という制限や、斜線制限といった制限を受けます。
架空の斜線を引き、建物の高さや形を制限します。真北の敷地境界線上5mの高さから、1mにつき1.25mあがる斜線の内側に建築物をおさめなければなりません。

「第二種低層住居専用地域」は、上記の第一種低層住居専用地域で建てられるもののほかに150m2までの一定のお店などを建てることができます。建ぺい率、容積率などの制限が厳しいのは第一種低層住居専用地域と一緒なのですが、店舗を建てることのできる地域でもあるので、第一種低層住居専用地域の住宅街の道路よりも少し道幅が広く、道路に面した場所が指定されることが多いです。第一種低層住居専用地域も、第二種低層住居専用地域も個人の住宅兼事務所や一定規模以下の住宅兼店舗(日用品店など)といった兼用住宅を建築することは可能です。

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域では主にどのような建物が建てられるのでしょう
第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域では主にどのような建物が建てられるのでしょう

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の気を付けたい制限

建物を設計するときは、隣地の日照の確保、隣地との建物の距離。高さなどの制限を考えて設計しなければなりません。

第二種低層住居専用地域は、コンビニなどの小規模店舗を建築できる点が第一種低層住居専用地域と異なります。第一種低層住居専用地域では、兼用住宅をのぞいて店舗自体は建ててはいけないので、閑静な住宅街を維持できる一方で、高齢者が買い物難民になってしまう恐れがあります。コンビニさえも本来であれば建築してはいけないため、買い物には少々不便だと感じる場合もあるかもしれません。

また、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域で共通して言えるのが、隣地斜線制限はないのですが、高さ制限は別途定められています。ただし、北側隣地への日照の悪化を防ぐ北側斜線制限は適用されます。

※隣地斜線制限・・・隣地の日当たりおよび風通しを維持することを目的とした規約。隣地境界線上からの一定の高さから勾配をつけた斜線を引くと考えて、斜線の内側に建物を収めなければならないという決まりです。

建物を設計するときは、隣地の日照の確保など様々な制限があります。
建物を設計するときは、隣地の日照の確保など様々な制限があります。

3階建てを建てるなら商業系の土地を選ぼう

個人が住宅を建てる際に注意したい点は、都内で多く見かける3階建ての住宅を建てを検討しているときです。

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域では、高さ制限(絶対高さ制限)があるため建物の高さは10mあるいは12m以下に制限されています。この範囲内に収まる建物でなければなりませんし、さらに3階建ての場合には斜線制限の一つである日影規制も適用されるため、もし建築できるとしてもかなり形が制限された建物になるといえます。そのため、事実上ほとんどが2階建ての住宅が中心となった用途地域といえるでしょう。

3階建てを建てる場合は商業系の地域を選ぶほうが、建築しやすいといえます。
一方で、商業系の地域の場合には静けさや日当たりの良さ、眺望の良さを第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域なみに確保することは難しくなります。3階建て住居が住宅地域には少なく、どちらかといえば店舗などの並びに多い理由は、こうした用途制限によるものなのです。

同じように、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域にも、こうしたことから高さ制限やその他の規制の制限はあるものの共同住宅やマンションは建築可能です。ただ、高さ制限や日影規制のために、低層のものに限定されます。

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域を選ぶメリットとデメリット

第一種低層住居専用地域のメリット・デメリット
もし、住宅として環境の良さを重視したいのであれば、第一種低層住居専用地域を選ぶといいでしょう。
隣にいきなりマンションなどの高い建物が建つこともありませんし、お店も住居兼用の50m2以下で建築物の延べ面積の2分の1未満の個人の小さいお店しか建てることができません。そのため、静かな環境のよい住宅環境で過ごせることが最大のメリットと言えるでしょう。その代わり、多少買い物などの利便性は損なわれるデメリットはあるかもしれません。

第二種低層住居専用地域のメリット・デメリット
コンビニや塾、クリーニング店など150m2以下の店舗は建築できる地域のため、生活雑貨が購入できる環境が近くにあるほうがいいと、そのほうが何かと便利だと考える人にはメリットのある地域です。小さな店舗が建築できる地域なので、現状静かな環境でも突然店舗ができる可能性があります。ただ、商業地域と違って大規模な店舗はできないため、多少の人の出入りは大丈夫と考える人にはいいかもしれません。ただ、店舗が可能な分、第一種低層住居専用地域と比べると静かな環境ではないことが多いです。

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の共通でいえるデメリットは、建築に関する制限が厳しいことと、店舗に関する制限があることで利便性が低下することです。もっと駅に近いとか、大きい道路に近いところで、アクセスの良い場所がいいというときは、その他の用途地域を選択しましょう。

用途地域で確認したい項目

今回は第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の特徴や選ぶメリット・デメリットについてお届けしましたが、12種類の地域の用途制限の中でも、土地によって個々に違う項目があります。それは下記になります。

・建ぺい率
・容積率
・絶対高さの制限

建ぺい率や容積率の詳細については下記記事をご確認ください。
同じ広さの土地で建てられる住宅に違いがある!?建ぺい率と容積率を知る

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域の建ぺい率は30~60%のいずれかに土地によって定められていますが、防火地域の耐火建物や行政庁の指定する角地の建築物だと、建ぺい率が10%加えた数値で緩和することがあります。土地購入の際には、こうした項目についてもよく確認したいところです。

HOME'Sからのポイント
住宅を建てる際は、用途地域を必ず確認しましょう。用途地域によっては、建物の高さ、デザインなどに制限を受けることがあります。用途地域によって町並みや不動産価格にも影響が出るので、自分にあった用途地域の土地を選択しましょう。
第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域は、利便性よりも静かな住環境を求める人にオススメです。

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