庭の日当たりがよく、玄関が明るい「南入り」
南入り、北入りは規模の大きな住宅地で生じるものだ。その理由を説明しよう。
まず、南向きの住宅を横に並べて建設したとする。敷地の南側が道路となり、日当たりのよい家が並ぶ。このような住宅構成で、北側も道路にすることは少ない。
効率よく住宅を建設するために、北側は道路にしないで、住宅を並べる。つまり、横並びの住宅を二列くっつけてつくるわけだ。
このような構成をとると、敷地の南側が道路になっている並びと、敷地の北側が道路になっている並びが生じる。これが、南入り・北入りとよばれるもの。つまり、南側が道路で南から入る住宅と北側が道路で北から入ってゆく住宅の2パターンができるわけだ。以上が、南入りと北入りができる理由である。
では、どちらがいいのか。
道路が南側にある南入りは、日当たりがよい。玄関が南に面して、家全体の見た目が明るくなるのも好まれる。
玄関が明るいと、いいことが起きそう――これには科学的な根拠がない。迷信に近いものなのだが、人によっては決定的要因になる。それが、南入りの住宅の大きな長所である。
一方で、南入りのために生じる欠点もある。それは、道路を通る人や訪ねてくる来客からLDと庭の様子が見えやすいという問題である。
道路から客が玄関に向かうときのことを想像してみよう。
玄関が南を向いているため、南向きのLDと並んで配置される。玄関のすぐ横はリビングという家も少なくない。ということは玄関に向かう客は、横目でリビングの様子やリビング前の庭の様子も見えてしまうのだ。門扉のところから玄関とリビングの窓・庭が見えてしまうケースもある。
そのため、居留守を使いにくいなどの短所が生じるし、リビングの窓は常にカーテンを閉めるなどの対応策が必要になる。
このように、リビングや庭のプライバシーを保ちにくいのが、南入りの短所となる。
プライバシーを保ちやすい「北入り」

一方、北入りの長所は、リビングと庭のプライバシーを守りやすいこと。道路からリビングの窓や庭が見えないからだ。もちろん、"お向かいさん"からはリビングと庭の様子が見えてしまう。しかし、ご近所さんは裏の家をジロジロ見たりしない。だから安心して過ごせることになる。
一方で、北入りの短所は、玄関が北に位置するため、ムードが暗くなりがち。玄関に日が当たらず、陰気な印象になることもある。だからといってその家に不幸が訪れるわけではないのだが、ムードの暗さを気にする人もいるというわけだ。
庭にお向かいさん宅の日陰ができやすいのも短所の一つだ。以上の短所があるため、南入りの住宅より価格設定が割安になるケースもある。割安ならば、それは立派な長所となる。
南入りがいいか、北入りがいいかを決めるときは、以上の点を考慮しなければならない。
次は、「リビングインか、独立リビングか」についてお話ししよう。
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