一戸建ては、高齢になったときに住みやすいのだろうか。段差が多く、高齢者にとって住みにくいのではないかと思えるのだが、さていかがなものか。私が見聞きしてきた例を元に検証したい。
マンションにも一戸建てにもある、老後のメリット
高齢になり、一戸建てを離れてマンション暮らしを始めた人の話を聞くと、次のような理由が挙げられる。
- マンションのほうが暖かい
- マンションのほうが防犯性が高い
- 一戸建てよりコンパクトなので、掃除の手間が少なくて済む
- マンションのほうが駅に近く、買い物等が便利
- マンションのほうが、日当たりや眺望がいい
このほか、雪国に住む人の場合、「冬の雪かきや雪下ろしの手間がかからない」という理由や、沖縄で「台風に強いし、台風一過の後始末が楽」という理由もあった。
一方で、高齢になっても一戸建てに住み続ける人たちの意見を聞いてみた。
- 愛着のある家から離れがたい
- 一戸建ては、リフォームで高齢者向けに変更しやすい
- 二世帯同居ができる
- 慣れ親しんだご近所さんから離れがたい
- ペットと一緒に暮らしやすい
- 駐車場が目の前にあり、車を利用しやすい
このなかで、注目したいのが「二世帯同居ができる」というものだ。
一戸建てなら、介護付き同居のリフォームも容易
二世帯同居は、一戸建てのほうが適している。特に、親の介護をしながらの同居「介護付き同居」の場合は、一戸建てのほうが向いている。かくいう私も実は介護付き同居の実践者。その経験から申し上げると、まず介護付き同居では「大がかりなリフォームをしやすいかどうか」がポイントになる。
トイレと浴室の入り口を広げる、広い寝室スペースを確保する、といった大がかりなリフォームなのだが、一戸建てならばそういった変更を加えやすい。
夫婦のどちらかが介護が必要になったとき、そのためのリフォームを行うのは簡単なことではない。その人の状況、介護する人の状況に合わせ、大がかりな工事になることが多い。ヘルパーさんなどの介護に頼らず、自立した生活を営もうとすれば、さらに大変。徹底的な変更が必要になる。
徹底的なリフォームを行うとしたとき、その要望に応えてくれるのも一戸建て。大がかりなリフォームになればお金はかかる。が、そのお金さえ工面すればかなりの事が可能になる――それも一戸建ての長所なのである。
一戸建てなら介護付き同居のリフォームもしやすい
次は、「一戸建てのほうが、お金がかからないって本当?」についてお話ししよう。
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