時間をかけて土地と人を知り、バランスの取れた設計を考える

■土地と人に合った住まいの設計

バウビオロギーに則った住まいづくりでは事前の調査に時間をかける、と渡邉さんは言います。このNさん宅の場合は出会って4年、建て替えの依頼を正式に受けてから設計終了までで、2年余りを要しているそうです。

「はじめに建築予定地の地形や気候、日照条件や季節風はもちろん紫外線量まで調べて、土地の条件をできるかぎり詳細に把握します。また、お施主さんの好みや癖、街並みなどの周辺環境も掴んだ上で設計に入るのです。これだけ細かく調べ上げるのは、バウビオロギーではさまざまな要素のベストバランスを取ることが最も大事だからです」(渡邉さん)

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(左)古い住宅建築が残る街並みに溶け込む和風の外観 (右)商家の店先をイメージした広い上がりかまちのある玄関。隣接する和室の引き戸や土間に埋め込まれた石臼は、建て替え前の住宅で使用されていたもの

【エコなポイント】事前の調査・把握項目

・建築予定地の地形、気候、日照条件、季節風、紫外線量、土地の条件
・住む人の好みや癖
・街並みなどの周辺環境 ほか

できるだけ自然の力で行うこと

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2階は廊下から居室まですべての床を京都産の桐板張りに。素足に触れる感触が暖かい。壁の立ち上がりに開いたスリットで壁内通気を行い、湿気が内部の断熱材に溜らないようコントロールしている

この住宅の場合は、京都特有の冬の冷え込みと夏の湿気をどうコントロールするか、それもできるだけ機械を使わずに自然の力で行うことが一番のテーマだったそうです。その解答が、地面をすべてコンクリートで覆う80センチの高さのベタ基礎と、壁内通気の採用。さらにほとんどの壁をしっくいや聚楽(土)のぬり壁にし、2階の床を京都産の桐板張りにするなど、自然素材を建材に使用することでした。

≪土地の気候と環境に合わせた工夫≫
・地面をすべてコンクリートで覆う80センチの高さのベタ基礎
・壁内通気
・ほとんどの壁をしっくいや聚楽(土)のぬり壁に
・2階の床は京都産の桐板張り など自然素材の使用

床下や壁内は、温度差だけの力で通風を確保するとともにその空気層が断熱効果も生む仕組み。桐の板張りも吸湿性が高い点だけでなく、他の板材より触った時の体感温度が1、2度高い点も考慮して採用しているそうです。多用している自然素材にはそれぞれ癖があり、腕のいい地元の職人無しでは十分に使いこなすことが難しいため、Nさん邸の壁も、京都の国宝級のお寺の修理をする名人が担当しているそうです。

住む人に合わせたオーダーメードの快適さ

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リビングスペース。ここも含めて1階の床は天然塗料のベンガラで仕上げられている。奥がダイニングキッチン。左に明るい中庭デッキ。その手前が玄関で中庭を中心にぐるりと回遊することができる設計

■使いやすく快適な空間の演出

間取りプランの特徴は、家の中心に中庭デッキを設け、その周囲に部屋を配置した回遊型の動線。通風と光を室内にくまなく取り入れる仕掛けでもあり、外廊下やアウトドアリビングとしても利用できる多機能な空間になっています。

「夏はペアガラスのドアを開けて蒸し暑さを解消し、冬には日差しを奥の部屋にも取り込んで暖める。その土地が本来持っている自然の力、地力を活かして快適な空間を作ることが大事です」(渡邉さん)

電磁波と放射線の影響も考える

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キッチンは回遊できるアイランド型の特注品。オープンにしたのは空気の流れに淀みを作らない狙いがある。IHクッキングヒーターを採用したのは施主の希望だが、水蒸気の発生を抑える効果もある

日本ではまだあまり注目されていない問題として、電磁波と放射線の影響が無視できないと、渡邉さんは言います。壁の中に通されている電線から電磁波が、耐火ボードに含まれる微量のラドンから放射線が放出され、どちらも弱い力ですが、長時間連続して曝されると健康に悪影響が出る場合があるそうです。

「IHクッキングヒーターは強力な電磁波を出しますが、使う時間は短いため、実は電線よりも影響は小さく、お施主さんの希望に沿って採用しました。長時間使用する電線には、電磁波を漏らさないシールドされた製品を使っています。耐火ボードも使用していますが、その上からしっくいを塗って放射線の影響を抑える対策を講じています」(渡邉さん)

実際の健康への影響度を把握した上で、利便性やコスト面も考慮してバランスよく仕様を決める。こうした点がバウビオロギー住宅の特徴であり、魅力でもあるといえそうです。

取材協力
 ケイ・ワタベ一級建築士事務所

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