回りを見渡せば当たり前のように目に入る2階建て住宅。平屋も散見され3階建て住宅も増えているとはいえ、一戸建て住宅はほとんど2階建てです。ごく一般的な存在の2階建て住宅について、その実態を探ってみましょう。

総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の平成20年分データ(100戸単位で四捨五入)によれば、全国の専用住宅総数4,828万1,000戸のうち、一戸建て住宅は2,628万2,900戸。さらに、このうち2,123万9,200戸が2階建てで、一戸建て住宅全体の80%あまりを占めています。それ以外には平屋が427万700戸、3階建て以上が77万3,000戸となっています。2階建て住宅が急増したのは高度成長期の昭和36年以降で、現存する住宅の建築年でみると、昭和25年以前は平屋が67万1,000戸、2階建て住宅が93万5,400戸で大きな差はありません。しかし、現在では平屋が2階建ての10分の1に満たない状況です。もちろん、都市部ほどその差は大きいでしょう。

 

2階建ての一戸建て住宅を構造別にみると、木造が859万8,700戸、防火木造が1,133万8,900戸、非木造(鉄筋コンクリート造、鉄骨造など)が130万1,700戸です。木造と防火木造とで約94%を占めています。また、用途別では2階建て住宅の持家が2,000万5,400戸、借家が97万2,900戸となっています。借家には民間の賃貸物件だけでなく、公営住宅なども含まれます。
一方、テラスハウスなどを含む「長屋建て住宅」では、総数128万1,900戸のうち約64%の82万3,400戸が2階建てで、平屋建ての2倍未満に留まります。これは長屋建てのうち、約3分の2を借家(賃貸物件、公営住宅など)が占めることとも関連がありそうです。

 

2階建て

2階建て

2階建て住宅が一般的になった背景には、戦後の住宅難や高度成長期に進んだ都市の過密化と、土地価格の高騰、それに伴う敷地有効利用の必要性などが挙げられます。都市計画では敷地の建ぺい率、容積率などが定められていますが、例えば低層住宅地に多い建ぺい率50%、容積率100%の場合であれば、40坪の敷地に1階20坪、2階20坪の延べ40坪までの建物が上限となります。都市部では広い敷地に平屋をゆったりと建てることが困難になり、必然的に2階建て住宅が増えたのでしょう。一方で、容積率が比較的大きな敷地であれば3階建て以上の住宅を建てることも可能ですが、絶対高さの制限や斜線制限などによって、思うように建てられない場合もあります。高さの制限をクリアするために、半地下式のガレージを設けた2階建て住宅も少なくありません。核家族化が進み少人数となった世帯では、2階建てによって必要な間取りや居住スペースを得ることのできる場合が多いでしょう。敷地面積と建物面積、そして建築コストのバランスから、最もメリットの大きな組み合わせが2階建て住宅だともいえます。住宅が密集しがちな都市部では、2階建てとすることによって通風や採光を得やすいといった側面もあります。

 

しかし、階段によるデッドスペースが生まれやすいほか、階段の上り下りを伴う生活動線は当然ながら長くなりがちです。1階で洗濯をして2階に干すといった行為も、高齢になるとなかなか大変な面があるでしょう。子どもが独立して高齢夫婦だけの世帯になると、2階の部屋が使われなくなる例も多いほか、階段での転落など家庭内事故の心配も高まります。そのため最近では、2階部分を取り壊して平屋にする「減築」も行われるようになってきました。

 

理論上では1階建てのマンションも2階建てのマンションも可能ですが、1階建ての場合はほぼ「タウンハウス」に分類され、マンションと呼ぶことはないでしょう。2階建ての場合にも、各戸の玄関を1階に設けて部屋の内部を2階建て構造としたほうがニーズに合致し、これもやはり「タウンハウス」となります。そのため、1階と2階とが区分された分譲マンションは、あったとしてもかなり数が限られるでしょう。分譲マンションとして考えた場合、2階建てでは事業効率が悪いこともあり、低層であっても3階建て以上とすることが大半です。

 

冒頭に挙げた総務省の「住宅・土地統計調査」では、「共同住宅」の持家のうち、1階建てはわずか200戸、2階建ては17万2,600戸に留まります。これに対して3~5階建ては108万9,000戸、6~10階建ては179万6,100戸、11階建て以上は160万200戸となっています。ただし、賃貸住宅の場合には2階建ての共同住宅が約502万戸に達しています。これにはアパートも含まれますが、281万戸あまりは非木造であり、2階建ての賃貸マンションも相当数あるものと考えられます。

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