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【月刊ニシアワー12月号】狩猟解禁

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12月。2011年ももう終わりますね。ここ西粟倉村もどんどん寒さが厳しくなり、森でも里でも初雪を観測しました。色鮮やかな紅葉の季節から一転、もうすぐ雪に埋もれて、春まで数ヶ月間モノクロの世界になります。

これからの時期、出社して一番にすることと言えば薪ストーブに火を入れること。昼間でもパソコンに向かっている間、指先が冷えて思うように動かなくなることもしばしば。真冬を迎える西粟倉から、今月もニシアワーな暮らしをお届けします。


11月15日、狩猟が解禁されました。

狩猟できる期間は法律で定められていて、地域や対象によって差はありますがここ岡山県では原則2月15日までの3ヶ月間となっています。

私はここ西粟倉村に来て、もうすぐ1年が経ちます。シカやイノシシ、ウナギやモズクガニなど地域の自然の恵みを頂く機会はたくさんありました。でも、実際に獲物をとる現場には行ったことはありませんでした。

この狩猟解禁を機に、さあ私も現場に!
といきたいところですが、私はまだ免許を持っていないので村の猟師さんのところへ行き、同行させてもらえないかお願いしてきました。初めての狩猟現場です。

お話を聴かせて頂いたのは、白畠さん。西粟倉生まれ西粟倉育ちの猟師さんです。白畠さんは25歳のときから猟を続けられ、猟師歴はなんと43年のベテランです。今まで獲ってきた動物は、ヤマドリ・キジ・ノウサギ・イノシシ・シカ。鳥の猟から始めて、今も続けているのはイノシシやシカを獲る猟です。猟の方法は大きく分けて、グループで獲物に追い込み鉄砲で撃つ方法と、罠を仕掛ける方法の2種類。罠の見回りは毎朝、天気の良い土日はだいたいグループ猟に出かけるそうです。

イノシシの顎の骨。するどい牙が美しいです。


17時に会社を出て30分ほどヤマドリを撃ち、そしてまた仕事に戻るという生活。

村の中にある企業で働いていたころは、17時に一旦会社を出て、30分ほど山に入ってヤマドリを撃ち、そしてまた仕事に戻る、という生活をしていました。

43年前はどこの山に入ってもヤマドリがいた、と白畠さん。そのころの村は一家に一頭ウシを飼っていて、山は採草地だったんです。野いちごなどもたくさんあってそれを食べる鳥もたくさんいましたが、戦後、一気にスギやヒノキの植林地が増えました。植林地になってしまうと山の上にエサがなくなるから、シカやイノシシが里に下りてくるようになってしまったのではないか。とのこと。

今、里で人が目にする動物の数は増えているけれど、山で獲れる獲物は減っているのだそうです。生きものが生活する場所に変化が起きているし、生きものの種類も減っていることは確かです。43年間山に通い続けている猟師さんだからこそわかる山の変化を教えて頂きました。


猟をしていて「撃った!」という感じが気持ち良いのはヤマドリ。

猟として一番おもしろいのはウサギとのことで、ウサギの捕り方を詳しくお聞きしました。

猟には必ず猟犬を連れて行きます。犬に追いかけられたウサギは、どこまでも逃げ続けるということはありません。追いかけられる間は、ぐるぐると円を描いて逃げる習性があるのだそうです。広くても半径500mくらいの間をぐるぐると。しかも、ウサギは走っている途中で何十メートルかおきに止まって、毛繕いをします。この習性を活かし、猟師さんは円の中心から狙いを定めて、ウサギが止まった瞬間を狙って撃つ。それが快感なのだとか。


ドキドキしながら罠を確認していきました。

こんな話をお聴きしたあと、罠を仕掛けている現場の見回りに連れて行って頂きました。この日は残念ながら獲物は掛かっていませんでしたが、1つ1つ、ドキドキしながら罠を確認していきました。



イノシシとシカを獲る罠は大きく分けて2種類あります。1つは地面にワイヤーを仕掛けておいて、そこを通る獲物の脚をしばるもの。そしてもう1つは檻の中に獲物をおびきよせるものです。米ぬかなどのエサを檻の中に入れておいて、それを食べようと入ってきた獲物が檻の中に仕掛けられたワイヤーに触れると蓋がしまる、という構造です。

檻の中についていた足跡。あとちょっとで捕まっていたはず。


1つ1つチェックをし、周辺の足跡を探す白畠さんの表情は本当に真剣で、狩猟は野生動物との本気勝負の場なんだと実感しました。猟師さんは、誰よりも正面から野生動物に向き合っています。鉄砲で撃つ場合は特に、自分も危険にさらされます。自らの手で命を頂くために、自らリスクをとって勝負をしているからこそ、最大限の誠意で向き合っているんだと感じました。

お話を聴かせて頂き、見学にも連れていって頂きましたが、やはり自分でやってみないとわからない空気がそこにありました。私もいつか自分の手で命を頂くということを知りたいと思います。


雪が積もると動物の足跡が残る。

狩猟期間は11月15日から2月15日までですが、この期間の間でも、雪が降ってからがグループ猟の本番だそうです。

雪が積もってしまうと歩きにくくなるし、むしろ雪が積もるまでにたくさん獲っておかないといけないような気がしていたのですが、それは違うようです。

雪がまだないうちは、犬の嗅覚と獣道だけで獲物の居場所を特定しなければならないのですが、雪が積もると動物の足跡が残るため、人間の目でも獲物が歩いた道をたどれるようになり、命中率が上がるんだそうです。確かに、雪の上ではいろんな動物の足跡を見ることができます。狩猟シーズン本番まで、もうすぐです。



ウサギを食べてみたい!
撃つことが好きで猟をされている方が多いですが、獲った獲物はおいしく食べるのが基本です。

ヤマドリは親子丼みたいにするとおいしい。ノウサギはまぜごはんにすると美味しい。イノシシは、獲るのは大きくてりっぱなオスが良いけど、食べるなら子どもを産む前の娘さんが良い。そんなことも、猟師さんの間では常識のようです。

私はこれまでウサギを食べたことがなかったので、ウサギを食べてみたい!と言っていると、ありがたいことに近所の方がウサギとイノシシをごちそうしてくださいました。どちらも、近くで獲れたものです。

ウサギ肉

ソテーで頂きました。

ウサギのパエリアにソテーに、イノシシのにんにく醤油焼き。どれも本当においしいのです。ウサギは、脂身の少ないぷりぷりの鶏肉のようなおいしさ。イノシシは肉にも脂にもしっかり味があって、噛むほど甘くておいしい。

イノシシのにんにく醤油焼き

「このウサギも、犬に追いかけられて逃げてる途中で毛繕いをした隙に、撃たれちゃったのかなあ」とか、「このイノシシも、寝てるところを犬に起こされて獣道を逃げているところを撃たれちゃったのかなあ」とか、今までよりもずっとリアルに命を感じながら頂きました。
そしてこんなに美味しい山の恵みを、ずっと先の代まで残していきたいと再確認させてもらいました。


いま、若い人の間でも環境保全の面から狩猟が注目されてきています。私も、狩猟へ興味が湧いたのは環境保全の面からです。しかし実際に猟を続けておられる方々にお会いすると、「森の保全のために」などを理由にしている方はおられません。本当に純粋に、狩猟が好きで楽しんでおられる方ばかりです。

「楽しい」とか「美味しい」という感情はやっぱり大切。楽しみながら、森の寄り添う暮らしを実践していきたいものです。


レポーター : 熱田尚子(株式会社 西粟倉・森の学校)






人が、森の生き物の一員になり森の時間に寄り添って暮らす。
季節がめぐる、命がめぐる、ぐるぐるめぐる。ニシアワー。


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