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2011.10.20

【月刊ニシアワー10月号】紅葉鍋

読むための所要時間:4分



紅葉がきれいな季節は、秋も深まり寒さが増しますね。温かいお鍋でもみんなで囲みたくなります。

紅葉(こうよう)と言えば紅葉(もみじ)ですが、紅葉鍋(もみじなべ)という鍋料理があることを、みなさんご存じですか?猪肉の鍋料理を牡丹鍋というのはお馴染みですが、実は、鹿肉の鍋を「紅葉鍋」と言うのです。私も最近知ったのですが、なんともきれいな名前ですよね。



普段の生活で鹿を食べるなんてことは無いという人がほとんどだと思いますが、西粟倉にも鹿がたくさんいて、それを撃つ人も捌く人もいて、新鮮な鹿肉を食べることができます。私もこの村に来てから鹿肉のBBQは何度もしましたが、紅葉鍋のことを知ってから、寒くなったらぜひやりたいと思っていました。そして先日、念願叶って村で捕れた鹿肉で紅葉鍋をしてきました。

うすくスライスした鹿肉で白髪ネギを包み、出汁にくぐらせしゃぶしゃぶと火を通し、ポン酢で頂きます。やわらかく、さっぱりとした味で、とっても贅沢な秋の味覚でした。鹿の肉なんて臭いんじゃないの?という声をよく聞きますが、上手にしめて丁寧に捌くと、臭みなんて感じないんですよ。ビタミンが豊富で低脂肪、女性におすすめしたいお肉です。これからの季節、こちらでは美味しい紅葉鍋がいただけます。
ぜひ一度、西粟倉村に訪れてみてください。




紅葉鍋の由来

ところで、なぜ鹿肉の鍋のことを紅葉鍋と言うのでしょうか。気になりますよね。私も気になって調べてみました。すると、2つの説が有力であることがわかり、そのどちらもがとっても素敵だったので、ご紹介します。

まず1つめは古今和歌集に由来するもの。
古今和歌集に「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」という歌があります。



「人里離れた奥山で、散り敷かれた紅葉を踏み分けながら、雌鹿が恋しいと鳴いている雄の鹿の声を聞くときこそ、いよいよ秋は悲しいものだと感じられる。」という意味です。

秋の風に吹かれると、なんだか切なくなるという人は少なくないのではないでしょうか。雌鹿が恋しくて鳴く雄鹿の切なさがわかるような気がしますし、鹿の声がよく通る澄んだ秋の空気、葉っぱが散り、見通しのよくなった乾いた山の中、そんな情景が浮かんでくるようです。

2つめが、10月の花札「鹿に紅葉」です。



鹿は神の使いで、紅葉は秋の季節の女神がまとう衣装だそうです。秋の女神に抱かれた鹿が、紅葉狩りの宴を開始する時の声を告げ、鹿鳴の杜で仮面舞踏会が開かれます。神無月の神々は都会を去って秋の奥山に参集して、千秋の実りをもたらすはかりごとを巡らすんだとか。意味を知るととっても神秘的で、これから鹿を見る目も変わってきそうですね。

またこの花札を調べていて、おもしろいことを知りました。無視する事を「シカト」と言いますよね。実はシカトという言葉はこの花札が語源と言われているんだそうです。「シカト」は「鹿十(しかと)」から来ているとされ、絵柄の鹿がそっぽを向いている所から「知らないふりをする」転じて「無視する」となり、鹿の札は十月の花札の為、「鹿」+「十(月)」でシカトと言うのだとか。周りの人に自慢したいような、ちょっとしたトリビアですね。

鹿を食べるということ

神の使いとも言われる鹿ですが、最近では日本の山に増えすぎて、害獣扱いされています。鹿は増え続けているのに鹿猟をする人もそれを食べる人も減り続けていて、問題は深刻化しています。
西粟倉も例外ではなく、たくさんの鹿が生息しています。地域の未利用資源を発掘して価値を高めるニシアワーとしては、増えすぎた鹿にも注目していきたいところ。
駆除としてただ殺してしまうのではなく、皮を小物として使ったりツアーで遊びに来てくれたお客さまと一緒に鹿肉でバーベキューをしたり、紅葉鍋をしたり、おいしく消費していきます。今後開催予定のツアーでも、今回ご紹介した紅葉鍋を食べて頂く予定です。

レポーター : 熱田尚子(株式会社 西粟倉・森の学校)






人が、森の生き物の一員になり森の時間に寄り添って暮らす。
季節がめぐる、命がめぐる、ぐるぐるめぐる。ニシアワー。

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