2011.12.09
【自由な賃貸】 case5~混沌の中の自由_COURI002~
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Case5
「箱」と「猫」と「混沌の中の自由」
があるシェアハウス
びゅーんと走り回る猫。その名も“須磨子さん”。
今回の自由な賃貸は、猫がいるシェアハウス・・ではなく、「箱」が11個あるシェアハウス。
それぞれの「箱」があまりにも自由にカスタマイズされているので、写真で伝えられるかどうか心配ですが、左右にでこぼことペイントされた木の板が見え隠れしているのが分かるでしょうか。これらひとつひとつが、入居者の専有スペースである「箱」で、この中に寝具を置いて暮らす。
これは、入口の反対側から見た「箱」の様子。
細長い空間だということが分かるでしょうか。
ここは元々、道場だった。一面に畳が敷いてある長方形の空間。この長細い空間をどのように生かすかを考えた時に出てきた案が、入居者それぞれが暮らす「箱」を11個置くというものだった。なんとも斬新なこのアイディア、Case3で登場した効利製作所の西湖さんが、10年前に、ロンドンの倉庫に小屋を置いて暮らしているクリエイターたちの雑誌の特集を見たことから始まっている。
「大きな空間に一人用の空間を“置いて”、それが集合しているというシェアハウスをやってみたいと思っていた。」と話す西湖さん。これだけ広い空間があればいろんな用途を思いつきそうだけれど、最終的に「箱」にした決断がすごい!
許しあって暮らす。
寛容さを持つ住人が集まるシェアハウス。
4か月前、「箱」に引っ越したYさん。「シェアハウスに住みたい!と強く思っていたわけではないです。仕事の都合で浅草周辺に住む必要があったのと、家賃の予算が合ったのがきっかけです。」
海外では数週間のシェアハウス経験があったものの、日本では初めてというYさん。先に住んでた住人のみんなとはうまくやれているのかしら?
「穏やかに暮らしていますよ。男性6人と女性4人、みんな自由で楽しいです。料理はそれぞれで作って食べたり、誰かが多めに作って適当に食べたり・・・その日で違いますね。」
「みんな自由すぎて(笑)、掃除をしないので、“場所リーダー”を作っています。リーダーになった場所が汚れていたら、汚れてるよ!って“言う”んです。その他、日用品リーダー(猫の須磨子さん基金も兼務)や、週替わりで回ってくるトイレとお風呂掃除リーダーもいます。」
冷蔵庫に貼ってあった、猫の須磨子の「ごはん表」
女子トイレとお風呂の「掃除当番表」
お風呂は2つ。男性用と女性用に分けている。
さて、男性用はどちらでしょうか。
「ふきん置き場」。気が付いた人が整頓をする。
共益費がオーバーしないように、節電を呼びかける貼り紙
一人暮らしでは当たり前にやっていることがリーダー制!他人同士が集まって暮らすというのは、こういう毎日の作業を協力しながら積み重ねていく暮らしなんだなと思う。誰かがリーダーをさぼったら怒ってしまいそうだけれど、それを、許しあって暮らせる、そういう寛容さが必要。
猫の須磨子のはなし。
「ここに住んで良かったなと思うのは、猫の須磨子に会えたこと。一人暮らしだとなかなかペットは育てられないので嬉しいですね。」と話すYさん。須磨子は近所に捨てられていたのを箱の住人が拾ってきた。まだ小さくて、とても可愛くて、みんな飼いたと思っていたけれど、「飼い主が明確ではない飼い方はどうなのかな。」という西湖さんの心配があった。
須磨子が「箱」の住人になるのを決めたのは、猫好きで、自分でも何匹も猫を飼っている物件のオーナーさんが決めたことだそう。「あそこは猫にとって最高の住処になるはず。」と西湖さんを説得した。のびのびと育っている須磨子を見たら、結果は正しかったと分かる。住人たちが自然に協力しあう、何とも「箱」らしいエピソード。
「箱」以外の空間にある、
不思議な一体感。
専有スペースである「箱」以外の空いている場所は、入居者個人の書斎やもの置き場として使われている。ここの入居者はちょっと面白くて、ヘアメイクさんや、洋服のデザイナー、舞台制作に携わっている人だったり・・・とクリエイティブな仕事をしている人が多い。それぞれが別の職業ながら、「クリエイティブ」という線で繋がっている住人たちが醸し出す空間は、混沌としている中に秩序だったオシャレさがある不思議な空間。
「箱」と「箱」のあいだに突然、書斎がある。
Yさんの「書斎」。目の前がYさんの「箱」。
本の貸し借りは自由。メモを置いたり、声掛けしたり。
「箱」の側面をクローゼット代わりにしているアイディアマンな男性も。
本棚を持ち込んでいる人が多いみたい。
本の種類も漫画から学術書まで様々。入居者の皆さん読書家!
洋服のデザイナーさんの「書斎」にはミシン!
限られた空間をどうやって自分の快適な場所にするのか、とにかくアイディア勝負!だと感じる。そして、住人にクリエイターが多いだけあって、一定の審美眼で選ばれたものばかりがあるという場の雰囲気がとても素敵。
ここまで自由自在にアレンジしていると退去するときの原状回復は無理なのでは・・?
「その箱が積み重ねた歴史が素敵なら、その箱の個性かなと考えています。だから、より暮らしやすくなっていたり、アーティスティックな作品になっていたり、ということであれば、退去時はそのままで大丈夫、ということにしています。」と西湖さん。
ふむ。西湖さんに認めてもらえるような「作品」に仕上げたくなってしまいそうな言葉。こういう管理をしてくれる人がいるから、こんな自由な入居者が集まってくるのでしょうね。
★次ページへ続く・・・
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