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地球のために、自分のために 住まいとエコ

割高でも健康志向で高まる人気 自然素材のエコ賃貸でシックハウス症候群を軽減

シックハウス症候群や化学物質過敏症など、住まいと密接に結びついた深刻な現代病が増加する中、自然素材を使った住まいへの関心が賃貸物件でも高まっています。

自然素材を使ったエコ賃貸の魅力は?

健康被害の実態

シックハウス症候群や科学物質過敏症など深刻な現代病が増加する中、自然素材を使った住まいへの関心が高まっています。

住まいに起因する健康被害は、新建材などに使用されるホルムアルデヒドなどの人工的な化学物質が引き起こすケースがほとんど。そのため化学物質を極力使用しない自然派エコ住宅を求める声は、賃貸市場においても高まっています。

コーポラティブ・エコマンション『きのかの家』

アンビエックスの手がけたコーポラティブ・エコマンション『きのかの家』
打設時のコンクリートの水分を50%以下に抑えて高強度を実現。外断熱の外壁には杉板を使用。屋上は家庭菜園として緑化。コーポラティブ方式は販促経費がかからない分、15%ほどコストダウンが可能。その分を建物の強度や環境性能を上げるために使える

まずご紹介するのは、久我山のエコ賃貸マンション「きのかの家」の設計を手がけた一級建築士、アンビエックスの相根昭典さんです。相根さんは20年以上前から健康住宅の普及に努め、コーポラティブ方式によるエコビレッジ、エコマンションなどを多数実現してきている方です。

その相根さんは、多くの人は室内空気の影響に無頓着すぎると指摘します。

「1日に体内に取り込む物質は、食品が約15%に水分が7〜8%。残りはすべて空気で、その量は成人では20〜40kgにもなります。呼吸した空気は肺から心臓、血管を通って細胞の隅々まで届けられます。有害物質が含まれていたら、いつかは病気になるのは当たり前です」

通常、化学物質の7割は床から、残りが壁から放出されます。中でも床下のシロアリ除けの防蟻剤や、壁の防炎処理に使われる有機リン、防カビ剤などは要注意。健康面だけを考えれば使わないのがベストです。

エコなポイント エコビレッジ、エコマンションとは?

明確な定義はありませんが、環境に優しく、経済的なエコな暮らしを送れるように設計された住まいやそれらを中心としたコミュニティーを指しています。

  • 省エネ対策がされている
  • 化学物質を含まない建材を使っている

などの特長があります。

ユニットバス以外、全て自然素材という気持ちよさ

オーナーのこだわりがエコ賃貸を実現させた

続いてご紹介するのは、徹底的に自然素材にこだわったエコ賃貸の事例です。亡きご主人が20年間の闘病生活を送る中で健康住宅の大切さを痛感したオーナーの上谷君枝さんが、杉並区久我山にエコ賃貸マンションを建設したのは2006年4月。まだエコブームが始まる前のことでした。現在は全15室満室で、入居希望の待機リストもあるほどの人気物件です。

「でも当時は有害物質を使わない室内の価値が仲介会社に理解されなくて、空室に悩む日々が半年も続きました。少し時代を先取ったようですね。理解してもらうために建築士さんと一緒に仲介会社に説明に行って、基礎から健康住宅の知識を勉強してもらったり、空き室でセミナーを開いたりして、徐々にみなさんに知ってもらえるようになったんです」

杉並区久我山のエコ賃貸マンション

(左)予算上、ユニットバスなど一部には化学物質が使われている。寒さ暑さの特に厳しい時以外は部屋の温度が一定していて過ごしやすく、住んでいて快適だと入居者は口を揃える

(右)床のコルクタイルはコンクリートに直張り。天然由来の接着剤を使用したため、接着力が弱くて当初は反りが発生したが、2重張りにすることで解決した

エコなポイント 使用した自然素材
  • 室内の床はコルクタイルの2重張り
  • 壁は脱臭・吸湿効果がある貝殻由来の塗料の吹き付け仕上げ
  • キッチンはステンレス製のスケルトン構造で、水道管も環境ホルモン湧出の怖れがないステンレス製
  • 接着剤の類は床のコルクタイルに使ったドイツ製天然由来のもの以外は不使用
  • 薬剤を使わずに害虫やカビを防ぐために外断熱を採用

ヨーロッパの修道院をイメージした外観

外観は手焼きレンガと無塗装のガルバリウム鋼板の落ち着いた雰囲気が住宅街に溶け込んでいる。フェンスを彩るアイビーとラベンダーはオーナー親子が自ら植えて経費を節約

徹底して有害化学物質を排除

RC構造地下1階地上2階建ての建物は、徹底して有害化学物質を排除しています。こうした工夫は建設費の増大につながるのですが、このマンションの場合は逆でした。周辺の家賃設定を調査し、そこから逆算して事業として採算の取れる建築費を設定。建築士を中心とした関係者の工夫と尽力によって、その範囲内に収めることに成功したのです。そのため、通常の仕様の賃貸マンションの建築費と比べて、工事費の単価はむしろ安くなっているそうです。

「苦労もしましたが、入居者の人たちに『とっても快適です、よく眠れる、リラックスできます』といわれると、建てて本当に良かったなと思います。もう少し余裕ができたら、予算不足で断念した屋上の畑作りもしてみたいですね」

と、上谷さん。

こういった自然素材のエコ賃貸マンションは、整備コストがハードルとなっているため、まだまだ業界やオーナーにはそのニーズが十分広まっていません。今後、久我山のエコマンションのような存在が業界の牽引となることで、新たにエコな住まいへの理解や賃貸業界での浸透が期待されます。

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