空き家問題は決して他人事ではない

国が本格的に空き家対策に乗り出す時代です
国が本格的に空き家対策に乗り出す時代です

空き家は個人だけの問題ではありません。放置された空き家は犯罪の温床になることも多いため、地域にとっても大きな損失の要因です。

国も手をこまねいているわけではありません。2015年の「空き家等対策の推進に関する特別措置法」の施行により、老朽化がひどい住宅は固定資産税の優遇措置から外すことや、行政によって取り壊しを行うことも可能となりました。

2016年度予算では「空き家対策総合支援事業」に約20億円が計上され、国をあげて中古住宅・リフォーム市場の活性化に取り組んでいます。

中古住宅の流通は増えている

リノベーションの認知度が上がってきました
リノベーションの認知度が上がってきました

全住宅流通量(新築住宅+中古住宅)のうち中古住宅の占める割合は、1989年で8%、1998年で10.2%、2008年で13.5%と年々増加傾向です。
欧米諸国で住宅流通のうち7~9割が中古住宅であることと比較するとまだまだ低い水準ではあるものの、今後も中古住宅を購入する人の割合は増えると見込まれています。

中古住宅の大きなメリットは、新築住宅に比べて購入費用を抑えることができること。また、単に修理・修繕、設備の新調を目的としたリフォームだけではなく、より魅力的な空間に生まれ変わらせるリノベーションの概念が、広く知られるようになったのも中古住宅が見直されている要因のひとつでしょう。

中古住宅を買いたくない理由は「なんとなく」

日本人は「新しいもの好き」
日本人は「新しいもの好き」

中古住宅を購入する人の割合が増えている一方、家を購入するなら新築に限るという意見も根強くあります。

「住宅購入意向があるが、中古住宅は購入しない」と答えた人にその理由を調査したところ、「新築のほうが気持ちが良い」、「心理的に中古住宅への抵抗がある」という回答が上位を占めることがわかりました。
中古住宅の品質劣化や欠陥といった性能面での不安よりも、「なんとなく古いものは嫌だ」という心理的な理由が大きいようです。

日本の住宅は短命?

極端に短い、日本の住宅寿命
極端に短い、日本の住宅寿命

これまで日本では、一戸建ては築25年ほどで建て替えるものという考えが一般的でした。

取り壊された住宅の平均築年数がアメリカで55年、イギリスで77年なのに対し、日本は約30年と極端に短くなっています。もちろん日本と海外とでは地震の有無や住宅事情、建物の工法も異なるため単純に比較することはできません。

とはいえ、家を購入する人の多くが30年ほどのローンを組むのに、払い終わるとほぼ同時期に取り壊しを考えるというのは何とももったいない話といえます。

家は使い捨てではない時代へ

伝統工法の古民家は100年以上持つことも
伝統工法の古民家は100年以上持つことも

日本の住宅が短期間に建て替えられていた原因のひとつに、建物の質の低さがありました。
戦後の高度経済成長時代は、人口の増加にともない住宅の需要が高く「質より量」が重視されたのです。そのため、決して品質が高いとはいえない住宅も多く建築され「築浅ほど価値が高い」、「リフォームするより建て替えたほうが良い」という風潮がありました。

ただ、日本の住宅はもともと質が低く短命だったわけではありません。伝統的な工法で建てられた古民家は、きちんとメンテナンスを行えば100年以上持つといわれています。

近年は建築基準法の改正が重ねられたことやハウスメーカー等の努力もあり、住宅の性能は大幅に向上し、長寿命化しました。消費者の意識の傾向も「手軽に購入してすぐに建て換える」よりも「質の高い家を手入れしながら長く使う」ものへと変化しており、「築年数だけにこだわる家の使い捨て」の時代は終わりを告げようとしています。

空き家対策は始まったばかり

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」施行により、これまでは築年数だけで判断されていた中古住宅の価値を、リフォームやリノベーションによる価値の向上なども含め適正に評価するシステムの構築が進められています。

国による空き家対策事業はまだ始まったばかりです。中古住宅の流通やリフォーム・リノベーションに関する支援の拡大が期待されています。

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