要介護認定者数は年々増加。2025年には65歳以上の認知症患者が約700万人に

前回、「平成28年度版高齢社会白書からみる高齢者人口の推移。2060年の日本はどうなる?」で、日本の高齢化の状況と、さらに少子高齢化が進行した2060年の日本の人口予測について触れた。今回は、高齢者の健康状態や家族構成、高齢者の介護をする介護者の状況など、取り巻く環境について見てみる。

厚生労働省が2016年10月4日に発表した「平成28年版高齢社会白書」によれば、2014年の平均寿命は、男性が80.50年、女性が86.83年であった。1980年の平均寿命が、男性73.35歳、女性78.76歳であり、約35年で男女ともに7~8年と大きく延びている。
平均寿命の延びと同じく気にかかるのが、健康寿命、いわゆる健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である。2013年時点の男性の平均寿命は80.21年、健康寿命は71.19年で、女性の平均寿命は86.61年、健康寿命は74.21年である。平均寿命の延びに対し健康寿命は、やや延びが小さい傾向にある。2013年の平均寿命と健康寿命の差を見ると、男性は9.02年、女性は12.4年であり、健康上の問題などにより日常生活に制限のある期間であると考えられる。

高齢者人口の増加もあり、要介護者認定数も増加している。
2013年度末の要介護者など(介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された人)の人口は、569万1千人と、2003年度末の370万4千人より、198万7千人増加している。また、被保険者を年代ごとに要支援・要介護に認定された割合で見てみると、65~74歳の要支援認定割合は1.4%、要介護認定割合は3.0%であった。だが、75歳以上では要支援の認定を受けた人は8.8%、要介護は23.3%と、後期高齢者になると割合が大きく上昇している。
なお、65歳以上の高齢者の認知症患者数、有病率を予測した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」※によれば、2025年の認知症患者はおおよそ700万人、割合として5人に1人になると予測されている。

※「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学二宮教授)

平均寿命:平成13・16・19・25年は、厚生労働省「簡易生命表」、平成22年は「完全生命表」
健康寿命:平成13・16・19・22年は、厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」平成25年は「国民生活基礎調査」を基に算出平均寿命:平成13・16・19・25年は、厚生労働省「簡易生命表」、平成22年は「完全生命表」 健康寿命:平成13・16・19・22年は、厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」平成25年は「国民生活基礎調査」を基に算出

高齢者の家族構成は?子と同居の割合が減少するも…

続いて、高齢者の家族構成について見てみよう。
2014年の65歳の高齢者がいる世帯数は2,357万2千世帯で、全世帯数である5,043万1千世帯の46.7%と、おおよそ半数を占める。1980年には三世代世帯の割合が50.1%と最も大きかったが、2014年には13.2%まで減少。2014年には夫婦のみ世帯が30.7%と最も割合が多くなり、34年の間で家族構成が大きく変わったことがわかる。
夫婦のみ世帯に次いで多いのが単独世帯で25.3%である。65歳以上の一人暮らし高齢者は、1980年に男性約19万人、女性約69万人であったが、2010年に男性約139万人、女性約341万となり、男女ともに顕著に増加している。
65歳以上の高齢者の子供との同居率は1980年に69%であったが、2014年には40.6%まで減少。さらに、国民生活基礎調査による65歳以上の家族形態を構成割合で見ると、「子と同居」の割合が減少する中で、「配偶者のいない子と同居」の割合は増加、「子夫婦と同居」の割合は減少している。「子と同居」のなかでも未婚の子どもと高齢者との同居が増えているのは、生涯未婚率の増加の影響もあると考えられる。高齢世帯の「単独世帯」と、「ひとり親と子から成る世帯」の増加が今後も見込まれており、今後、同居別居を問わずに、未婚で働きながら親を介護する人が増えることが予想される。

厚生労働省「国民生活基礎調査」平成22年より厚生労働省「国民生活基礎調査」平成22年より

介護者数は1991年から20年で倍増。男女とも50歳以上の割合が多く、男性の割合も増加傾向

総務省の「社会生活基本調査」によれば、15歳以上でふだん家族を介護している人(以下、介護者)は、2011年で682万9千人と、1991年の356万5千人から1.92倍に増加している。
※社会生活基本調査では、1年間に30日以上介護をしていれば「ふだん介護をしている」と定義

介護者の属性を男女比で見ると、2011年の男性の介護者は267万5千人、女性は415万4千人で、男性は39.2%、女性は60.8%であった。女性の割合は依然として多いものの、介護者に占める女性の割合は1991年の68.5%から7.7ポイント低下し、男性の介護者の割合が増加傾向にある。
年代別に見ると、女性は、50~59歳が127万9千人と最も多く、次いで60~69歳が104万3千人。男性は、60~69歳が77万8千人と最も多く、次いで50~59歳の70万9千人であり、男女ともに50歳以上の介護者が占める割合が多くなっている。
60~69歳の介護者の割合は26.7%、70歳以上は17.7%と、60歳以上を合わせると44.4%であり、老老介護の状況も多いことがわかる。

介護者のなかで最も多い年代が50~59歳であり、働き盛りの人たちが介護をしているケースが多い。懸念されるのが仕事と介護の両立の状況である。高齢社会白書より、次回は介護離職の状況について見てみたい。

総務省「社会生活基本調査」(平成23年)総務省「社会生活基本調査」(平成23年)

報告書概要

報告書:平成28年版高齢社会白書
内閣府は高齢社会対策の実施状況や高齢化の状況、高齢者の家族や世帯などに関するデータを明らかにすることを目的に、高齢社会白書を作成している。

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2017年 02月14日 11時05分