スマホでCD以上の高音質を楽しむ

スピーカーは配置方法によって音の聞こえ方が変化する。たとえ小さな音量でも高音質に聞こえるようにセッティングしたいスピーカーは配置方法によって音の聞こえ方が変化する。たとえ小さな音量でも高音質に聞こえるようにセッティングしたい

一昔前まで高い音質で音楽を楽しもうとすると、アンプやCDデッキ、スピーカーなど高級なオーディオ機器を数十万円以上費やして買い揃える必要があった。しかし、昨今はスマートフォンのCPUやバッテリーの性能が向上していることなどからCDよりも高音質なハイレゾ音源を再生できるようになり、これに対応したワイヤレススピーカーなども登場している。つまり、より安価で手軽に高音質な音楽を楽しめるのだ。

とはいえ、賃貸住宅(集合住宅)に住んでいると、隣近所に迷惑がかかるのでボリュームを思い切り上げて音楽を楽しむわけにはいかない。では、どの程度の音量ならば迷惑にならないのか。その目安と比較的小音量で高音質な音楽を楽しむためのスピーカーの設置方法を考えてみよう。

音量の目安は日常の会話ができるレベル

賃貸物件の契約書には禁止事項が記載されており、その内容は法律で定められているわけではなくオーナーが自由に決められる。そして「楽器演奏」は多くの契約書に記載される禁止事項の一つだ。入居者が室内で自由にギターやピアノといった楽器の練習をすると他の入居者などと騒音トラブルになるからだろう。これはステレオなどのスピーカーから鳴る音楽も同じ扱いになると心得ていた方がいい。したがって、大音量で音楽を楽しむことも原則不可ということだ。実際に騒音を出し続けて隣人から訴えられ、数十万円の慰謝料の支払いが命じられた判例が複数あるので十分注意したい。
では、どのくらいの音量までなら許されるのか。それは周辺の音環境や個人の感じ方もあるので一概には言えない。ただし、環境庁が「騒音に係る環境基準」を公表しているので、これが一つの目安になるだろう。

「騒音に係る環境基準」
(専ら住居の用に供される地域または主として住居の用に供される地域)
・午前6時~午後10時(昼間):55デシベル以下
・午後10時~午前6時(夜間):45デシベル以下

55デシベルは役場の窓口周辺と同レベル。45デシベルは昼間の霊園と同レベルだ。

左:賃貸住宅の隣近所に迷惑がかからない音量の目安は45~55デシベル。大体昼間の霊園や書店の店内、役場の窓口周辺と同レベル(出典:全国環境研協議会 騒音小委員会)。右:日常の会話が55デシベル前後なので、このレベル程度の音量に抑えたい(出典:東京都環境局)左:賃貸住宅の隣近所に迷惑がかからない音量の目安は45~55デシベル。大体昼間の霊園や書店の店内、役場の窓口周辺と同レベル(出典:全国環境研協議会 騒音小委員会)。右:日常の会話が55デシベル前後なので、このレベル程度の音量に抑えたい(出典:東京都環境局)

比較的小音量でも高音質を楽しめるスピーカーの設置方法

「それでは物足りない」という人もいるだろう。しかし、大音量にしなくても高音質を楽しむ方法はある。たとえば、スピーカーのセッティング方法だ。下記のような方法でスピーカーを適切に設置することで反響音などが抑えられ、より音源に忠実な音を楽しむことが可能になる。

1.壁から離す
スピーカーの位置が横や後ろの壁から近いと反射音で音像がぼやけてしまうことがある。最低30cm以上は離したい。

2.しっかり固定した台に置く
音は空気の振動によって伝わる。したがって、スピーカーを不安定な台に置くと音がブレてしまう。できるだけ重量がありしっかりした台の上に置きたい。

3.高さを合わせる
音楽を聴くときの顔と同じまたは5㎝ほど低い位置にスピーカーの高さを合わせると、より音像がはっきりする。高さの調節は専用のスタンドを利用するのが理想だが、予算的に難しいならホームセンターなどで購入できるブロックでも可。

4.スピーカーと自分を正三角形で結ぶ配置にする
音源に忠実なステレオ感を得るために左右のスピーカーと自分を正三角形で結ぶ位置にセッティングする。

5.スピーカーと台の間にインシュレーターを挟む
スピーカーを台の上に直接置くと、もう一つのスピーカーなどの振動の影響を受けて音像がぼやけてしまう。そこでスピーカーの四隅にインシュレーターという金属製などの絶縁体を挟む。家電量販店やネット通販で8個2000円程度から購入可能。10円玉を2~3枚程度重ねて代用するという手もある。

適切な位置にスピーカーをセッティングすることで、反響音などが抑えられ、より音源に忠実な音を楽しむことが可能になる適切な位置にスピーカーをセッティングすることで、反響音などが抑えられ、より音源に忠実な音を楽しむことが可能になる

賃貸住宅でもできる防音対策

どうしても大音量で音楽を楽しみたいなら、イヤホンかヘッドホンの利用をお勧めするどうしても大音量で音楽を楽しみたいなら、イヤホンかヘッドホンの利用をお勧めする

スピーカーのセッティングが終わったら、次はできるだけ音が外に漏れないようにしたい。
部屋の音はおもに、窓、壁、床、隙間から漏れていく。それぞれの場所の防音対策を紹介しよう。

●窓の防音対策
窓は壁に比べて遮音性が低い。隣の部屋には接していないものの、防音対策の効果は広範囲に及ぶのでぜひ行いたい。方法として比較的手軽なのが、カーテンを遮音タイプに替えることだ。一般的なカーテンとの違いは生地が厚めで吸音効果があり、さらにアルミや酸化チタンコーティングなどで遮音効果もある。おもに女性の声やピアノの音など高音に効果的だが、サブウーハーなどから出る振動をともなう重低音の防音には向かないと言われている。設置上の注意点としては音が漏れないように窓の全面を覆うやや大きめのサイズを選びたい。

●壁の防音対策
音は空気の振動で伝わる。ならば物理的に振動を遮るものを置けば防音効果が得られることになる。壁から隣の部屋へ漏れる音に対しては、本棚などできるだけ背の高い家具を壁際に置く方法をお勧めする。設置する際は、壁にぴったりつけると振動が伝わってしまうので1㎝くらい離すのがコツだ。

●床の防音対策
2階より上に住んでいてスピーカーから重低音を鳴らしたい場合は、特に床から下の階に伝わる音漏れに注意が必要だ。対策として手軽なのが厚手のカーペットを敷くこと。敷く際は、面倒でも家具などをいったん移動させて、床の全面に敷き詰めることが重要だ。

●隙間の防音対策
玄関や窓の隙間からも音は漏れる。こちらは隙間テープを貼る方法が簡単で効果的だろう。隙間テープはホームセンターや100円ショップなどで購入可能だ。賃貸住宅の場合、退去時のはがし跡が気になるかもしれない。きれいにはがれない場合は、こちらも100円ショップなどで売られているシール剥がし剤などを利用すればいいだろう。なお、隙間テープを貼ることで音漏れだけでなく、文字通り隙間がふさがれるので断熱効果も期待できる。

ここまで工夫してもさらに大音量でないと没入感が足りない、という人もいるだろう。その場合はスピーカーで聴くことはあきらめてイヤホンやヘッドホンで聴くことをお勧めする。
賃貸住宅では、意外に隣近所の音が気になるものだ。「お互い様」の気持ちでくれぐれもオーディオ機器のボリュームには気をつけたい。

2017年 03月05日 11時00分