1枚のカードで日本全国同一料金で利用可能。新しい働き方の道しるべに

長時間労働や有給休暇の未消化、猛烈な通勤ラッシュ、過労死の問題などがクローズアップされ、日本人が当たり前に行ってきた労働の在り方を根本から見直そうとする機運が高まっている。それらの解決方法として近年在宅勤務を含めたテレワークが注目を集める中、2016年5月からテレワークを導入する企業を対象に、快適な執務環境を提供する会員制のサテライトシェアオフィス事業を開始したのが東京急行電鉄株式会社(以下:東急電鉄)だ。

東急電鉄の会員制サテライトシェアオフィス「NewWork(ニューワーク)」は、同社が2015年4月に創設した社内起業家育成制度の第一号案件。
「当社では東急線沿線を中心に不動産事業を行っており、以前はオフィスリーシングの営業を担当していました。テナント様には大手IT企業も多く入居されていたのですが、成長が早くすぐにオフィスが手狭になることが多々ありました。しかし、実際の在席率は100%に満たずフリーアドレスも多くなってきているので、シェアオフィスがあれば本社ビルをスリム化できオフィスコストの削減に貢献できると考えてこの事業を会社に提案しました」と語るのは、同社経営企画室 企画部 イノベーション推進課 サテライトオフィス事業「NewWork」担当 プロジェクトリーダーの永塚慎一さん。

「NewWork」は、首都圏を中心に直営6店舗、提携店34店舗が利用できる。フリーアドレス型のデスク席を用意するほか、Wi-Fiの設置、会議室、秘匿性の高い話をする時に利用できるTELブース、FAXやコピーができる複合機、月額2000円で利用できるロッカー、自動販売機などを完備。温もりと落ち着きが感じられる上質な空間も仕事の効率を高めるだろう。

2017年1月現在、導入企業は約40社、約22000人にオフィスの入退室時に必要なライセンスカードを発行。この1枚のカードがあれば日本全国すべての店舗を同一料金で利用できる。

高級感のある室内空間が「NewWork」の特徴。「お客様が抱く『東急』というイメージを大切にしました」と永塚さん高級感のある室内空間が「NewWork」の特徴。「お客様が抱く『東急』というイメージを大切にしました」と永塚さん

企業側・働く側双方にメリットのあるサテライトシェアオフィス

仕事がはかどる静かな室内。奥のブース席はほぼ満席だった。休憩スペースやコピーやFAXなどができる複合機もフロア内に備える。他社の社員と同じ空間で仕事をすることも刺激になるだろう仕事がはかどる静かな室内。奥のブース席はほぼ満席だった。休憩スペースやコピーやFAXなどができる複合機もフロア内に備える。他社の社員と同じ空間で仕事をすることも刺激になるだろう

永塚さんは、企業が「NewWork」を導入するメリットについて「人材の確保」「オフィスコストの削減」「生産性の向上」「BCP対策」「労働状況の可視化」の5つを挙げる。

「『人材の確保』という点では、例えば出産や育児で退職する女性が多く頭を悩ませている企業様があると思いますが、『NewWork』の導入で会社までの通勤が困難な方でも自宅近くでの勤務が可能になるため、優秀な人材の確保と同時に流出も防ぎやすくなります。
社員が増えても無理にオフィスを移転する必要がないため、『オフィスコスト』の削減にも効果的です。従量制プランの場合月額5000円(8時間の無料利用時間を含む)、使い放題でも月額3万円と決して高額ではありません。
移動時間の短縮などによる『生産性の向上』、地震などの自然災害が多い日本で事業継続に有効な『BCP対策※』、入退室時にICカードを使うことで、どこで誰が何時間働いたか、オフィスコストを随時把握できる『労働条件の可視化』も企業様のメリットになると思います」

利用日を決めて週に1日丸々利用する人、短時間の業務処理やメールチェックなどでわずかな時間だけ立ち寄る人、また1日の利用を3時間までとローカルルールを決めている企業など、利用方法は様々という。

永塚さん自身、通勤途中にある「NewWork」を利用することで、満員電車に揺られる時間を削減でき、体が楽になったと喜ぶ。
「東急電鉄は混雑路線を抱える鉄道事業者。シェアオフィスの普及などで、少しでも混雑緩和につなげたいとも考えています」

※BCP/事業継続計画(Business continuity plan)。災害などの緊急事態が発生した時に企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画

2020年までに全国で100店舗を開設予定。場所や時間に捉われない働き方を提唱

お話をうかがった東京急行電鉄株式会社 「NewWork」プロジェクトリーダーの永塚慎一さん。「多くの会社に『NewWork』を導入していただけるように、日本全国に店舗を設置していきます。年間の3分の1は地方で働くなど、新しいワークスタイルを提案していきたいですね」お話をうかがった東京急行電鉄株式会社 「NewWork」プロジェクトリーダーの永塚慎一さん。「多くの会社に『NewWork』を導入していただけるように、日本全国に店舗を設置していきます。年間の3分の1は地方で働くなど、新しいワークスタイルを提案していきたいですね」

現在40ケ所で利用可能な同社の会員制サテライトシェアオフィス。東急沿線以外でもシェアオフィス事業社やカラオケ店、東急グループのホテルなどと提携し、日本全国に事業を拡大している。
「地方も重視し、2020年には100店舗を目標に、すべての都道府県に設置したいと考えています」

サテライトシェアオフィスが普及すれば、休暇の過ごし方も大きく変わると話す。
「例えば夏休みや冬休みなど、帰省した実家の近くにサテライトシェアオフィスがあれば、休暇と合わせて長期間実家での生活を楽しめます。時期を少しずらせば帰省ラッシュなどに巻き込まれないですし、このような働き方が定着すれば混雑自体も減るでしょう。例えば花粉症の人なら、その時期だけ花粉症のない沖縄で仕事をするという方法も選べるわけです。企業様の選択肢を少しでも増やしていきたいと思います」

また、育児を抱える利用者が使いやすいように、同一ビル内か近隣に「保育園」「学童保育」をセットにしたサテライトシェアオフィスの実現にも「難しい課題だがニーズはある。ぜひ叶えたい」と意気込む。

人材の確保やオフィスコストの削減など企業側のメリットは当然のこと、働く側にも「通勤時間の短縮」「満員電車のストレスからの解放」「子育てや介護時間の確保」「時間の節約」「体力の温存」など数々のメリットをもたらすサテライトシェアオフィス。東急電鉄の今後の取り組みに注目したい。

■NewWork
https://www.newwork109.com/

2017年 02月19日 11時00分