早朝捨てたはずのゴミ袋が帰宅すると玄関に

ゴミの分別を間違えると次のゴミの日まで放置されたり散乱したりする。ご近所迷惑にもなるので注意したいゴミの分別を間違えると次のゴミの日まで放置されたり散乱したりする。ご近所迷惑にもなるので注意したい

2月から4月にかけては1年のうちでもっとも引越しが多い時期。荷物の整理やご近所への挨拶などでなにかと忙しい人も多いだろう。

引越し先で意外にトラブルになりがちなのがゴミの分別方法だ。筆者は一人暮らしをはじめたころ、燃えるゴミの日にペットボトルも入れたゴミ袋を捨ててしまい、その日の夜に仕事から帰ってくるとアパートの玄関前に捨てたはずのゴミ袋が置かれていたことがあった。うっかりミスとはいえ、ご近所に迷惑をかけたと非常に反省したことを覚えている。ゴミの分別方法は各自治体によって異なる。引越し前は当たり前と思っていた分別方法が、引越し先では迷惑となることもあり得ることを理解した出来事だった。

では、そもそもなぜゴミは分別して廃棄しなければならないのだろう。なんとなく環境のためとは知っているものの、それ以上にくわしい人は少ないのではないだろうか。

日本は循環型社会へ向かっている

日本でゴミの分別が行われるようになったのは以下のような経緯がある。

1.高度成長期(1960年代~1970年代)
高度経済成長にともない所得は増加し、家電が急速に普及。同時にスーパーマーケットやコンビニエンスストアが数多く出店され、大量生産・大量消費型の経済構造が形づくられていった。そうしたなかで都市部を中心にゴミは急増、多様化した。また、急速な工業化の過程で有毒廃棄物が公害を引き起こし社会問題となった。
それらの対策として、1970年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)が制定。廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に区分し、産業廃棄物に関しては排出事業者が処理の責任を負うことになった。

2.高度成長期~バブル期(1980年代~1990年代前半)
1980年代後半から1990年代前半のバブル景気によってさらに生産・消費活動が拡大。廃棄物も増加を続けた。同時に大型化し適正な処理が困難な家電製品が出現し、包装の使用も拡大。ペットボトルが普及しはじめたのもこの時期で廃棄物の種類がより多様化した。

このような背景から廃棄物の最終処分場が不足し、新規建設を計画しても近隣住民の合意が得られないといった事例が目立ちはじめた。そのため、ゴミ排出量の削減が重要な課題となる。
また、1983年末頃からゴミ焼却施設の灰などに人体に悪影響があるダイオキシン類が含まれていたことが報道され社会の注目を集めた。

3.循環型社会の構築期(1990年代~2000年代)
1991年に廃棄物処理法が改正。廃棄物の排出抑制と分別・再生(再資源化)が目的に加わり、日本は循環型社会の構築へ舵を切ることになった。

年々減り続けている日本のゴミ

上記のような経緯でゴミに対する意識は徐々にではあるが私たちに浸透してきているようだ。実は日本の一人1日当たりのゴミ排出量は、2000年をピークに減り続けている。2000年は一人当たり1185gだったが2013年には958gになっている(環境省2016年版「環境統計集」より)。
その理由としては、私たちのゴミを減らそうという努力のほかに景気後退でモノを買わなくなっていることや人口減、ゴミ関連の法律制定など様々なことが考えられる。

ゴミ関連の法律にもたくさんの種類があるが、なかでも注目したいのが2000年に制定された循環型社会形成推進基本法だ。これは大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会を循環型社会に変えていくための、基本原則と基本施策の総合的な枠組みを定めた法律で、次の5つの対策の優先順位を明記している。

1.廃棄物の発生をなるべく抑える(リデュース)
2.使用済み製品を再使用する(リユース)
3.使用済み製品を原材料として利用する(リサイクル)
4.廃棄物を燃やして熱や電気に利用する
5.廃棄物の適正処分

同法に基づいて制定された身近な法律としては、たとえば2001年4月に施行された家電リサイクル法がある。これはエアコンやテレビといった一定の家電を購入したユーザーが費用を負担し、販売した小売店などが引き取り、作ったメーカーがリサイクルをしなければならないという法律だ。

リサイクル料金例 2016年4月1日現在
●エアコン:972円
●液晶・プラズマテレビ:1,836円 ~2,916円
●冷蔵庫・冷凍庫:3,672円~4,644円
●洗濯機・衣類乾燥機:2,484円

消費者の支払う費用
収集・運搬料金(各小売店が設定)+リサイクル料金
※リサイクル料金は家電メーカー等によって異なる。

日本の一人1日当たりのゴミ排出量は、2000年をピークに減り続けている(環境省2016年版「環境統計集」を基に作成)日本の一人1日当たりのゴミ排出量は、2000年をピークに減り続けている(環境省2016年版「環境統計集」を基に作成)

ドイツではペットボトルにデポジット(預かり保証金)

このように各個人や企業の努力、または法律などで年々ゴミ排出量が減り、リサイクルなどの対策も進む日本。しかし、世界的視野で見ればまだまだゴミを減らす方法はありそうだ。たとえば、環境先進国といわれるドイツでは1991年から包装廃棄物の回避に関する政令により、製造会社と流通会社は、容器包装の回収・再利用・素材再生を義務付けられている。これに基づき各社合同により容器包装リサイクル認可組織DSD社( Duales  System Deutschland AG)が構築された。DSD社が各容器やパック類、ペットボトルなどの回収や再生を代行している。

たとえば、ペットボトル回収の流れは次のようになる。
1.回収を委託された商品には「Grune Punkt」(グリューネ・プンクト)というマークが付いており、購入時にデポジット(預かり保証金)も支払うことになっている。

2.小売店の店頭などに設置されている回収機に飲み終わったペットボトルを入れるとデポジットが記されたレシートが出てくる。

3.レシートを持って小売店などのレジに行くとお金に換金してもらえる。

日本の街角では、まだまだペットボトルなどのゴミが散乱している場所も見かける。ドイツのようなお金に直結する施策も有効ではないだろうか。

ドイツでは製造会社と流通会社などが合同で容器包装の回収・再利用・素材再生を代行する組織DSD( Duales  System Deutschland AG)を構築している(出典:経済産業省「3R政策」)ドイツでは製造会社と流通会社などが合同で容器包装の回収・再利用・素材再生を代行する組織DSD( Duales  System Deutschland AG)を構築している(出典:経済産業省「3R政策」)

ゴミを減らすために34種類もの分別をする自治体も

また、日本でも独自の取り組みによってゴミを減らそうとしている自治体がある。一例として徳島県の上勝町を紹介しよう。同町は人口約2000人で高齢化率は約48%。産業の衰退や森林、農地の荒廃などで財政が悪化。ゴミ処理の負担が重荷となっていた。そこで生ゴミは各戸でたい肥化し、それ以外のゴミは分別し様々なリサイクル事業者へ引き渡すなどの取り組みを行うことにした。そのため、分別するゴミは34種類に上っている。
ゴミは町が回収するために回るのではなく、住民がゴミステーションへ持ち込む。そこに隣接して、まだ使用できる衣類や雑貨などを販売するショップやリメイク雑貨を作製・販売するショップもオープンさせている。

34種類ものゴミの分別は面倒ではないか、と思う人も多いだろう。しかし、ほとんどの住民はその疑問に対し、「もう慣れた」「慣れたら簡単だ」「慣れてしまうと分別しない方が気持ち悪い」といった答えを返す。住民による34種類のゴミ分別とゴミステーションへの持ち込みはすでに定着しているようだ。
このような動きの基となっているのが、上勝町議会が2003年9月に満場一致で承認した「ゴミのゼロ(ゼロ・ウェスト)行動宣言」だ。ゴミの再利用・再資源化を進め、2020年までに焼却・埋め立て処分をなくすといった目標を立てている。

ゴミの問題は私たちだけでなく、子どもや孫を含む未来の人たちの生活まで影響を及ぼす。上勝町のように地域全体で積極的に取り組んでいなくても一人ひとりが意識しなければならない。「自分だけなら」「今回だけは」という考えはけっして許されないはずだ。その分別方法は、各自治体によって異なる。自分の住む地域のルールを正確に把握し、間違いや勘違いのないゴミの廃棄を心がけたい。

ゴミの分別方法は各自治体によって異なる。地域の「ゴミカレンダー」や「ゴミの分け方一覧」などで正確に把握したいゴミの分別方法は各自治体によって異なる。地域の「ゴミカレンダー」や「ゴミの分け方一覧」などで正確に把握したい

2017年 02月16日 11時06分