同じ不動産会社で「成約済みです」が連続したら要注意

平成24年度に業界関係者だけでなく一般消費者も含め、おとり物件の広告だけでも相談が145件も寄せられている平成24年度に業界関係者だけでなく一般消費者も含め、おとり物件の広告だけでも相談が145件も寄せられている

「気になる物件に限って成約済みだ!」。
賃貸物件を借りようと問い合わせをしたときに、このような経験をしたことはないだろうか。もし、同じ不動産会社の広告で複数の成約済み物件が掲載されていたら、「おとり物件」の可能性があるかもしれないことを疑った方がいいかもしれない。
実際に公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会には平成24年度に業界関係者だけでなく一般消費者も含め、おとり物件の広告だけでも相談が145件寄せられている。

不動産のおとり物件広告には次の3パターンが考えられる。

1.実在しない架空の物件の掲載(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
2.実在するがすでに成約済みの物件の掲載
3.実在するが実際には取引きする意思がなく、家賃(販売価格)を相場よりも著しく安く表示している物件の掲載

いずれにしても問い合わせると「成約済みです」といった回答の後、ほかの物件をすすめられることになる。
つまり、上記3パターンの物件は、不動産会社に問い合わせを増やし、営業機会を得るための「おとり」なのだ。

ちなみに賃貸と売買の広告では、実際に圧倒的に賃貸におとり広告が多い。賃貸の方が流通する物件数が多いことと関係していると思われる。
この時期、入学・入社や転勤などで賃貸物件を探す人も多いと思うので気を付けたい。

「おとり広告」は集客の手段。実際にあった事例を紹介

おとり広告に対する問い合わせをすると、「成約済みです。でも似たような物件ならこのようなものがあります」と言われるケースが圧倒的に多い。しかし、中にはさらに複雑な例もある。実際に最近増えている事例を紹介しよう。

【賃貸物件の場合】
不動産会社Aは一般のワンルームマンションオーナーBから1部屋を月々8万円で借り上げた。その部屋の家賃は相場ならば月々10万円。しかし、不動産会社Aはインターネット広告に月々5万円と掲載した。
すると、電話やメールでの問い合わせが止まらない。不動産会社Aはその都度「隣に怖い人が住んでいます」や「前住人がこの部屋で亡くなっています」といった嘘の回答を繰り返し、代わりにほかの部屋を紹介し続けた。この間不動産会社Aは空き部屋に対して毎月8万円を支払うことになるが、割のいい広告費と認識している。

【分譲住宅の場合】
不動産会社Cは、ある土地を買い上げ、分譲住宅を建築・販売することにした。建築確認申請後に建築確認番号を取得するとすぐに広告を作成。その広告には、外構まで完備した他物件の完成写真が使用されていた。(完成前でも「予定広告であること」や「建築確認番号」などを記載すれば広告は可能だが、この広告にはそのような記載はなかった)
「外構付きでこの価格は安い!」。この広告を見た一般消費者Dは不動産会社Cに電話をかけた。すると若い女性が出たが、広告の物件の質問をすると、すぐにベテラン風の男性営業担当Eに代わり、とにかく現地を見に来るように言われた。早速一般消費者Dは営業担当Eと現地に行くとそこは空き地。Eの営業トークを長時間聞かされた結果、実際に販売される物件は、写真の物件よりも小さく、外構などはオプションだということがわかった。

おとり広告を疑うポイントと対策方法

上記の例のようにおとり広告は、
・相場とかけ離れて、条件の割に安い物件の広告
・おとり広告をきっかけとした営業行為
がワンセットになっている。

おとり広告かもしれない物件に引っかからないために気を付けるポイントは3つ。
1.きちんと相場を把握する
当たり前のようだが条件見合う相場をきちんと把握することが、おとり広告に騙されない近道である。多くの人が「掘り出し物があるのでは!?」と期待しがちだが、基本的にそういうものはかなり少ない、と心得て物件を探すべきだ。相場感覚をつけるには、比較できる不動産情報サイトを見ていれば、立地・広さ・設備などの条件と価格の相場がある程度わかるはずである。
2.良い条件の物件にもかかわらず相場以下の価格なのに長期間広告に掲載されている
条件のよい物件で相場以下の価格なら、本来は短期間で成約するはず。確認したほうがよいと思われる。
3.一度問合せして「成約済み」と言われた物件が、いつまでも広告に掲載されている
これは疑うというより、おとり広告の可能性が高い。しかし「キャンセルになったのかも!?」と再度問い合わせをしたい気持ちもわかる。おとり広告の可能性があるかもしれないことを覚悟したうえで、問い合わせ方に注意しよう。

では、おとり広告の疑いがある物件に問い合わせをする場合は、どのような対策が考えられるだろうか。
1.どうしても気になるならすぐに問い合わせをする
おとり広告の疑いがあっても、すべて疑いだしたらきりがない。どうしても気になるならすぐに問い合わせをして物件の有無を確認すること。悩むだけ時間の無駄だし、いつまでも引きずっていると、その優良物件の価格が頭から離れず、相場感がズレてしまい物件探しに苦慮することがある。
2.「おとりだ!」と気づいたら早々にあきらめる
問い合わせに対して「成約済みです」「ほかの物件の方が…」といったおとり広告をにおわせる説明が出てきたら、早々にあきらめるべきだ。そもそもおとり広告自体、営業機会をねらってのことなので、実際の希望条件とはかけ離れた物件を紹介されることが考えられる。また、会社によってはしつこくなるケースもあるので、長時間かかわることは避けた方がいい。問題だと感じた場合は、次にあげる相談窓口に相談することも検討しよう。

不動産のおとり広告に関する公的な相談窓口は2カ所。
不動産情報サイトの相談窓口にも連絡を

不動産のおとり広告の相談窓口は以下の2カ所だ。

消費者庁
http://www.caa.go.jp/index.html

不動産公正取引協議会連合会
http://www.rftc.jp/index.html

前者は不動産に限らず、あらゆる商品の相談窓口。後者は不動産専門の窓口だ。
各不動産会社が、おとり広告を行ったかどうかを調査するのは後者で、違反行為が認められた場合は、消費者庁長官が措置命令などを行う。
措置命令とは、おとり広告の停止、おとり広告を行ったことを社会に告知、再発防止策の提出などを命ずるものだ。それでも改善されない場合は、二年以下の懲役や300万円以下の罰金などの刑罰が与えられることになる。

また、不動産情報サイトでは掲載物件や掲載会社の情報に対して信頼性を重視しているため、こういった疑いのある物件については問い合わせ窓口を持っている所が多い。
ちなみにHOME'Sでは【「掲載100当番」】という窓口があるので、サイト内でそういった疑いのある物件があった場合、問い合わせることが可能だ。

いずれにせよ、現実からかけ離れない希望条件と相場感、そして「おとり広告」をきっかけとした営業に左右されない自身の責任をもって住まい探しをしてもらいたい。

不動産のおとり広告の相談窓口は「消費者庁」と「不動産公正取引協議会連合会」のどちらでも構わない。</br>くわしくは各HPで確認を不動産のおとり広告の相談窓口は「消費者庁」と「不動産公正取引協議会連合会」のどちらでも構わない。
くわしくは各HPで確認を

2014年 02月06日 13時10分